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ヒヤリ・ハット研修前のヒヤリ・ハット内容分析

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 78-81)

第 4 章 ヒヤリ・ハットとヒューマンエラーの関係分析

4.2 情報通信工事部門におけるヒヤリ・ハット分析

4.2.1 ヒヤリ・ハット研修前のヒヤリ・ハット内容分析

ヒヤリ・ハット研修前のヒヤリ・ハット内容分析をおこなった。分析対象は、前 章の事故が発生した作業現場の現場管理者と作業員である。この作業場では、現場 代理人が作業員一人ひとりに入退場時間を確認してから、出勤簿に記録するルール になっていた。作業員が退場時間を記録する際に、その日に体験した「危険」や「気 づき」を気軽に話してもらい、現場代理人がヒヤリ・ハットカードに記入した。ヒ ヤリ・ハットカードの項目は、①日付、②氏名、③入退場時間、④場所、⑤何をし ている時、⑥どのような体験をしたか、とした。所長が「ヒヤリ・ハットは何でも 良いので、その日、危険を体験したこと、気づいたことを気軽に話して欲しい。対 策が可能なものは、直ぐに実施するので情報を提供して欲しい」と現場管理者と作 業員に説明した。図

4-2

にヒヤリ・ハット報告の様子を示す。

図 4-2 ヒヤリ・ハット報告の様子

(2010年

5

12

日 筆者撮影)

データ分析の方法は、以下の通りである。ヒヤリ・ハットを報告した

40

名の作 業員の基本属性(性別、年齢、経験年数)は、新規入場者教育の記録を参考にして

68

整理した。ヒヤリ・ハットカードは、筆者を含む安全管理者

3

名が

KJ

81で項目を 分類し、項目頻度を数値化して整理した。調査期間は

2010

5

1

日~26日であ る。図

4-3

にヒヤリ・ハット報告例を示す。

図 4-3 ヒヤリ・ハットカード記入例

2010

5

12

日報告)

ヒヤリ・ハット研修前における報告数は

266

件であった。性別では「男性」が

100%、

平均年齢

40.6±12.3

歳、平均経験年数

15.7±10.7

年、一人当たりのヒヤリ・ハット平

均報告件数は

6.0±2.8

件であった。図

4-4

にヒヤリ・ハット研修前における報告の有 無を示す。

図 4-4 ヒヤリ・ハット研修前における報告の有無 出典:筆者作成

81 事象を紙に1つずつ書き出し、グルーピングにより、小さなグループにまとめる。さらにそれを 中グループ、大グループに分類していく手法である(川喜田, 1967)

69

ヒヤリ・ハット「あり」の項目頻度は、「移動中」、「作業場」、「作業中」であっ た(表

4-1

参照)。

表 4-1 ヒヤリ・ハット「あり」の報告内容

出典:筆者作成

以下に大項目における「移動中」、「作業場」、「作業中」の代表的な報告内容を引 用する。

「移動中」の報告内容

・歩いて いる時に 狭い場所 ですれ違 い、お互 いの腰道 具が引っ 掛かった 。

(作業員:年齢

42

歳、経験年数

25

年、

2010

5

1

日報告)

・歩いている時に床から鉄筋が出ていた。つまずきそうになった。足元を注意し て行動した。 (作業員:年齢

39

歳、経験年数

9

年、

2010

5

3

日報告)

70

・地下で充電電気ドリルを使って穴をあけている時に、ドリルに振り回されて顔 を打ちそうになった。

(作業員:年齢

31

歳、経験年数

10

年、

2010

5

11

日報告)

「作業場」の報告内容

・機械室の通路を歩いている時、段差に気づかず、つまずいた。

(作業員:年齢

35

歳、経験年数

15

年、

2010

5

11

日報告)

「作業中」の報告内容

・資材を移動する際に、電気のコードに足を引掛けてつまずきそうになった。

(作業員:年齢

33

歳、経験年数

1

年、2010年

5

10

日報告)

・台車を移動している時、台車に軽く挟まれた。やっぱり、台車で移動している ときは声の掛け合いが大切だと思った。

(作業員:年齢

22

歳、経験年数

5

年、2010年

5

4

日報告

・天井内の作業で、パネル開口部から転落しそうになった。

(作業員:年齢

38

歳、経験年数

20

年、

2010

5

4

日報告)

ヒヤリ・ハット内容分析では、ヒヤリ・ハット「なし」の報告は

167

件(62.8%)

があった。これは、作業員が小さなヒヤリ・ハットは報告しなくてもよいと勝手に 判断していることが考えられた。このため、ヒヤリ・ハット研修の必要性が示唆さ れた。また、年齢と経験年数が高くなるにつれて「なし」と回答する割合が高くな る、という先行研究に基づいて年齢と経験年数別の報告数変化の分析も必要と考え られた。

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