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第 5 章 国内外の核燃料サイクルに関する最新の技術開発動向

3. ロシア

チェリャビンスク州オゼルスクにあるRT-1は核兵器部門管轄の生産合同「マヤク」社(Production Association

“Mayak”)の運営する施設であり、1971年操業開始している。処理能力は400tU/年。

クラスノヤルスク地方ゼレノゴルスクにあるRT-2はロスアトム社傘下にある核兵器部門の企業「鉱山化学コン ビナート」社(Production Association Plant)が所有している。かつては核兵器製造のためのプルトニウムを製 造していたが、1995年以降は軍需のためのプルトニウム生産受注がなくなった148

VVER-1000の使用済燃料は、RT-2内の使用済燃料受入貯蔵池(6,000tU)に貯蔵、近年満杯になると予想さ

れる149

148http://www.sibghk.ru/about-company/mcc/

149 『原子力ハンドブック2010年版』215頁)より抜粋。

図1-7-5 ロシアの核燃料サイクル施設位置図

(出所) 原子力百科事典ATOMICA http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/14/14060105/03.gif

7-4 中国-CNNC-蘭州

甘粛省蘭州の再処理施設は中国核工業総公司(CNNC)が所有している。1994年に建設が開始され、2000年 にパイロットプラントが完成し、2006年に800tU/年で操業開始した。

2007年11月、CNNCはArevaと再処理施設およびMOX(混合酸化物)燃料加工施設の建設のFSを開始し、

150 億ユーロを投じることに合意した。この再処理施設は、Arevaの技術をベースとするもので、甘粛省酒泉

(Jiuquan)に建設され、2020頃完成予定である。150

尚、甘粛省酒泉では、軍事目的の再処理施設が1970年始めに建設され、使用済みの天然ウラン燃料からプル トニウムが抽出されている151

2008年10月に神戸で開催された「Asian Nuclear Prospect 2008」会議では、中国の代表者が、同国における 核燃料サイクルのバックエンドに関し、2025年頃に第1湿気再処理施設(800tU/年)、2035年頃に第2湿気再 処理施設(1,600tU/年)を稼動させるロードマップを示した152

また上記とは別に、中国では2020年頃までに国内技術で800-1,000tU/年まで商業用再処理の拡大が可能な見 込みであるとの情報もある153。この情報と、上記「Asian Nuclear Prospect 2008」会議におけるロードマップと

150 “China's Nuclear Fuel Cycle" (updated on 7 December 2010), World Nuclear Organization,

< http://www.world-nuclear.org/info/inf63b_china_nuclearfuelcycle.html >

151 「中国の核燃料サイクル (14-02-03-04)」、RIST, ATOMICA,

< http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=14-02-03-04>

152Wang Jianchen, “Prospects for Spent Fuel Management of China in the Future”, Asian Nuclear Prospect 2008, October 1

8, Kobe, Japan. 9-22,

200

153“China's Nuclear Fuel Cycle" (updated on 7 December 2010), World Nuclear Organization,

の関係は明らかではない。

7-5 韓国

6-8「韓国の中間貯蔵施設」にて述べたとおり、韓国での使用済み燃料貯蔵容量は限界に近づいており、再処理 に関する議論が高まりを見せている。韓国の使用済み核燃料の処理方針に関しては国内的コンセンサスだけでは なく、既存の米韓原子力協定に基づき韓国国内での再処理ができないこととなっており、米国の同意が大前提で ある。ただし、当協定の期限が2014年満了となるため、2010年10月25日から米韓の間で改正の交渉が行われ ている。

再処理技術の中では、韓国はパイロプロセッシング(Pyroprocessing, 高温再処理=乾式再処理)に目を向けてい て、第255次原子力委員会(2008.12)では2025年までに技術の商用化を目標と定めた『未来原子力システム開発 長期推進計画』が既に確定されている。これの実現に向け、2011年まで工学規模の一環工程コールド試験施設(P

RIDE)の完成、2016年まで工学規模(10トン/年)の総合実証施設(ESDF)構築及び使用済み核燃料利用技術の実証、

2020年まで総合パイロ乾式処理施設(100トン/年)詳細設計の完成、2025年まで総合パイロ乾式処理施設(KAPF) の完成を目処に事業を推進していく計画である。154

米韓原子力協定の改正協議を迎える韓国側が、原子力協定の改正を経てアメリカ側からパイロプロセッシング の許可をもらおうとしたのに対し、アメリカ側は経済性、実用性及び核拡散の危険などを理由に否定的であった。

核の非拡散を政策目標と設定しているオバマ政権にとってパイロプロセッシング技術は核の拡散可能性を含んで おり(もしくはパイロプロセッシングの核拡散抵抗性が科学技術的にまだ検証されていないとされ)、韓国側の立 場に否定的な姿勢を堅持していた。両国間の協議の直前にワシントンで行われたアメリカ専門家達の議論でも韓 国側の動きに反発の声が高まっていた。専門家達はアメリカ政府側が第3国で核燃料を管理する、いわゆる「核 燃料バンク」を対案として提示する可能性が高いと予測していた。155

こういった反発を予想していたはずの韓国側はパイロプロセッシングを議題として前面に出さない戦略を駆使 するだろうとされていた。協議開始直前、韓国外務通商部関係者は“原子力協定の改正協議とは別に、両国がパイ ロプロセッシングの妥当性に関する共同研究の条件についても議論を続けてきたし、合意に向かって相当なる進 展もあった”と説明していた。156具体的には、原子力協定の改正とパイロプロセッシングの共同研究とを分離して 推進していくというツー・トラック(Two Track)方針を立てていた。

10月25日、ワシントンで行われた第1次米韓原子力協定の改正協議で、外交通商部のチョ・ヒョン外交調整 官と米国務省のロバート・アイホン(Robert Einhorn)非核散・軍縮担当特補はパイロプロセシングの共同研究に 事実上合意し、具体的研究の範囲、日程などを議論していくことを決めた。両国は会議後、“パイロプロセシング を含む使用済み核燃料の管理方案に関する共同研究の実行について議論し、共同なる研究の範囲及び日程に関し て両国の技術専門家達が早速協議できるようにすると合意した”と発表した。チョ調整官は“事実上パイロプロセ シングを共同に研究していける礎石が議論された”と述べ、今後も米韓原子力協定とパイロプロセシング問題をツ ー・トラックで協議していく方針を明らかにしている157

< http://www.world-nuclear.org/info/inf63b_china_nuclearfuelcycle.html >

154 http://www.sciencetimes.co.kr/article.do?todo=view&atidx=0000035337

155 http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2010/10/25/0200000000AKR20101025168500043.HTML?did=1195r

156 http://www.hankyung.com/news/app/newsview.php?aid=2010102556361

157 http://www.ajnews.co.kr/uhtml/read.jsp?idxno=201010261036410460474

7-6 インド

Trombay、TarapurおよびKalpakkamにある燃料再処理施設はBhabha Atomic Research Centre(BARC)

が運営しており、それぞれのサイトではいくつかの小さな施設に分かれて役務が行われている。3施設の操業開 始年はそれぞれ、Trombayが1964年、Kalpakkamが1998年、Tarapurが2011年158となっている。処理能力 はそれぞれ、Trombayが 30tU/年、Kalpakkamが 100tU/年、Tarapurが 150tU/年となっている。

KalpakkamのサイトはPHWR用燃料再処理施設であるが、先進的Purexプロセスを使い混合炭化物燃料を再処

理する施設が2003年に承認されており、将来はFBR燃料も再処理するために拡張中である。その他の2施設も 再処理にPurexプロセスを使用している。

インドの核燃料サイクル政策では、軽水炉・重水炉(Pressureized Heavy Water Reactor、PHWR)ともに使 用済み燃料を再処理し、それをプルサーマルではなく高速増殖炉(FBR)で繰り返し利用することを想定して関 連施設の開発・実用化を進めている。最終目標は先進的重水炉(Advanced Heavy Water Reactors(AHWRs)) とトリウム燃料を用いたトリウム・サイクル炉システムの完成となっている。

第1ステージではプルトニウムを製造するために、天然ウランを燃料としたPHWRと軽水炉が役割を担うも のとした。そのため第2次世界大戦直後からカナダ等の協力を得て重水炉の技術を導入し、1960年代にはカナ ダAECL社製の重水炉及び米国GE社製の軽水炉が運転開始している。

第2ステージでは、FBRを使ってプルトニウムを燃やしトリウムからU-233を増殖させる計画である。高速 炉の炉心回りのブランケットにはウランとトリウムを配置し、増殖比1以上でU-233及びPu-239等の核分裂性 物質を増殖する設計となっている。このための重水炉で使用された燃料再処理施設がTrombay、Tarapurおよび Kalpakkamにある。

並行してFBRの開発も進めており、2002年、規制当局は電気出力50万kWのFBR原型炉(Prototype FBR、

PFBR)をKalpakkamに建設することを許可し、2011年現在BHAVINI159によって建設が進められている。同炉

は2011年に稼動する予定であり、既存のPHWRからのウラン燃料を上記Kalpakkam等の再処理施設で再処理し、

MOX燃料とした燃料を用いている。インド政府では2020年までにさらに6基の50万kWFBR建設が発表され

ている。

第3ステージではAHWRにより第2ステージからのU-233及びプルトニウムを燃焼させる。発電電力の約 2/3はトリウムから得られることとなり、インド国内に豊富なトリウム資源を有効活用できる。この計画に向け、

トリウム燃料の再処理技術開発も進められている。

トリウム燃料及びAWHRを巡る再処理技術開発状況は以下の通りである。

Bhabha Atomic Research Centre (BARC)によると、PHWRで既に実験的にトリウム燃料の照射が確認さ

れており、トリウム燃料専用の再処理施設がKalpakkamに建設中である。

2008年4月、AHWR建設に先立ちまずAHWR臨界実験施設が認可され、2009年に原子力委員会AECは 30万kW級 AHWRの基本仕様を発表した。2010年半ばにはAtomic Energy Regulatory Board(AERB)に よる許認可前安全評価が終了、設計もほぼ完了し、2012年3月までの第11次5ヶ年計画中の建設に向け立地の 選定が進んでいる。

AHWRは炉心に濃縮ウラン燃料、MOX燃料、トリウム・プルトニウムMOX燃料およびU-233-トリウムMOX を含む様々なタイプの燃料が受け入れられるように設計されている。前述の通り、PHWR 及び軽水炉でのウラ ン・プルトニウム及びトリウム燃料の両方を有効活用するための方策である。

され

158 http://www.world-nuclear-news.org/WR_India_opens_new_reprocessing_plant_1601111.html

159 BHAVINIBahratiya Nabhikiya Vidyut Nigam Limited500Mwe高速増殖炉をKalpakkamに建設するために2003年に設立 た原子力庁100%保有の公的会社。