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建設コンサルタント・測量・地質業

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第3章 災害対応組織

3.7 建設コンサルタント・測量・地質業

建設コンサルタント・測量・地質業の対応について、(一社)建設コンサルタント協会東北支部、東北 地方の(一社)各県測量設計業協会、東北地質業協会の3団体を対象として、アンケート調査を実施し、

調査結果を基に対応状況を確認し、今後の課題や好事例について整理した。

3.7.1 活動概要

(1) 建設コンサルタント協会1)

(一社)建設コンサルタント協会(以下、協会と称す)では、国・自治体と連携を図り、被災地の災害支 援活動に取り組むために、災害対策本部、災害対策東北現地本部、災害対策関東現地本部を設置するとと もに、他の支部においても災害対策支部を設置して支援活動を行った。

災害対策東北現地本部では、3月11日の地震発生当日より災害協定締結先である東北地方整備局(以下、

東北地整)、宮城県から依頼を受け、延べ約14,700人が支援活動を行った。また、災害対策関東現地本部 では、3月12日より災害協定締結先である関東地方整備局、千葉県からの依頼を受け、現地調査で延べ約 200人、対策検討・設計等で44社が支援活動を行った。さらに、3月25日には、災害対策東北現地本部より 災害対策本部を通じて、福島県の被害調査への支援の依頼があり、福島県域において延べ約100人が支援 活動を行った。

(2) 建設コンサルタント個別企業(協会会員企業)

各企業では、協会の災害協定対象以外の支援機関(自治体)からの要請を受け、あるいは要請がなくて も過去業務を遂行した支援機関に対して自主的な申請により、被害調査等の支援活動を行った。

また、人的な繋がりからのNPO団体からの要請を受け、各企業の判断でボランティア活動(仮設住宅で の炊き出し活動や建物津波被害調査支援等)を実施していた企業もあった。

(3) 東北地方の各県測量設計業協会及び東北地質業協会

被災が大きかった宮城、岩手、福島の3県の測量設計業協会(以下、○○県測協と称す)及び本部を仙 台市におく東北地質業協会(以下、地質協会と称す)では、災害協定を結んでいた各県(宮城県では仙台 市、石巻市、登米市、東松島市を含む)からの要請を受け、被害調査、災害査定資料作成等の支援活動を 行った。

一方、比較的被害が少なかった山形、秋田、青森各県測協では、宮城県や岩手県の被災現場へ専門家を 派遣して支援活動に貢献した。

3.7.2 災害対応プロセス

建設コンサルタント関連における災害対応プロセスは以下のとおりである。

①震災発生→②(災害協定に基づく要請)→③災害対応体制構築・企業への役割配分→④現地調査による 被災状況調査→⑤現地調査結果による災害査定用資料作成・査定設計書作成→⑦(査定)→⑧実施設計 3.7.3 災害協定書の概要

協会では東北地方整備局及び宮城県と、各県測協と地質協会では各県(一部の市町村を含む場合あり)

と災害協定を締結していたが、以下には、代表例として、東北地整と宮城県との協定書についての概要を 示す。

(1) 東北地整との協定書

協定書は、災害時における所管施設の災害応急対策業務(被災状況把握、業務の関する調査・設計の実 施)に関する協定内容であり、会員に出動要請後速やかに土木設計委託契約等の業務内容に応じた契約締 結する内容であった。

95 (2) 宮城県との協定書

協定書は、大規模な災害が発生した場合の所管する公共土木施設の被害状況調査に対する応援協力とい う協定内容であり、応援協力の実施に要する経費は企業側負担(応援協力は無償による社会貢献活動)の 位置づけとなっていた。

3.7.4 災害対応体制 (1) 自組織の体制構築 1)協会

組織的活動としては、災害対策本部(協会本部:東京)→災害対策東北現地本部→東北支部内会員企業 への役割分担・活動になるが、この活動に対しては、各企業で全国から応援がなされた。

また、2008年6月の岩手・宮城内陸地震災害での教訓から、発生直後の支援要請・内容が想定できてお り、連絡手段が通じなくても、各社の責任者・協会委員会委員長等の責任者が直接災害本部に集合した。

各社とも災害協定締結を認識していたため、年度末にかかわらず災害支援を優先に対応しており、災害 対応への取り組み意識の向上が図られていた。

2)測協

宮城県測協では、協会に災害対策本部ならびに各支部を設置し、本部と県庁本庁及び支部毎に各地方事 務所と連絡体制を構築していた。

岩手県測協及び福島県測協では、協会に対策本部を設置し、関係機関からの連絡窓口を増設して複数者 が担当するようにしていた。また、岩手県測協では岩手県からの災害応援要請が本部に入り、津波対策会 議を立ち上げて派遣各社を決定し、迅速に対応を開始した。

3)地質協会

各社にダメージがあったため協会事務局を本部とし、関係機関の指示事項などを適切に対策本部に伝え る担当者を定めて対応した。

4)自組織体制構築における課題

大災害発生時には、深夜まで及ぶ支援要請電話の対応と、緊急の支援対応会社決定が求められるため、

少人数の東北現地本部事務局だけの対応(各専門分野別にもリーダーシップが不足)は困難であり、人的 資源が豊富な近隣の数社に設置することを予め決定しておくことが考えられる。

また、災害協定内容にとらわれるあまり、会社の人員・規模にかかわらずある意味機械的に協定会社に 支援要請が行われたため、その後に体制的に対応が難しくなった企業が出てきており、新たな支援体制も 必要となった。このため、関係機関を含め、会社の規模に応じた工程、作業量の調整をどのように実施す るべきか検討が必要と考えられる。

(2) 他組織(他地方)・機関との連携 1)協会

本部・現地本部の連絡体制・支援要請により、速やかに関東現地本部からの支援(福島県トンネル点 検)を受けることができており、また、全国的に支店を持つ企業では、全国レベルから東北への人材派遣 対応が行われた。

災害発生2日後、同様な協定を結んでいる宮城県測協との合同会議を行い、発注者も含めて他組織と一 体となった効率的・効果的な対応に向けて、役割分担を決定(測量・道路災害と構造物被災の点検の分 担)した。

2)測協

宮城県測協と岩手県測協では、山形県測協と秋田県測協から専門家等の人材派遣を受けることができた。

宮城県測協では、国・県・市町村・各団体等の関係機関及び他県測協、建設コンサルタンツ協会などと 一体的になり測協の総力を挙げて災害査定に係わる業務あるいは応急工事・2次災害防止事業等に係わる

96 測量・設計業務に対応した。

発災後2ヶ月で査定完了がルールとされているが、岩手県では台風15号による災害も発生したため県の 砂防災害課が岩手県測協による測量・設計業務進捗状況を把握したうえ、日程を調整した結果、年内に災 害査定を完了することができた。

3)地質協会

東北6県をまたぐ東北地質業協会として、比較的被害の少なかった秋田、山形の協会員の協力を得るこ とができた。

4)他組織(他地方)との連携における好事例と課題

他地方から東北入りした広域コンサルタントの技術者は、現地調査等において土地勘に弱かったため、

地域コンサルタント(地元)と連携により対処した企業もあり、効率的な災害対応に効果を発揮した事例 と言える。

一方、このような大規模災害になれば、現地でのコンサルタント技術者不足は顕著であるが、特に年度 末業務を控えていたこともあり、全国からコンサルタント技術者を集めにくい状況ではあった。このため、

震災発生直後の3月13日、東北地方整備局に対して、「業務工期延期等の善処依頼」を行った。整備局は早 急に対応し、通知が発出された。ただし、この通知に対しては、東北地方整備局管内各事務所・県によっ て対応に温度差があった。また、全国規模で支援人員を召集したが、他地方整備局ではこのような配慮が なく、大規模な他地方からの支援は4月以降にずれ込んでいた企業もあり、全国的な通知・指示の徹底が 必要であったと考えられる。

3.7.5 課題と好事例

宮城県内の現地災害対応業務を例とし課題と好事例を以下に示す。

(1) 被害状況調査

東日本大震災被災箇所の労働環境は被害状況調査においても最悪の状況であった。そのような中、以下 に示すような課題、好事例があった。

① 被害規模が大きすぎ、1社あたりの対象範囲も広く、県と企業間でも情報が交錯して判断しづら かったことから、一次調査(目視による被災状況確認・とりまとめ)に2週間を要した事例があり、

情報管理、情報提供のルール化に課題があった。

② 広域的な被害状況調査における各社への役割分担に対して、発注者側において専門的内容を熟知し た采配ではなかった事例があり、災害協定に基づく体制構築において建設コンサルタントが発注者支 援を行うような柔軟な体制構築が必要であったと考えられる。

③ 各企業の調査活動の主体となる自動車のガソリンが不足する中、緊急点検車として給油優先証が発 行され、毎日の点検が可能になっており、調査における発注者との連携についての好事例と言える。

(2) 災害査定用資料作成及び査定設計書作成

① 災害査定用の資料作成(測量、図面復元、写真撮影等)に約2ヶ月を要した事例があり、これは、

被災施設の台帳等が未整備なものがあったため、図面再現等に非常に労力を費やしたためである。ま た、現在の施設整備台帳が現況施設と異なることが多く(維持管理等で施工された箇所が未補正等に よる)、平常時から各施設整備台帳のGIS化、電子基盤地図の整備を促進し災害査定の簡素化を図る などの改善が必要であると考えられる。今後、インフラの日常管理の面での課題に対する改善が必要 と考えられる。

② 管理者間の横並びで調整すべき事項などのコントロールができず、各々の建設コンサルタント任せ になり、手戻りが発生する場合があった。特に自治体において、災害査定における指揮・命令・調整 等のマネジメント不足が課題であった。災害査定のマネジメントにおいて、建設コンサルタントが発 注者支援として行うことも検討する必要があると考えられる。

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