ら、個人対象でよいといえる。被験者は企業人を主体としたが、学生にも行った。合計は200 人であるが、実験別の被験者数は以下のとおりである。
(種類) (実験内容) (対象)
実験1=発想ルール教示の効果 実験2=発想ルール教示の効果 実験3=発想ルール非教示の効果
T社・男子35人/P社・男子31人 M社A・男子36人
M社B・男子43人/S短大生・女子55人
(3)発想テーマ
テーマは2種類で3実験とも同一テーマを用いた。ビールビンと傘の使い道である。両方 とも本来の使い道以外の使い道を問う問題で、単純な問題である。しかし難易度・取り組み やすさ・評価のしやすさなどを考慮の上で、この2テーマを選んだ。
テーマ1:空になった「ビールビン」の使い道 テーマ2:「傘」の雨の時さす以外の使い道
(4)実験時間
発想時間は、発想1も発想2も各3分間とした。筆者が採用試験などに用いる創造性テス トの発想時間は1問題あたり3分間が多いので、それを踏襲した。以下に3実験の違いを記
す。
(5)3実験の進め方
(図表28) 3実験の進め方の違い
[実験1] [実験2] [実験3】
発想1 テーマ1「ビールビンの 使い道」を3分発想
テーマ1「ビールビンの
gい道」を3分発想
テーマ2「傘の使い道」
3分発想
発想ルール教示 発想ルール教示
テーマ2「傘の使い道」
3分発想
テーマ1「ビールビンの
gい道」を3分発想
テーマ1とテーマ2の
カ産性の差・検討テーマ2とテーマ1の
カ産性の差・検討←
発想2
検討
テーマ2「傘の使い道」
を3分発想
テーマ1とテーマ2の
生産性の差・検討112
第2節実験1一発想ルール教示の効果(本実験)
1.問題と目的
実験1の目的は、発想ルールを知って発想すると、知らない時より生産性は高くなるかど うかを調べるためである。本実験のこの実験1では、発想ルールを知る前後の発想の生産性 の差を調べることで、発想ルールの有効性を調べようとした。
2.方法
具体的な実験としては次のとおりである。
(1)被験者
以下の2グループの対象には、いずれも創造性開発の研修時に実験を実施した。
①T社技術者(男子)35人 平均年齢40.5歳(35〜55歳)
②P社技術者(男子)31人平均年齢30.0歳(26〜32歳)
また、いずれもブレインストーミングを知らない者を対象とした。
(2)実施場所
いずれも、研修会場を使ったため、閑静で実験に集中できる会場である。机の配置は講義 式で、相互に充分な間隔をおいた。
(3)手続き
実験の手続きは次のようである。
①発想1=テーマ1(ビールビンの使い道)を発想ルール未教示で3分間実施
1)全員にテーマ1のシート(資料1)を裏返しで配布。シートにはテーマは上に、そし てアイデア記入欄が25欄とってある。
配置後、以下のような指示をした。
「これから、あるテーマについてアイデアの発想をしてもらいます。開始の合図の後、
3分間でアイデアの発想をしてください。終了の合図があったら、ただちに終了して ください」
2)上記の指示の後、テーマに取り組ませた。
3)時間がきたら終了を告げ、シートを回収した。
②発想ルールを教示
次に、発想ルールの5つを教示した。指示内容は以下のとおりである。
「ブレィンストーミングを創始したオズボーンは、アイデア発想に必要な条件を次の4 つにまとめている。それらにもう1つの条件を加えると、5つの発想ルールになる。
それらは、「判断延期・大量発想・多角発想・自由奔放・結合発展」の5つである。こ
れらはアイデア発想に大変重要なルールであり、それぞれ次のような意味がある。
1)「判断延期」とは、アイデアを考えたらそれらについて、良いとか悪いとか考えない。
選ぶのは、後からゆっくり行えばよいという意味である。
2)「大量発想」とは、発想の際、質を意識しないで、ともかくまずはたくさんの量を発想 してほしいという意味である。
3)「多角発想」とは、1つの見方や分野だけでなく、さまざまな角度・観点から発想を出 してほしいという意味である。
4)「自由奔放」とは、考えるときは自由気ままに何を考えてもよい。ともかく思いついた 発想はすべて記入しようというルールである。
5)「結合発展」とは、前に出したアイデア同士を結び付けて発展させたり、前のアイデア と今考えたものを結び付け、より良いものに発展させることである。
③発想2=テーマ2(傘の使い道)を3分間実施
1)全員にテーマ2のシート(テーマ1と同様)を裏返しで配付、以下のような指示をした。
「これから、あるテーマについてアイデアの発想をしてもらいます。開始の合図の後、
3分間でアイデアの発想をしてください。今後は今、教えた5つの発想ルールを充分 に意識して発想してください。終了の合図があったら、ただちに終了してください」
2)上記の指示の後、テーマに取り組ませた。
3)時間がきたら終了を告げ、シートを回収した。
3.結果と考察
3実験の1回目と2回目の発想実験の結果を、流暢性、柔軟性、独自性の3基準で評価する わけだが、そのためには、まず採点基準の作成が必要である。そこで、以下のようにして採 点基準を作成した。
(1)基準の意味と発想評価表の作成方法
3つの基準の意味と発想評価表の作成法について以下に記す。本文の例としては、テーマ 1(ビールビンの使い道)を取り上げる。テーマ2もテーマ1と同様にして作成した。
①流暢性
この基準は、発想の速さ、つまり数を調べる。採点ではアイデアの数を調べる。
単純にいえば発想されたアイデアの数の合計になる。
しかし、同一内容の回答があった場合は1回答のみカウントする。
②柔軟性
この基準は、アイデアの広さ、思考観点の多さを調べるのが目的である。
採点はアイデアの観点ごとにくくった柔軟性の発想評価表(資料2)で行う。この発想 評価表の作成法は以下のとおりである。
114
1)出されたアイデアを同一内容のアイデアごとにまとめる。
(例)K大男女・T社・P社・M社A、合計345人のビールビンの使い道のアイデァ 総数3,010回答の頻度を集計した。(資i料3)
2)頻度の多いアイデア群のそれぞれを柔軟性の1観点とする。
(例)総頻度の1%に当たる頻度30以上出たものを、柔軟性の観点とした。
すると「飼育栽培」から「売却・返却」まで16観点となった。(資料2)
③独自性
この基準は、アイデアのユニークさ、独創性を評価する尺度である。
独自性の評価は、協議で行うと個人差が大きく、基準づくりは難しい。そこで今回は、
出現頻度で評価を行うことにした。
独自性の基準は、柔軟性の観点に入れなかった1%以下のアイデアを独自性得点にした。
これは頻度の少ないものを独自としたSA創造1生検査<80>など、従来の創造性検査の方式 を踏襲した。
(例)「ラベルをコレクションする」などの答えは資料2で17.その他(具体的)に入 り、独自性の得点が1点となる。
(2)採点の手続き
以下に採点の具体的進め方について記し、実際の採点例も掲載する。
①流暢性の採点
1)記入された回答の中で、同一の回答がある場合は、1回答のみ残す。
2)残った回答の数を数え、流暢性得点とする。
②柔軟性の採点
1)流暢性の採点で残された回答を「発想評価表」を見て、そのアイデアが発想評価表の どの観点欄に入るか考え、該当観点の欄にアイデアのNOを記入する。
(注)1.記入の可能な観点が2つ以上ある場合、すでに回答がある観点に入れるのは 避け、他の観点に入れる。
2.その他(具体的)に入った回答は、この欄の中で観点がいくつかに分かれ たら、いくつの観点数になったかを数える。
2)すべての観点の数を数え、柔軟性得点とする。
③独自性の採点
その他(具体的)の欄に残った回答の数を数え、独自性得点とする。
(資料1)
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(資料2)
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