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現場管理者による検討内容の振り返りと再発防止の立案

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 71-75)

第 3 章 現場の作業員と管理者が参加した事故原因分析

3.4 事故検討会の流れ

3.4.3 現場管理者による検討内容の振り返りと再発防止の立案

3

回目は、第

1

回目と第

2

回目の検討内容の振り返りをおこなった。

YM

氏(所 長)、KS氏(安全管理者)、TG氏(職長)、HV氏(職長)、SH氏(現場代理人)、

TS

氏(現場代理人)の

5

名が参加した。安全管理者(筆者)が議事進行を務めた。

61

図 3-5 現場管理者による検討内容の振り返りの様子

(2010年

4

17

日 筆者撮影)

・TG氏(職長:年齢

52

歳、経験年数

25

年)

やっぱり、

EPS

内での作業ルールが曖昧だったと思う。作業ルールがあったが、

ここの場所だけが曖昧だったと思う。

・HV氏(職長:年齢

38

歳、経験年数

21

年)

安全帯フック掛けの指導が不十分であった。

EPS

内を移動する時も、しっかり 安全帯のフックを掛けていれば、少なくとも墜落は防げたと思う。みんなに作 業ルールが徹底されていないのが原因ではないか。

・SH氏(現場代理人:年齢

46

歳、経験年数

23

年)

当日、予定されていた場所の他社の資材があった。結果的に

2

EPS

に作業員 が入り、予定外の場所での作業になった。予定外の場所で作業をおこなう時の 作業場のリスクを把握が徹底されていなかった。

・TS氏(現場代理人:年齢

35

歳、経験年数

11

年)

この現場は、作業する場所が点在しており、危険個所の情報が共有されなかっ たことが、管理側の一つの原因だと思う。再発防止の取り組みとして、毎日に ヒヤリ・ハットを集めて、翌日の危険予知(KY)活動で改善していく取り組 みをしたらどうだろうか?

(2010年

4

17

日 録音と筆者メモに基づく)

62

現場管理者による検討の振り返りから得られた直接原因は、「現場の危険個所の 把握が不十分であった」ことが挙げられる。図

3-6

に現場管理者による検討会内容 の振り返りのまとめを示す。

図 3-6 現場管理者による検討の振り返りのまとめ 出典:筆者作成

開口部の未養生箇所は、建築側(ゼネコン)も把握しておらず、統括安全管理と しての安全点検が不十分だった。複数の作業員が「開口部の未養生」と「EPS内で の安全帯のフック掛け」の重要性に気づいていたが、情報が共有されなかった。作 業員たちは、研究棟

2

EPS

は自分の作業場所ではないので、開口部養生は、「誰 かがやるはず」、「言わなくてもわかるはず」と思っており、結局、誰も開口部の養 生をやらない箇所があった。現場管理側に現場の「気づき」を吸い上げる仕組みが 不足していた。

今回の検討会結果から得られた当該墜落事故の直接原因は、「現場の危険個所の 把握が不十分であった」、「開口部が未養生であった」、「安全帯のフックを掛けず

EPS

内を移動した」、「予定外の場所での作業であった」、「作業場が暗かった」の

5

つが 挙げられる。図

3-7

に事故検討結果のまとめを示す。

63

図 3-7 事故検討結果のまとめ 出典:筆者作成

「現場の危険個所の把握が不十分であった」のは、「管理側として日常的にヒヤ リ・ハット活動ができていなかった」があり、現場で作業員が体験知の情報を形式 知にして共有・活用する仕組みが不足していた。作業現場の危険の捉え方は、知識 と経験によって異なるため、各自の体験知から危険要素を明らかする必要があった。

「開口部が未養生であった」、「安全帯のフックを掛けず

EPS

内を移動した」、「予定 外の場所での作業であった」は、現場の実態に沿った作業ルールが明文化されてお らず、業者間で共有されていなかった。現場の危険要素を把握して、作業の実態に 合った、作業ルールの制定を行い、関係者に周知徹底をおこなうことが不十分であ ったといえる。「作業場が暗かった」は、予定外の場所であったが、管理側で現場 の危険個所を把握していれば、作業員のヘルメットにヘッドライトを取り付けると いう安全対策も可能であった。事故検討会のまとめから得られた事故原因と再発防

64 止策を表

3-3

に示す。

以上のことから、今回の事故原因究明から「安全管理活動の欠陥」としては、「現 場の危険個所の情報共有の失敗」と捉えることができた。

表 3-3 事故原因と再発防止策

直接原因 基本原因 再発防止策

現場の危険個所 の把握が不十分 であった。

・管理側として日常的にヒヤ リ・ハット活動ができていな かった。【管理的要因】

・ヒヤリ・ハット活動から現場の危険個 所の情報を共有する。改善ができるも のはすぐに実施する。

開口部が未養生 だった。

・開口部の養生の責任範囲が不 明確であった。

【管理的要因】

・開口部の養生ルールを各業者と擦り 合わせて決める。

・作業ルールの周知徹底をおこなう。

安全帯のフック を 掛 け ず 、EPS 内を移動した。

・EPS 内を移動する時も安全帯 のフックを掛けることを周知 徹底ができていなかった。

【管理的要因】

・作業手順書に EPS 内の移動時における 安全帯フック掛けを追記する。

・作業手順書の周知徹底をおこなう。

予定外の場所で の作業であった。

・予定外の場所での作業ルール が不明確であった。

【管理的要因】

・予定外の場所での作業ルールを決めて 周知徹底をおこなう。

作業場所が暗か った。

・作業に必要な照明を準備して いなかった。

【設備的要因】

・作業に必要な照明を準備する。

・作業員のヘルメットにヘッドライト 取り付ける。

出典:筆者作成

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