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不純物の毒性試験

ドキュメント内 Microsoft Word - A-262_01_101_ doc (ページ 61-64)

マウス及びサルを用いた単回静脈内投与毒性試験を実施し、アバタセプト原薬の初期製造工程

(プロセスA及びB)のバッチの効力、バッチ内の不純物[XXXXXXXXXXXXXXXXXXX]の 有無及びヒスタミン遊離・補体活性化・サイトカイン遊離・急性期蛋白の上昇を誘発する凝集物 含有アバタセプト(シリコーンコーティングシリンジ内での保存に由来)について検討した。ま た、サルを用いた単回及び反復投与毒性試験で、アバタセプトの高分子種(HMW)に関する安 全性について検討した。

8.4.1 マウスにおける単回静脈内投与探索毒性試験(GLP不適合)

アバタセプトのプロセスA(初期製造工程)原薬又はプロセスA原薬から分離されたピーク2

(XXXX 様)不純物をマウスに静脈内投与した場合、前炎症時に放出されるサイトカイン IL-6 が増加するか否かについて検討した。初期製造工程(プロセスA)のアバタセプト原薬を投与量 0, 0.14, 1.43, 14.3及び100 mg/kg又はピーク2不純物を投与量0.04, 0.4, 4及び28 μg/kgで、1群当 たり雌雄各3匹のマウス9群に単回静脈内投与した(表2.6.7.17-1 毒性試験概要表、4.2.3.7.6-1)。

血清中のマウスIL-6濃度を測定するために、投与後4時間目に採血した。

アバタセプトのプロセスA原薬及びピーク2不純物ともに、いずれの投与量においても投薬に 関連した血清中 IL-6濃度の上昇を引き起こさなかった。54例中3例のマウスでのみ、IL-6濃度

が定量下限を上回った。

以上より、アバタセプトのプロセスA原薬及びピーク2(XXXX様)不純物をマウスに静脈内 投与しても、血清中IL-6濃度は対照群を上回って上昇しなかった。したがって、アバタセプト又 はxxxxx様不純物に関連したサイトカイン活性化のin vivoモデルとしてマウスは不適切である か、あるいはアバタセプト及び初期製造工程の原薬中に認められたxxxxx様不純物は IL-6濃度 を上昇させないことが示唆された。

8.4.2 サルにおける単回静脈内投与試験(GLP不適合)

初期製造工程プロセスA及び添加物としてマルトースをXXしたプロセスBで製造したアバタ セプト原薬をサルに投与し、アバタセプトがヒスタミン遊離、補体活性化、サイトカイン遊離あ るいは急性期蛋白の上昇を誘発する可能性について検討した。プロセスA及びプロセスBで製造 したアバタセプトを1群当たり雌雄各2匹のカニクイザルに、それぞれ投与量100 mg/kgで単回 静脈内投与した(表2.6.7.17-1 毒性試験概要表、4.2.3.7.6-2)。対照群の動物には、溶媒(5%デキ ストロース)を投与した。評価項目は臨床徴候観察、血液学的検査並びにヒスタミン、補体(C3a 及び分解生成物C4d及びBb)、サイトカイン(TNF-α、IL-1β及びIL-6)及び急性期蛋白[血清ア

ミロイドA(SAA)及び血漿フィブリノーゲン]の測定とした。

投薬に関連した明らかな毒性徴候及び血液学的パラメータの変化はみられなかった。ヒスタミ ン、総溶血性補体濃度としての補体活性化、補体活性化時に誘導される血清C4d・Bb濃度及びサ イトカイン(TNF-α又はIL-1β)には、投薬に関連した変化はみられなかった。プロセスA又は プロセスB原薬を投与した4例中1例のサルで、血清中のIL-6濃度が上昇した。両原薬を投与し た4例中1例のサルでSAAが増加し、これらの動物ではフィブリノーゲンの軽微な増加も認めら れたが、対照群の動物1例でも同程度のフィブリノーゲン増加が観察された。プロセスB原薬投 与群では、同一動物でIL-6、SAA及びフィブリノーゲンの増加がみられたのに対し、プロセスA 原薬投与群では異なる動物でIL-6の増加とSAA又はフィブリノーゲンの増加が認められた。

以上より、プロセス A 又はプロセスB のいずれかの工程で製造した原薬を投与した 4例中 1 例のサルでIL-6、SAAあるいはフィブリノーゲンの増加が認められた。いずれの原薬でも、ヒス タミン遊離、補体活性化、測定可能な IL-1β・TNF-α の増加はみられなかった。さらに、本試験 では明らかな毒性徴候を示す動物はみられなかった。1群当たり4例中1例の動物でのみIL-6及

びSAA/フィブリノーゲンの増加がみられたが、その他のサイトカインには影響がみられず、い

ずれの動物でも明らかな毒性徴候がみられなかったことから、上記の変化の生物学的意義につい ては不明である。

8.4.3 サルにおける単回静脈内投与試験(GLP不適合)

凍結乾燥製剤をシリコーンコーティングシリンジ内で溶解/保存した際に生成した凝集物を含 むアバタセプトを、サルに静脈内投与した場合の急性毒性について検討した(表2.6.7.17-1 毒性 試験概要表、4.2.3.7.6-3)。凝集物を生成させるために、濃度 20 mg/mLのアバタセプトをバイア ルからシリコーンコーティングシリンジに移し、限られた混合操作のみを加えて室温で約4時間

保存した。同量の添加物のみを含むプラセボを、アバタセプトと同様に調製した。1 日目に、プ ラセボを雄4匹及び雌2匹、凝集物を含むアバタセプトを投与量150 mg/kgで雄3匹及び雌3匹 のカニクイザルに静脈内投与した。体表面積当たりの投与量に換算すると、本試験におけるアバ タセプトの投与量(1800 mg/m2)はヒトの臨床試験での最高用量に相当する。8日間のウオッシ ュアウト後(9日目)、プラセボ群にはアバタセプトを投与量150 mg/kgで、アバタセプト投与群 にはプラセボを投与した。別途、1 日目に溶解・調製した凍結乾燥製剤を凝集物が生成されない シリコーンフリーシリンジで保存した。投与液中の凝集物の有無については目視及び化学分析で 確認した。投与後 1 時間臨床観察を行い、補体・ヒスタミン・IL-6・急性期蛋白(血漿中フィブ リノーゲン・SAA)について検討するために採血した。

投薬に関連した唯一の所見として、凝集物の有無にかかわらず投与直後にC3aの平均血漿中濃 度の軽微な上昇(約3倍)がみられ、補体が一部活性化されていることが示されたことから、C3a 濃度上昇は、凝集物には関連がないと考えられた。なお、毒性徴候又は投薬に関連したヒスタミ ン・IL-6・急性期蛋白濃度の上昇はみられなかった。

8.4.4 高分子種(HMW)の製剤規格を担保するための非臨床試験成績

アバタセプトの臨床推奨用量は約10 mg/kgで、これを月1回静脈内投与する。アバタセプトの 高分子種(HMW)の規格値は面積百分率で原薬では X%以下、製剤では Xx%以下に設定されて いることから、ヒトの臨床推奨用量におけるHMWは原薬では最高xxx mg/kg/month(10 mg/kg × xxx = xxx mg/kg/month)、製剤では最高xx mg/kg/month(10 mg/kg × xxxx = xx mg/kg/month)とな る。

サルを用いた毒性試験において、アバタセプトを最高投与量100 mg/kgで単回投与(4.2.3.1-2)

又は最高投与量50 mg/kgで2日に1回30日間及び週1回1年間反復投与(4.2.3.2-3, 4.2.3.2-5)し ても、投薬に関連した明らかな毒性はみられなかった(表2.6.7.5-1、表2.6.7.7-3及び表2.6.7.7-5 毒性試験概要表)。薬理作用に起因する可逆的な変化として、血清Ig 量の一過性の軽微な減少及 び脾臓・リンパ節で胚中心の数及び直径の軽度から中等度の減少がみられた。サルの単回及び反 復投与毒性試験の一環として実施した安全性薬理試験では、投薬に関連した心血管系、神経系及 び呼吸器系機能の変化は認められなかった(2.6.2.4)。これらの試験の無毒性量は、各試験の最高 投与量と推定された。

単回投与毒性試験では、HMWを3.1%(面積百分率)含有するアバタセプトを、投与量10, 33 及び100 mg/kgで静脈内投与したことから、投与量100 mg/kgにおけるHMWの投与量は3.1 mg/kg と算出された。1ヵ月間投与毒性試験では、HMWを3.1%(面積百分率)含有するアバタセプト を、投与量10, 22.4及び50 mg/kgで2日に1回1ヵ月間(計15回)静脈内投与したことから、

投与量50 mg/kgにおけるHMWの投与量は1回当たり1.55 mg/kg、累積投与量は23.3mg/kg/month と算出された。1年間投与毒性試験では、HMWを1.1%(面積百分率)含有するアバタセプトを、

投与量10, 22及び50 mg/kgで週1回1年間(計52回、1ヵ月平均投与数4.3回)静脈内投与した ことから、投与量50 mg/kgにおけるHMWの1回当たりの投与量は0.55 mg/kg、累積投与量は2.37 mg/kg/monthと算出された。

3.1%以下(面積百分率)のHMWを含有するアバタセプトをサルに投与した場合のHMWの投 与量(mg/kg)と製剤規格値 xx%以下(面積百分率)のHMWを含有するアバタセプトをヒトに 投与した場合のHMWの投与量(理論上投与1回当たりの投与量xx mg/kg)との比較を、表 8-1 に示す。アバタセプトをサル及びヒトに単回投与した場合の安全係数は、最大 7.8倍(体重当た りの投与量換算)であった。1ヵ月間の累積投与量で比較すると、安全係数は最大58.3倍(体重 当たりの投与量換算)であった。これらの安全域の計算から、臨床で使用するアバタセプトの高 分子種(HMW)の規格値(面積百分率で原薬では xx%以下、製剤では xx%以下)での安全性が 確認された。

表 8-1: 高分子種の安全域

サルの 毒性試験

(投与回 数/期間)

アバタセプト NOAEL

mg/kg

HMW の面積 百分率

(%)

1回当たりの HMW投与量

mg/kg

ヒトの臨床推奨用 量でのHMW 投与量(xx mg/kg)

に対する安全係数

(1投与当たり)

1ヵ月間の HMWの累 積投与量

(mg/kg)

ヒトの臨床推奨用 量でのHMW 投与量(xx mg/kg)

に対する安全係数

(1ヵ月間当たり)

単回 100 3.1 3.1 7.8 NA NA

1ヵ月間 (15/ 30日間)

50 3.1 1.55 3.9 23.3 58.3

1年間 (52/ 52週間)

50 1.1 0.55 1.4 2.37 5.9

HMW:高分子種、NA:該当せず、NOAEL:無毒性量

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