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がれき処理

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第2章 災害対応活動

2.7 がれき処理

2.7.1 調査の目的および範囲

本節では、震災発生初期のがれき処理が、実際にどのような意志決定・仕組みで行われたか、好事例や 課題を抽出することにより、今後予想される津波災害への対応に活かすことを目的とする。調査の範囲は 震災発生直後から、がれき処理の仕組みが確立するまでの初期の段階におけるマネジメントに焦点を当て た。検証に際しては、災害マネジメント特定テーマ委員会において聞き取り調査を行った、宮城・岩手の 自治体ヒアリング結果を参考にした他、国立環境研究所にもヒアリングを実施した。

尚、福島県内については放射性がれきなどの特殊要因が存在するため、今回の調査からは除外すること とした。

2.7.2 がれきの発生量

東日本大震災による津波により発生したがれき(災害廃棄物)の推計量は、宮城県1,154万t、岩手県 525万t、福島県201万tで、3県合計で1,880万tとなっている。

各県における、市町村別の発生量は以下の通りである。

表2.7-1 3県のがれき推計量

※がれき推計量の前の*印は、県への事務委託が行われていることを示す。

出典:環境省HP 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(2012年5月21日現在)

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図2.7-1 宮城県の災害廃棄物状況

出典:宮城県災害廃棄物処理実行計画 180万t

558万t

69万t

201万t

西松JV 間JV 大林JV フジタJV JFEエンジニアリングJV

鹿島JV

大成JV 清水JV

137万t

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図2.7-2 岩手県の災害廃棄物状況

出典:岩手県災害廃棄物処理実行計画 30万t

141万t

130万t

224万t

(久慈地区)

奥村JV

(宮古地区)

鹿島JV

(山田地区)

奥村JV

(試行)

産業振興JV

(本施工)

大成JV

(大槌地区)

竹中土木JV

56 2.7.3 がれき処理の推進体制

国、県、市町村の役割分担は原則として下記の通りとなっている。

がれき処理の推進体制は、がれきの発生量・自治体の規模・被災状況によって異なるが、宮城県の例で は下記のような役割分担となっている。

表2.7-2 がれき処理の役割分担(宮城県の例)

市町村

処理指針作成、財政措置、情報提供等

災害廃棄物該当性の判断

災害廃棄物の解体・撤去処理 △※1

一次仮置き場への運搬 △※1

一次仮置き場の設置 ○※2

一次仮置き場から二次仮置き場への運搬 ○※3

二次仮置き場の設置

二次置き場から最終処分先への運搬

再生利用・最終処分

※1 委託を受けた場合は一部県が対応

※2 県が設置した場合は県が対応

※3 委託を受けた場合は県が対応

2.7.4 がれき処理の流れ

災害廃棄物と認定されたものは、解体・撤去され一次仮置き場へ運搬される。原則として一次仮置き場 で可燃物,不燃物,特定品目に分別してから、二次仮置き場に搬送する。二次仮置き場では中間処理を行 い、再生利用または焼却処分や埋立処分などの最終処分を実施する。

災害廃棄物の一般的な処理フローとして、宮城県の例を以下に示す。

国 市町村又は地方自治法に基づき事務委託を受けた県による災害廃棄物の処理が適正かつ効率 的に行われるよう、処理指針(マスタープラン)の作成の他、財政措置、専門家の派遣、情 報提供等の支援を実施する。

県 仮置場の設置や災害廃棄物の処理について、災害廃棄物の処理に関する協議会等を通じ、市 町村等との総合調整を行い、具体的処理方法を定めた災害廃棄物処理の実行計画を作成す る。また、津波の被害を受けた市町が自ら処理することが困難な場合には,地方自治法第252 条の14の規定に基づく事務の委託により,県が処理を行う。

市町村 県が作成した災害廃棄物処理の実行計画を踏まえ、災害廃棄物の処理を実施する。

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図2.7-3災害廃棄物の一般的な処理フロー(宮城県の例)

出典:宮城県災害廃棄物処理実行計画(平成23年7月)

2.7.5 国・自治体の対応

がれき処理は環境省が主管省庁であるが、発災直後の初期段階においては、人命救助や道路啓開が中心 であり、主として国土交通省や自治体の建設関連部局が中心となって対処した。環境省は、主にがれき処 理における安全性など技術的問題を中心に、通達や事務連絡によって被災自治体への指導を行った。また 同時に、国立環境研究所を通じて、災害廃棄物に関する自治体担当者・専門家向け技術情報等が提供され、

自治体の初期の災害廃棄物処理に役立てられた。

5月16日に、環境省より「東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)」が公表された ことを受け、宮城県では5月30日に「災害廃棄物処理指針」、8月4日には「宮城県災害廃棄物処理実行計 画」が策定され、岩手県においても6月20日に「岩手県災害廃棄物処理実行計画」、8月30日には「岩手県 災害廃棄物処理詳細計画」が策定されることにより、現在行われている処理業務のスキームがほぼ確立す ることとなった。

スキームが確立するまでの初期段階における自治体の対応については、特定テーマ委員会による自治体 ヒアリングを参考に、整理を行った。この中から好事例や課題を抽出し、初期の混乱時におけるがれき処 理のマネジメントのあり方について考察を行った。

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災害廃棄物処理に対する国・自治体の対 3月4月5月6月7月8月9月10月

5/30災害廃棄物処指針

4/15被災自動車処理について 8/4宮城県災害廃棄物処理実行計画 6/20岩手県災害廃棄物処理実行計画 6/27被災車両の処理について 8/30岩手県災害廃棄物処理詳細計画

5/16東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン) 3/27水産廃棄物の処理方法について(第二報 11

3/30塩分を含んだ廃棄物の処理方法について(第三報) 4/1仮置場の設置と留意事項(第一報) 4/1津波がもたらしたヘドロへの対応について(第一報) 4/1PCB含有廃棄物ついて(第一報:改定版 4/1災害廃棄物の重量容積変換について(第一:改定版 4/5下水の処理方法ついて(第一報) 4/6津波堆積物への対応について(第二報) 4/12災害廃棄物の野焼きについて(第一報) 5/18仮置場の可燃性廃棄物の火災予防第一報)

8/18東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法

7/15被災市町村が災害廃棄物処理を委託する場合における処理の再委の特例措置

3/31一般廃棄物を産業廃棄物処理施設において処理する際の届出期間に関する例外規定の創設 4/7緊急的な海洋投入処分に関する措置(宮城県) 6/17緊急的な海洋投入処分に関する措置岩手県) 8/23災害廃棄物処理業務(石巻ブロック)託会社決定 災害廃棄物破砕・選別等業務委託会社の決定10/17 (宮古・山田・大槌地区 3/23廃石綿やPCB廃棄物の混入した災害廃棄物について 4/1仙台市震災復興基本方針 5/30仙台市震災復興ビジョン 9/20仙台市震災復興計画(中間案)

3/28災害廃棄物処理の基本方針

3/28東北地方太平洋沖地震により被災した自動車の処理について

3/19廃石綿やPCB廃棄物が混入した災害廃棄物について 3/29岩手県災害廃棄物処理対策協議会設置

3/25損壊家屋等の撤去等に関する指針 4/13宮城県災害廃棄物処理対策協議会設置

4/4災害廃棄物処理事務の委託に関する規約例について

59 2.7.6 初期のマネジメントにおける考察

(1) 課題

自治体からのヒアリングを通じて、がれき処理の初期段階において、いくつかの課題があることが分 かった。

① 法律等による規制の問題

今回、膨大な量の災害廃棄物を処理するにあたって、平常時の法律を順守することにより迅速な処理 が行う事が難しい事例に直面した自治体が多くみられた。再委託の特例措置や処理施設の設置届の緩和措 置など、現場からの要望に応じて法的な配慮がなされたものもあるが、基本的には現行法の枠内での処理 が行われたと考えられる。行政としては法律を安全側で運用する傾向があり、また通常レベルに戻すタイ ミングが難しいため、なかなか特例的な措置を実行できないことが課題として挙げられる。

緊急時には、試験的に取り組みを行い、効果が確認されれば正式なスキームとして実行できる仕組みが 大切である。例えば、腐敗した水産廃棄物を漁網に巻いて海洋投棄する例はスリランカで実際に行われた が、今回は法令上の問題から実行できず、海洋投棄が実際に行われたのは非常に遅い時期となった。

② 予算確保における課題

今回のヒアリングで多く聞かれたのが、災害廃棄物処理に関する補助のスキームが決定するのが遅く、

常に業者への支払いを気にしながらの作業となったとの声であった。環境省では比較的早い段階で、国に よる100%補助(災害対策債の特別交付税措置を含む)を行うというメッセージを出しているが、財政規 模の弱い被災自治体においては、当該作業が補助の対象になるかどうかの判断が難しかったとの声が聞か れた。また、補助金は被災自治体に直接給付されるため、県へ処理業務を委託した場合、金の流れが一旦 被災自治体を経由する形となるため、事務作業の負担が大きくなることも問題点として挙げられる。今回 のような大規模な災害の場合、国の直轄により処理を行うことも選択肢として十分に考えられる。また、

がれき処理に対する国の所管省庁がどこなのか明確でなかったという指摘もあった。

政令指定都市である仙台市は、がれき処理に関しても自前の財政措置が可能で、4月1日には100億円の 財政措置を講じることが出来たため、発注作業を滞ることなく進めることが可能であった。補助というシ ステムは実際にお金が出るまで時間を要し、資金力が問題となる。

③ 技術的課題

津波による災害廃棄物は、有機性の水産廃棄物や PCB などの有害廃棄物が混合した状態にあり、処理に あたって安全衛生に関する技術的な問題が多く存在したが、実際に処理にあたる自治体にとって適切に処 理を行うための知識が圧倒的に不足している状態であった。ヒアリングでは確認できなかったが、これら の問題が、がれき撤去や道路啓開の障害となっていたことも想定される。

仙台市では、初期段階より廃棄物資源循環学会の専門家を環境局に派遣・常駐してもらうことにより、

塩分の付着した廃棄物の処理に関する問題や、がれき保管における自然発火防止のなどの問題を早期にク リアしていった。また、後述するが、国立環境研究所では、ホームページ上に現在起こっている問題への 対策レポートを公開し、処理関係者への情報提供を行った。

津波による廃棄物処理の技術的な問題についても、事前に想定して必要な知識を関係者に周知すること により、処理の安全と迅速化を図るべきと思われる。

④ 意思決定の仕組み

今回の震災においては、沿岸自治体は自らも被災し、職員にも犠牲が出るという非常に過酷な状況の 中で、処理作業を進めなければならなかった。少ない職員の中で、道路啓開、仮設住宅、インフラの仮復 旧などを同時に進める必要があり、がれき撤去については自衛隊・消防団・森林組合・建設業者などの力 を借りながら進めた。通信手段が途絶えた中で、道路啓開や人命救助などのがれき処理は、主に現場の担 当者の判断により進められ、系統立てた優先順位などをつける余裕は無かった自治体が多かったと思われ る。

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