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アンケート調査 2 や、ヒアリング調査では、当該指示に関わった者以外で当該指示 を聞いた者は確認されなかった。

6 事故時運転操作手順書に基づく対応

【検証の目的】

福島第一原子力発電所事故の際に、事故時運転操作手順書等に基づく事故対応が どの程度行われたのかを明らかにする。

【関連する検証項目】

Ⅱ-5-①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩:10項目

【調査結果(概要)】

(1) 事故当時の事故時運転操作手順書に基づく対応

福島第一原子力発電所では、地震発生直後から津波襲来まで、事故時運転操作手 順書に基づいた対応が行われていた。

津波襲来後の操作については、全電源(交流電源および直流電源)喪失による監 視機能喪失、遠隔操作機能喪失、現場機器の機能喪失の状態に陥り、事故時運転 操作手順書がそのまま適用できる状況ではなくなった。このため、ディーゼル駆 動消火ポンプによる代替注水、格納容器ベントなどの事故時運転操作手順や設備 図書などを参照した上で、現場における運転員の手作業による操作可能な設備・

手順を活用するという対応を行った。

(2) 事故当時の事故時運転操作手順書の移行

地震により原子炉スクラムした段階で事故時運転操作手順書(徴候ベース

(EOP) )へ導入しており、事故時運転操作手順書(事象ベース(AOP) )から 移行したわけではなかった。

その後、状況が進展すると事故時運転操作手順書(シビアアクシデント

(SOP) )に移行していくという認識はあったものの、全電源(交流電源および 直流電源)喪失により監視手段を失うなど、事故時運転操作手順書(徴候ベース

(EOP) )から事故時運転操作手順書(シビアアクシデント(SOP) )への移行

基準である炉心損傷を客観的に認識できる状況ではなかった。

添付7-1

添付7 東京電力HD・新潟県合同検証委員会の調査結果に対する委員所見 第3回合同検証委員会(平成29年12月26日)資料No.3で示すとおり。

添付7-2

東京電力HD・新潟県合同検証委員会の調査結果に対する委員所見

【目次】

一ノ瀬委員 ··· 3

小森委員 ··· 6

佐藤委員 ··· 9

立石委員 ··· 12

山内委員 ··· 15

【一ノ瀬委員】

添付7-3

一ノ瀬委員

1 「炉心溶融」等を使わないようにする指示 (1) 事実の考察

①清水社長から武藤副社長への指示

清水社長が武藤副社長へ指示した背景は、清水社長が官邸訪問時(3/13)に官邸から 情報共有の指示を受け、 「炉心溶融」等の定義が不明確な用語は官邸と共通認識をも った上で発表しないと混乱を招くと懸念し、自身の判断で指示したことが確認でき た。

②東京電力社外からの指示、東京電力社内での指示

「炉心溶融」等を使用しないことに関する官邸や規制当局から東京電力への直接指示 の有無や社内指示経路については特定に至らなかった。明確な指示は無いものの、官 邸の意向・動向(広報内容の事前了解指示,広報官の交代等)から、炉心状態が不確 かな状況下では「炉心溶融」等は使用せず「炉心損傷」に統一する雰囲気が広く伝搬 したものと想定される。

(2) 今後の教訓

対外公表に当たっては、確認された事実の正確な伝達はもとより、社会目線に立って 社会的関心事についても迅速・透明で丁寧な情報発信(今回事象においては「炉心溶 融の有無については、正確には解析を待たないと確定できないが、炉心損傷が進んで おり、その一部が溶融している可能性がある」など)が望まれる。

原子力事業者当事者として、官邸や規制当局への配慮よりも社会目線を最優先し、主 体的な情報発信が望まれる。

2 原子力災害対策特別措置法に基づく対応 (1) 事実の考察

事故当時、 原子力災害対策マニュアルに記載されている原災法第15条事象 「炉心溶融」

の判定基準を知っており、CAMS値が判定基準を上回っていることを認識していた者は 僅少(福島第一緊急時対策本部:19名)であり、その中に「炉心溶融」不使用の指示 を受けた者はいなかったことから、意図的に「炉心溶融」通報を避けた可能性は無い と考えられる。

事故当時の福島第一では、最初に確認された原災法第15条事象を原災法第15条報告様

式で報告し、以降はすべて異常事態連絡様式で報告する運用としていた。この異常事

態連絡様式による報告では、確認された情報が概ね報告されていたが、原災法第15

条事象である旨を言及しているものと言及していないもの( 「炉心溶融」を含む)が

あった。ここで「炉心溶融」について言及されなかった背景には、前述の通り、原災

法第15条事象「炉心溶融」の判定基準を知っていた者が僅少であったことが影響して

いるものと推定される。

【一ノ瀬委員】

添付7-4

(2) 今後の教訓

原災法事象(第10条、第15条)が連続発生時の通報の運用方法を、事象発生の都度通 報するように明確化し、マニュアル等へ反映することが必要と考えられる。

運転員はもとより緊急時対策本部要員となる全員が、原子力災害対策マニュアル等の 関係マニュアルを熟知して迅速・的確な行動を実践できることが必要であり、教育・

訓練を強化して個人の力量と組織対応力を高めることが求められる。また緊急対応訓 練においては、全電源喪失や複数号機同時事故等を含めてあらゆる過酷事故事象の可 能性を否定せず訓練シナリオを多様化・過酷化して継続的に繰返すと共に、ブライン ド訓練等により臨機応変の判断力・対応力を向上するなど、組織の緊急対応力向上へ のPDCAを回すことが望まれる。

3 「炉心溶融」の根拠