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第2節 強制連想法
1. 属性列挙法
■技法の特徴
属性列挙法はアメリカのネブラスカ大学のロバート・クロフォード(R.P.Crawford)教授 によって提唱されたもので、強制連想法の一種である〈41>。物や対象物の特性を洗い出して 発想を考える方法で、「問題を細かくするほどアイデアは出やすくなる」という考えをもとに
している。
BSのテーマを考えるときに、問題を細かに分けて考えるのにも有効である。たとえば、
「電卓」のアイデアを考えるときに、属性を分けてみる。材料は、製法は、表示部分は、キ ー部分は、デザインは、色は、厚さは、重さは、というようになるべく細かな特性に分けて、
それぞれにアイデアを考えていく。
チェックリストを考えて発想していくやり方は「チェックリスト法」と呼ばれるが、これ はその一種である。
■技法の展開
例として「ホッチキス」で考えてみる。
【テーマ:「ホッチキスの改良」】
(1)ホッチキスの特性をブレインストーミングで出す
(2)出てきた特性を整理する
産能大学の創始者・上野陽一は、創造性開発を日本に最初に導入した人である。彼は、特 性を次の3種類に分類して説明している(42>。
①名詞的特性一一一全体、部分、材料、製法 ②形容詞的特性一一性質(形、色、デザインなど)
③動詞的特性一一一機能(そのものの働き)
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これらを使ってホッチキスを特性別に分ける。
(3)分類ごとにアイデア発想をする
それぞれの特性をもっと伸ばすアイデアや、他の機能を付け加えるなどして、よりよいホ ッチキスを考える・具体的に現在あるものでは・ホッチキスに穴あけ機能をつけたもの・ダ ンボ・・一・一 ルなども止められる強力ホッチキス。針を後部から入れマグネットによって前部で止 められた超ミニホッチキスなどがある。
■技法の応用
属性列挙法は、非常に基本的な手法である。もともとは製品の改善、改良の技術的な問題 に適応するものとして発案された。
現在では、この考え方を発展させたものとして、バリューエンジニアリング(価値分析)
の中の機能分析がある。またSAMM法(Sequence−Attribute Modification Matrix)とい う手法は、この技法とオズボーンのチェックリスト法をマトリックスで組み合わせた手法と して知られている。㊨機i能分析もSAMM法も、製品開発のために現在では広く用いられて
いる。
2.チェックリスト法
■技法の特徴
「チェックリスト法」という一つの方法があるわけではない。チェックリストというのは、
あることを考えるときに抜け落ちがないように、1つずつチェックしていくための一覧表の
ことをさす。
世の中にはさまざまなチェックリストがある。海外旅行の準備品のチェックリストなどは その代表的なものである。もっと身近なものとしては、旅行に出かける前に、時計は、サイ フは、定期は、などと頭の中で考えるのも、チェックリストを使っていることになる。チェ ックリストは一般的には、ミスを起こさないための「消極的」なものが主体である。しかし、
問題解決のために新しい視点を探す「積極的」チェックリストもいくつかある。このチェッ クリスト法は、新しい発想を見つけるために用いられるものをさす。
■技法の展開
発想のためのチェックリストは、最終的には自分に最も合ったものをつくるべきだろう。
そのためには、自分自身が発想するときに用いる考え方をすべて洗い出し、他の人の考え方 をも生かして、思考のチェックリストをつくることが大切である。
代表的な発想のチェックリストを紹介する。最も有名で利用されているものは、BSの考 案者オズポーンのチェックリストである。もとはもっと長かったが、クリスマスカード用に
9項目に短くされたナイン(9)チェックリストが今では著名になった(31)。
〈オズポーンの発想チェックリスト〉
(1)転用… そのままで新しい用途は、他への使いみちは (2)応用… 似たものはないか、何かの真似は
(3)変更… 意味、色、働き、音、匂い、様式、型を変える
(4)拡大… 追加、時間を、頻度、強度、高さ、長さ、価値、材料、誇張 (5)縮小… 減らす、小さく、濃縮、低く、短く、軽く、省略、分割 (6)代用… 人を、物を、材料を、素材を、製法を、動力を、場所を (7)再利用・・要素を、型を、配置を、順序を、因果を、ペースを (8)逆転… 反転、前後転、左右転、役割転換、靴の左右を変える (9)結合… ブレンド、合金、ユニットを、目的を、アイデアを 各項目の中身を、もう少し詳しくマッチのアイデアを例として説明する。
【マッチのアイデァ例】
(1)転用… 着火用→マッチ棒の家 (2)応用… はし立て→円筒型マッチ (3)変更… 四角→丸・三角型マッチ (4)拡大… 大マッチ
(5)縮小… ミニマッチ (6)代用… 木→紙マッチ (7)再利用・・軸入れの場所変え (8)逆転… 超豪華マッチ (9)結合… 占いマッチ
■技法の応用
チェックリスト法は、オズボーンなど既存のものを用いて発想していくこともできる。し かしその際は、そのチェックリストがどんな用途に特に向いているか考える必要がある。
オズボーンのチェックリストや属性列挙法は、品物の発想をするのに向いている。一方、
ソフトな企画に向く技法もいくつかある。
しかし、何より発想のチェックリストは自分自身のものをつくり出すことが最も大切であ る。人のものを使っていたのでは、その人を超えることはできない。
3.マトリックス法
■技法の特徴
発想の切り口を絞り込むための方法にマトリックス法がある。これは、変数2つの組み合 わせ手法である。タテとヨコに2つの変数を決め、変数ごとに要素を洗い出し、それらの組 み合わせを用いて現状を分析したり、解決のアイデアを考えたりする。
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テーマが大まかすぎるときなどには・マトリックス法を使って絞り込み・適切な方向性を見 っけ出すことができる(9)。
■技法の展開
(1)テーマを決める・なるべく具体的なものにする・
(2)テーマに関して、考えられる切り口(変数)を洗い出す。
(3)変数を2つに絞って、表頭と表側に記入する。
(4)変数ごとに、いろいろな要素を洗い出す。
(5)変数ごとに要素を絞り込み、表頭と表側に記入する。
(6)重要と思われるブロックを、いくつかに絞り込む。
(7)絞り込んだブロックごとに、アイデアを発想する。
【例:ビジネスバッグ】
たとえば、「ビジネスバッグ」を考える場合、まず変数を考える。「対象」「商品機能」「材 質」「用途」などいろいろ考えられる。図表15の例では、一方の変数を「対象」として表側 に、もう一方の変数に「用途」を取り上げて表頭にし、それぞれ要素を記入したマトリック
スである。
(図表15) ビジネスバッグ
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アイデア発想をする場合、すべてのブロックについて発想を行うこともあるし、あるブロ ックにターゲットを絞って徹底発想することもある。
たとえばキャリアウーマン用の通勤バッグに目をつけ、「キャリアウーマン×通勤用」のブ ロック(ブロック1)を取り上げる。このように絞り込んでアイデアを発想すれば、方向性 がよくわかり、特にチームで行う場合、全員が課題を明確に意識して発想することができる。
■技法の応用
マーケットの新動向の分析や、既存商品の現状のマップづくりなどに、よくマトリックス 法が用いられる。また、新しいジャンルの業態開発を考えたり、新商品の企画を考えるとき にもよく用いる。前者は現状分析的な用い方であり、後者は課題解決的な用い方である。
マトリックス法のポイントは変数の選出で、よい変数を選ぶことがなによりも大切である。
たとえば、「対象」では大まかすぎるので・「ヤング女性」と具体的に絞り込むほうが適切で ある。絞り込んだほうが・より具体的なアイデアを出しやすくなる。
ブロックごとのデータ出しは、現状分析の場合は現状の事実を出すことになり、課題解決 の場合はアイデアを出すことになる。この場合、すべてのブロックに対してデータ出しを行 うとは限らず、むしろ限定して行うのが通例である。
4.形態分析法
■技法の特徴
形態分析法は、カリフォルニア工科大学の教授であり、宇宙工学の権威として知られたブ リッツ・ズィッキーが1942年に発表した強制連想法の1技法である(25>。
彼は「問題解決するにあたって、先入観や事前評価が多すぎる」と考えた。そこで、思考 する全ジャンルを洗い出し、すべての可能な組み合わせを考えることにした。それが形態分 析法である。彼は形態分析法を利用するときに「明らかに不可能と証明されない限り、何事 も不可能と認められるべきでない」と言って、あらゆる可能性追求の必要性を説いている。
形態分析法は、発想するのにいくつかの独立した要素を組み合わせてチャート化し、組み 合わせられたワクごとに発想していくという方法をとる。
日本ではあまり知られていないが、欧米では多用されており、幅広い問題に適応できる。
■技法の展開
ズィッキーは、ステップを次の5つに分けている。
〈形態分析法のステップ〉
(1)問題を正確に、明解に記述する
(2)あらゆる独立変数を洗い出す
(3)形態分析チャートを作成する
(4)ボックスごと発想・分析・評価をする
(5)最適の解決策を選ぶ
【例:ジェット・エンジン】
ズィッキーが実施した「ジェット・エンジン」の例でみる。ズィッキーはジェット・エン ジンの推進方法をあらゆる角度から考え、6つの独立変数を見つけた。
①変数P1=エンジンを作動させる状態(P11真空 P12大気 P13水 P14地球内の地層)
②変数P2=推進燃料の作動タイプ(P21静止 P22移動 P23振動 P24回転)
③変数P3=推進燃料の物理的状態(P31ガス状 P32液体 P33固形)
④変数P4=推進増大装置のタイプ(P41なし P42内蔵 P43外装)
⑤変数P5=点火のタイプ(P51自己点火 P52外部点火)
⑥変数P6=作動の連続性(P61継続的 P62断続的)
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