• 検索結果がありません。

今回、東電が実施した社内アンケートの結果は、上記の第三者検証委員会の判断を裏 づけるものである。

(2) 今後の教訓

東京電力は、新潟県技術委員会での議論状況など、社外へ発信する重要な報告や、重 要な課題の検討状況について社内で情報共有する必要がある。

5 「炉心溶融」の定義が明らかにならなかった原因 (1) 事実の考察

本項目「5.「炉心溶融」の定義が明らかにならなかった原因」は、一定の社員が「炉 心溶融」の定義を認識していたにもかかわらず、原災マニュアルにおけるこの用語の 存在が 5 年間明らかにならなかった理由を追加調査したものである。

今回、東電が実施した社内のヒアリングによれば、平成 25 年に原災法関係法令が改正 されたが、この変更を反映させる社内マニュアルの改訂で、原子力緊急事態事象や判 定基準、報告様式などについて全面的な差し替えがあり、その際に削除された「炉心 溶融」について十分な周知や引き継ぎがなかった。

東電社内では、原子力事故の推移を「炉心損傷」の割合で表現することになっており、

そもそも「炉心溶融」との言葉を使っていなかった。

本合同委員会のヒアリング結果は、このような社内調査の結果を裏付けるものであ

る。

【山内委員】

添付7-18

(2) 今後の教訓

原子力安全・保安院は、発災後 1 ヶ月経った平成 23 年 4 月になって炉内状況を説明す る用語の整理に着手した。この結果、政府としては「炉心溶融」という言葉を使わず に、事故を起こした炉心の状況をあらわす用語として「炉心損傷」→「燃料ペレット の溶融」→「メルトダウン」の 3 段階に整理することを決めた。事業者の使う用語と 一般用語が乖離した状況では、万一原子力災害が発生した場合、保安院のこの轍を踏 む怖れがあるのではないか。

6 事故時運転操作手順書に基づく対応 (1) 事実の考察

福島第一原子力発電所では、地震発生直後から津波襲来までは事故時運転操作手順書 に基づいた対応が行われていたこと、津波襲来後は全電源喪失により事故時運転操作 手順書をそのまま適用できる状況ではなくなり、現場操作可能な設備・手順を活用す るなど、臨機応変な対応が行われていたことが確認された。

(2) 今後の教訓

定型的な事故シナリオによる訓練だけでなく、様々な事象の訓練を継続して実施し、

臨機応変な対応力の向上に努めることが望まれる。

参考1-1 参考1 合同検証委員会による検証に至った経緯

新潟県技術委員会による福島第一原子力発電所事故の検証

新潟県技術委員会は、平成23年度の会合で、福島第一原子力発電所の状況や、柏崎刈羽原子力 発電所における緊急安全対策、「国・東京電力へ説明を求める項目」(83項目)に対する回答な どについて、東京電力と原子力安全・保安院から説明を受けた。平成24年3月22日、新潟県技 術委員会は、新潟県知事から福島第一原子力発電所事故の検証の要請を受け、柏崎刈羽原子力発 電所の安全に資することを目的として、福島第一原子力発電所事故の検証を実施することとなっ た。

平成24年度第1回の会合で、検証項目については、技術的事項などのハード面に加え、事故対 応のマネジメントなどのソフト面についても検証することとなった。また、議論の進め方につい ては、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)、東京電力福島原子力発電所に おける事故調査・検証委員会(政府事故調)、福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)、福島 原子力事故調査委員会(東電事故調)の報告書を基に、関係者から説明・意見などを求め、福島 第一原子力発電所による原子力災害の原因と事故対応における課題・問題点について検証を進め ることとなった。

上記を踏まえて、平成24年度の議論の整理として、福島第一原子力発電所事故を踏まえた課題 が抽出された。平成25年度の議論では、これら課題を踏まえた福島第一原子力発電所事故の検証 が進められ、特に、平成25年度第3回の会合では、「福島事故検証課題別ディスカッションの課 題と疑問点等の整理(案)(約180項目)」が示された。これらの課題と疑問点等を検証してい くことで、6 項目の福島事故検証課題別ディスカッションが進められることとなった。現時点で は質問が大幅に追加され、約600問の質問に対して検証が行われてきた。

平成23年度以降の新潟県技術委員会、福島事故検証課題別ディスカッション(課題2(海水注 入等の重要事項の意思決定)、課題3(東京電力の事故対応マネジメント)、課題4(メルトダウ ン等の情報発信の在り方))の開催実績は以下のとおり: