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生物活性/薬効に関する試験

ドキュメント内 Microsoft Word - A-262_01_101_ doc (ページ 64-67)

3.1%以下(面積百分率)のHMWを含有するアバタセプトをサルに投与した場合のHMWの投 与量(mg/kg)と製剤規格値 xx%以下(面積百分率)のHMWを含有するアバタセプトをヒトに 投与した場合のHMWの投与量(理論上投与1回当たりの投与量xx mg/kg)との比較を、表 8-1 に示す。アバタセプトをサル及びヒトに単回投与した場合の安全係数は、最大 7.8倍(体重当た りの投与量換算)であった。1ヵ月間の累積投与量で比較すると、安全係数は最大58.3倍(体重 当たりの投与量換算)であった。これらの安全域の計算から、臨床で使用するアバタセプトの高 分子種(HMW)の規格値(面積百分率で原薬では xx%以下、製剤では xx%以下)での安全性が 確認された。

表 8-1: 高分子種の安全域

サルの 毒性試験

(投与回 数/期間)

アバタセプト NOAEL

mg/kg

HMW の面積 百分率

(%)

1回当たりの HMW投与量

mg/kg

ヒトの臨床推奨用 量でのHMW 投与量(xx mg/kg)

に対する安全係数

(1投与当たり)

1ヵ月間の HMWの累 積投与量

(mg/kg)

ヒトの臨床推奨用 量でのHMW 投与量(xx mg/kg)

に対する安全係数

(1ヵ月間当たり)

単回 100 3.1 3.1 7.8 NA NA

1ヵ月間 (15/ 30日間)

50 3.1 1.55 3.9 23.3 58.3

1年間 (52/ 52週間)

50 1.1 0.55 1.4 2.37 5.9

HMW:高分子種、NA:該当せず、NOAEL:無毒性量

投与量20及び65 mg/kgでは、いずれのマウスでもアバタセプト特異抗体は検出されず、全例 で KLH 特異抗体応答の強い抑制がみられた。これらの投与量では、投与5 週目(定常状態)に おけるアバタセプトの平均AUCは16700 μg·h/mL以上で、KLH免疫時の5回目の投与前におけ る血清中の平均アバタセプト濃度は52.8 μg/mL以上であったことから、これらの曝露量及び血清 中濃度で特異的なT細胞依存性抗原に対する免疫応答の強い抑制が示された。

投与量10 mg/kgでは、10例中6例のマウスでアバタセプト特異抗体が検出されず、KLH特異

抗体応答の強い抑制がみられたのに対し、10例中4例ではアバタセプト特異抗体が検出され、強 いKLH特異抗体応答がみられた。本投与量では、投与5週目における平均AUC及びKLH免疫 時の5回目の投与前における血清中濃度はそれぞれ4300 μg·h/mL及び8.34 μg/mLであったことか ら、KLHに対する抗体応答を強く抑制するためにはこの値を上回る曝露量を維持する必要がある ことが示唆された。

投与量5 mg/kg以下では、20例中19例のマウスでアバタセプト特異抗体が検出され、ほとん

どのマウスで強いKLH特異抗体応答が認められた。これらの投与量では、投与5週目の平均AUC 及び KLH 免疫時の 5 回目の投与前における血清中濃度はそれぞれ 890 μg·h/mL 以下及び 1.24

μg/mL以下であった。免疫原性を有することによりアバタセプトの消失速度が急速に増加し、そ

の結果投与量5 mg/kg以下では曝露量が減少したものと考えられた。

これらの試験成績より、アバタセプトをマウスに週1回皮下投与する場合、免疫応答を抑制し て曝露量を維持するためには10 mg/kgを上回る投与量が必要であることが示された。アバタセプ トの曝露量及び血清中濃度を基に計算すると、免疫応答を持続的に抑制するために必要な曝露量 及び血清中トラフ濃度は投与量20 mg/kgでそれぞれ16700 μg·h/mL及び52.8 μg/mLであった。し たがって、がん原性試験では全投与量(投与量20, 65及び200 mg/kgで週1回投与)で免疫抑制 作用が発現していたと考えられた。投与量10及び20 mg/kgにおける曝露量は、アバタセプトを 臨床用量で月1回投与した場合のヒトでの曝露量のそれぞれ0.4及び1.4倍に相当した。

8.5.2 ウサギにおける単回静脈内投与薬効及び薬物動態試験(GLP不適合)

アバタセプトの薬理作用及びPKについて検討するために、雌ウサギ4匹に投与量10 mg/kgで 単回静脈内投与した(表2.6.7.17-1 毒性試験概要表、4.2.3.7.7-2)。対照群の動物には、溶媒(5%

デキストロース)を投与した。アバタセプト投与直前に、各ウサギにKLH(1 mg)を200 μLの 投与液量で単回皮下投与した。評価項目は臨床徴候観察、体重測定、PK及びKLH特異抗体検査

(IgM又はIgG)とした。

投薬に関連した臨床徴候又は体重の変化はみられなかった。KLH に特異的なIgM及びIgG 抗 体応答は、対照群と比較してアバタセプト投与群で92~100%抑制された。Cmaxは289 μg/mL、

AUCは5940 μg·h/mL、t1/2は2.4日、全身クリアランス(CL)は1.73 mL/h、分布容積は133.5 mL であった。

本試験成績より、アバタセプトはウサギに薬理作用を示したことから、生殖発生毒性試験を実 施するためにウサギが適切な動物種であることが示された。さらに、平均t1/2が2.4日であること から、投与スケジュールとして3日に1回投与の妥当性が示された。

8.5.3 サルにおけるアバタセプト及びbelatacept(BMS-224818)の単回静脈内投与薬効比較試 験(GLP不適合)

アバタセプト及びbelataceptの免疫抑制作用及びPKについて比較検討するために、アバタセプ ト及びbelataceptを1群当たり雌雄各2匹のサルに、それぞれ投与量0.125, 0.5又は2.0 mg/kg及 び投与量 0.03, 0.125 又は 0.5 mg/kg で単回静脈内投与した(表 2.6.7.17-1 毒性試験概要表、

4.2.3.7.7-3)。対照群の動物には、アバタセプトの溶媒を同一条件で投与した。被験薬投与前に、

すべてのサルをヒツジ赤血球(SRBC)及びマウス抗体L6で免疫した。薬物濃度並びにSRBC、

マウス L6 及び薬物に対する抗体濃度は、試験期間中複数の時点で採取した血清を用いて測定し た。動物は42日目の最終採血後に飼育集団に戻した。

アバタセプト及び belataceptともに SRBCに対する一次抗体応答を用量依存的に抑制した。ア バタセプト及び belataceptの各投与量とSRBC 特異抗体の抗体価の群幾何平均値をプロットし指 数関数曲線に当てはめることにより、アバタセプトと比較して belataceptが SRBC特異抗体応答 のピークを50%抑制する投与量(ID50)に関しては約2~3倍効果的であり、SRBC特異抗体応答 のピークを 90%抑制する投与量(ID90)に関しては 6~11 倍有効であることが示された。SRBC 特異抗体応答の発現と比較して、マウス L6 に対する抗体応答の発現が遅延したことから、薬物 特異抗体の存在のためにマウス L6 に対する抗体応答のピークを抑制する投与量に関する評価は 複雑であった。同一投与量では、アバタセプト及び belatacept に対する薬物特異抗体価に差異は みられなかった。アバタセプト及びbelataceptのCD80/CD86結合ドメインに対する薬物特異抗体 のサブセットが検出されたにもかかわらず、両薬物ともにIgドメインの共有エピトープに対する 応答が主体であった。同一投与量0.125 mg/kgでは、belataceptの血清中濃度はアバタセプトの血 清中濃度よりも概して低く、belataceptのt1/2はアバタセプトのt1/2よりも短いことが示唆された。

以上より、in vivoでのT細胞依存性抗原に対する一次液性免疫応答の抑制に関しては、belatacept がアバタセプトより優れていることが示された。

8.5.4 カニクイザルにおける反復静脈内投与薬効試験(GLP不適合)

アバタセプトの免疫抑制作用について検討するために、PBSに溶解した本薬を1群当たり雌雄 各2匹のカニクイザルに、投与量1, 2.9及び8.7 mg/kgで1, 4, 8, 11, 15及び18日目に静脈内投与 した(表2.6.7.17-1 毒性試験概要表、4.2.3.7.7-4)。1日目(一次免疫)及び約3~4ヵ月後(二次 免疫)に、10%SRBCを投与液量1.7 mL/kgで静脈内投与し、すべてのサルを免疫した。対照群の 動物には、アバタセプトを投与せずに同様のスケジュールでSRBC投与により免疫した。評価項 目は、臨床徴候観察、体重・摂餌量測定、SRBC 特異抗体産生検査及び免疫学的検査(定量血清 電気泳動、リンパ球絶対数及びリンパ球サブポピュレーションを含む)とした。さらに、血清中 のアバタセプト濃度を各投与日の投与前及び複数時点並びに最終投与後48日目まで測定した。

全身曝露量は投与量に比例して増加し、投与量1, 2.9及び8.7 mg/kgのAUC平均値はそれぞれ 約2783, 8812及び25765 μg·h/mLであった。群間で平均t1/2値に有意差がみられなかったことから、

アバタセプトの血清からの消失速度は投与量が増加しても変化しないことが示唆された。

死亡例は認められず、投薬に関連した臨床徴候又は体重・摂餌量の変化もみられなかった。ア バタセプト投与により、一次SRBC特異抗体応答が用量依存的に抑制(71~98%)された。36日 目に血清グロブリン(主にIg)量が用量依存的に26~46%減少したが、観察された免疫抑制作用 はリンパ球数及びリンパ球サブポピュレーションの相対比率に対する全身性の影響によるもので はないと考えられた。アバタセプト非存在下でSRBCを再曝露させると抗体応答が開始したこと から、これらの動物では免疫寛容が誘導されていないと考えられた。

以上より、アバタセプトをサルに投与すると、SRBC に対する一次抗体応答は抑制されたが、

免疫寛容は誘導されないことが示された。

ドキュメント内 Microsoft Word - A-262_01_101_ doc (ページ 64-67)