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サルにおける単回静脈内投与比較試験(GLP 適合)

ドキュメント内 Microsoft Word - A-262_01_101_ doc (ページ 72-200)

8.6 製剤比較試験

8.6.8 サルにおける単回静脈内投与比較試験(GLP 適合)

XXXX社で製造した原薬を用いて製造したアバタセプト凍結乾燥製剤(xxx - xxx、プロセスF)

とBMS社で製造した原薬を用いて製造したアバタセプト凍結乾燥製剤(BMS-xxx、プロセスE)

の PK 及び安全性プロファイルを比較検討するために、各製造施設で製造したアバタセプト製剤 を、1群当たり雌雄各9匹のサルに投与量10 mg/kg(臨床用量)で単回静脈内投与した(表2.6.7.17-1 毒性試験概要表、4.2.3.7.7-12)。評価項目はPKパラメータ、臨床徴候観察、体重・摂餌量・体温 測定、理学検査(神経系機能と状態、心音、呼吸音、心拍数・呼吸数測定を含む)、免疫原性検査 及び臨床病理学的検査とした。すべての動物が試験終了時まで生存したことから、49又は50日 目に飼育集団に戻した。

各製造施設で製造したアバタセプトをサルに単回静脈内投与すると、アバタセプトの全身曝露 量[AUC(INF)及びCmax]は類似しており、いずれの製剤にも性差は認められなかった。各製剤 のt1/2、MRT、CL及びVss の平均値も類似していた。統計学的解析により、2ヵ所の製造施設で 製造された製剤のカニクイザルにおける生物学的同等性/同質性が示された。特に、両製剤間の

Cmax及びAUC(INF)の幾何平均値比の90%信頼区間は、それぞれ0.8及び1.25以内であった(表

8-3及び表 8-4)。

表 8-3: アバタセプトのPKパラメータの概要a

アバタセプト製造施設 BMS-xxxb xx-xxc

性別 雄 雌 雄 雌

Cmax (μg/mL) 256 261 278 267

Tmax (h) 0.58 0.36 0.10 0.52

AUC(0-T) (μg·h/mL)d 15900 15400 14700 14700

AUC(INF) (μg·h/mL) 16000 15500 14800 14700

t1/2(h) 110 109 105 104

MRT (h) 154 147 154 142

CL (mL/h/kg) 0.632 0.652 0.679 0.692

Vss (L/kg) 0.0973 0.0954 0.105 0.0970

a 表中のPKパラメータは全て平均値を記載した。

b BMS-xxxは、BMS社(xxxxxx, xxxxxxx)で製造したアバタセプト製剤(Lot xxxxxxxxxxxxxxxxx)を示す。

c xxx-xxxは、xxxxxxxxxxxxx社(xxxxxxxxxxxxx)で製造したアバタセプト製剤(Lot xxxxxxxxxxx)を示す。

d 血清中濃度の測定可能な最終時点(T)は最長1008時間。

表 8-4: アバタセプトのPKパラメータの統計学的解析結果a

幾何平均値 幾何平均値比

PKパラメータ

製造施設 幾何平均値 比 点推定 90%信頼区間

Cmax (μg/mL) BMS-xxxb

xx-xxc

256.44 270.33

xx-xx/

BMS-xxx 1.05 (0.98, 1.14) AUC(INF) (μg·h/mL) BMS-xxxb

xx-xxc

15660.36 14661.37

xx-xx/

BMS-xxx 0.94 (0.88, 0.99)

a 統計学的解析については、PKパラメータは幾何平均値を記載した。

b BMS-xxxは、BMS社(xxxxxxx, xxxxxxxx)で製造したアバタセプト製剤(Lot xxxxxxxxxxxxxxx)を示す。

c xx-xxは、xxxxxxxxxxxxxx社(xxxxxxxxxxxx)で製造したアバタセプト製剤(Lot xxxxxxxxx)を示す。

BMS-xxx製剤を投与した18例中10例及びxx-xXx製剤を投与した18例中11例で、29日目以 降にアバタセプト特異抗体応答がみられた。アバタセプト特異抗体応答がみられたサルの全身曝 露量[AUC(INF)及びCmax]は、アバタセプト特異抗体応答がみられなかったサルの全身曝露量 と同程度であった。

いずれの製剤を投与した動物にも、投薬に関連した変化はみられなかった。

以上より、BMS-xxx(プロセスE)又はxx-xXx(プロセスF)原薬を用いて製造したアバタセ プト製剤を、カニクイザルに投与量10 mg/kgで単回静脈内投与すると、両製剤のPK及び安全性 プロファイルは類似していることが示された。

9 考察及び結論

広範囲な非臨床安全性試験を実施し、アバタセプトの毒性について検討した。アバタセプトを ヒトに長期間投与した場合の安全性を担保するために、アバタセプトではマウスで最長6ヵ月間 の皮下投与試験、ラットで最長3ヵ月間及びサルで最長1年間の静脈内投与試験、belatacept(ア バタセプトより強力な免疫抑制作用を有する薬剤)ではサルで最長6ヵ月間の静脈内投与試験を 実施した。さらに、遺伝毒性試験、がん原性試験、生殖発生毒性試験及び新生児を用いた毒性試 験、局所刺激性試験、免疫毒性試験並びにその他の特殊毒性試験も実施した。

アバタセプトの主要な反復投与毒性試験の無毒性量及び最大耐量における曝露量と、10 mg/kg で月1回静脈内投与した場合のヒトでの曝露量との比較(AUC比)を表 9-1に示す。

アバタセプトをマウス及びサルに長期間投与すると、全投与量で忍容性が認められた。表 9-1 に示すように、アバタセプトの反復投与毒性試験における全身曝露量(AUC)と臨床用量におけ るヒトのAUCの比較から、4.7~9.5倍の安全域が示された。しかし、アバタセプトを3ヵ月間投 与したラットでは、65 mg/kg(試験で評価した最低用量で、臨床用量でのヒトの曝露量の 5.9倍 の曝露量に相当)以上で免疫学的パラメータ及びリンパ系器官の変化並びに非リンパ系器官(甲 状腺及び膵島を含む)の炎症が認められたことから、ラットはアバタセプトに対し特異的な感受 性を示すと考えられた。

表 9-1: マウス、ラット及びサルの曝露量とヒトの曝露量の比較

動物種/

投与薬物

投与経路/

投与期間

投与量 (mg/kg)

投与量a

(mg/kg)

ヒトに対する曝露量比 (AUC)

NOEL:20 0.9b

NOAEL:200 4.7b

マウス アバタセプト

皮下 6ヵ月間

20, 65, 200 週1回

MTD:200 4.7b

NOAEL:< 65 5.9 b ラット

アバタセプト

静脈内 3ヵ月間

65, 200

3日に1回 MTD:200 14.5b

NOAEL:50 9.5b

サル アバタセプト

静脈内 1年間

10, 22, 50

週1回 MTD:50 9.5b

NOAEL:50 13.5c

サル

Belatacept(BMS-224818)

静脈内 6ヵ月間

10, 22, 50

週1回 MTD:50 13.5c

a MTD:最大耐量、NOAEL:無毒性量、NOEL:無作用量

b アバタセプトを投与量10 mg/kgで月1回静脈内投与したRA患者の曝露量(AUC50102 μg·h/mL)から安全 係数を算出

c BelataceptBMS-224818)を投与量10 mg/kgで単回静脈内投与した健康成人の曝露量(AUC22259 μg·h/mL から安全係数を算出

出典:5.3.5.1-2, 4.2.3.2-1, 4.2.3.2-4, 4.2.3.2-5, 4.2.3.2-6

アバタセプトを投与量65及び200 mg/kgでマウスに週1回6ヵ月間皮下投与すると、最も特筆 すべき所見として腎臓における軽度の慢性多巣性炎及び尿細管上皮細胞変性を伴う巨大核の発現

頻度及び程度の可逆的な上昇がみられた。マウスのがん原性試験でも、全投与量(20, 65及び200 mg/kg)で腎尿細管上皮細胞における巨大核が認められた。両試験では、対照群でも低頻度で巨 大核がみられたことから、巨大核は自然発症性かつ加齢性の病変の悪化によるものと考えられた。

げっ歯類の腎尿細管上皮細胞でみられる巨大核はある種の腎毒性物質や発がん物質と関連がある ことが知られている28),29),30),31)が、アバタセプト投与群のマウスの臨床病理学的パラメータには腎 機能に対する影響はみられず、腎障害を示唆するその他の病理組織学的変化も認められなかった。

6 ヵ月間投与毒性試験でみられた腎炎と尿細管上皮細胞変性はがん原性試験では認められず、が ん原性試験では曝露期間が長いにもかかわらず巨大核の程度は上昇しなかった。さらに、ラット の反復投与毒性試験ではアバタセプトを最長 3 ヵ月間、サルの反復投与毒性試験では belatacept を最長6ヵ月間及びアバタセプトを最長1年間投与しても、腎臓の巨大核はみられなかった。し たがって、アバタセプト投与群のマウスでみられた腎臓の変化は種特異的な変化と考えられ、本 薬に長期間曝露されても腎臓に対する悪影響はみられず、病理組織学的にもネフロンの欠損は認 められなかった。以上の理由から、マウスの6ヵ月間投与毒性試験における無作用量は20 mg/kg

(臨床用量でのヒトの曝露量の0.9倍の曝露量)、無毒性量は200 mg/kg(臨床用量でのヒトの曝 露量の4.7倍の曝露量)と推定された。

アバタセプトを最長1年間及びbelatacept(アバタセプトより強力な免疫抑制作用を有する薬剤)

を最長6ヵ月間投与したサルでは、可逆的で薬物の薬理作用に関連した変化がみられた。いくつ かのアバタセプトの反復投与毒性試験で、血清IgG量の軽微な減少がみられ、対照群と比較し平 均値で最大42%減少した。アバタセプトの1年間投与毒性試験では1時点(32週目)でのみ血清 IgG量の減少がみられたのに対し、belataceptの6ヵ月間投与毒性試験では投与期間を通して血清 IgG 量の減少が認められた。病理組織学的検査では、リンパ節又は脾臓の胚中心の数及び大きさ の可逆的な減少がみられた。これらの所見は、胚中心の活性低下を反映した変化と考えられたが、

リンパ球壊死は認められなかった。さらに、アバタセプトを最長 1 年間及び belatacept を最長 6 ヵ月間投与しても、末梢血リンパ球サブポピュレーションの変化は認められなかった。

アバタセプト及びbelatacept投与により、KLHに対する液性免疫応答並びにその他多くのT細 胞依存性抗原が明らかに抑制されることが示された(4.2.3.7.2-4, 4.2.3.7.7-3, 4.2.3.7.7-8, 4.2.1.1-10)。

T細胞依存性抗原に対する抗体応答の発現にはB細胞、T細胞及びマクロファージの相互作用が 必要である。Belataceptの6ヵ月間投与毒性試験及びアバタセプトの1年間投与毒性試験の投与期 間終了後、全投与量で8週の休薬期間終了後にKLHの免疫により明らかな抗体産生が認められ、

免疫機能の活性が確認された。薬理作用に起因する所見として、血清IgG量の減少及び胚中心の 活性低下並びにT細胞依存性抗体応答の抑制がみられたが、これらの変化は血清中のアバタセプ

ト及びbelatacept濃度が免疫抑制作用を示す濃度を下回ると回復した。

サルを用いたアバタセプトの1年間投与毒性試験の試験開始前のウイルス検査では、すべての サルが1種類又は複数のウイルス{LCV[エプスタインバーウイルス(EBV)様ウイルス]が40 例中38例、ヘルペスBウイルスが40例中25例、RhCMVが40例中18例、SV40(JC様ウイル ス)が40例中19例}に感染していたことが確認されたにもかかわらず、いずれの試験でも血清 IgG 量の減少及び/又は胚中心の活性低下に起因する細菌・真菌・ウイルス感染の臨床徴候は認

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