• 検索結果がありません。

第 1 章 海外の核燃料サイクル施設の現状及び役務動向

7. 再処理施設

表1-7-1 世界の再処理施設一覧

国名 工場名 会社名 所在地 処理能力

(トンU/年) 燃料 操業開始

備考

B205 NDA セラフィールド 1,000 天然ウラン 1964 操業中

THORP NDA セラフィールド 900 濃縮ウラン 1994 海外顧客軽水炉用、

AGR燃料用

UP2-800 Areva NC ラ・アーグ 800 濃縮ウラン 1994 MOXを含む

UP3 Areva NC ラ・アーグ 900 濃縮ウラン 1989 海外顧客用

東海再処理施設 日本原子力研究開発機構 東海村 0.7t/日 濃縮ウラン 1981 操業中

六ヶ所再処理工場 日本原燃(株) 六ヶ所村 800 濃縮ウラン 2012予定 建設中

RT-1 マヤク社(ROSATOM子会社)チェリャビンスク州オゼルスク 400 濃縮ウラン 1971 VVER-440用

RT-2 鉱山化学コンビナート社

(ROSATOM子会社) クラスノヤルスク州ゼレズノゴルスク 1,000~1,500濃縮ウラン 未定 建設中断 VVER-1000用

中国 蘭州 CNNC 蘭州 50 濃縮ウラン 2006

トロンベイ再処理工場 バーバ原子力センター トロンベイ 30 加圧重水型原

子炉用燃料 1964 操業中

タラプール再処理工場 バーバ原子力センター タラプール 150 酸化ウラン 2011 操業中

カルパッカム再処理工場 バーバ原子力センター カルパッカム 100 加圧重水型原

子炉用燃料 1998 操業中 インド

イギリス

フランス 日本

ロシア

(出所) 原子力ポケットブック2010年版

7-1 英国-NDA-Sellafield

Sellafieldには二ヶ所の再処理施設があり、原子力廃止措置機関(NDA; Nuclear Decommissioning Authority) が所有している。Sellafieldサイトは1940年に建設を開始している。同サイトには1964年に運開した処理容量

1,000tHMのMagnox炉使用済燃料処理施設(B205)と、1978年に建設開始・1994年に運開したAGR炉と軽

水炉の使用済燃料を扱う処理容量900tHMのThorp施設がある。

図1-7-1 英国・セラフィールド工場位置図

(出所) Google Map

Magnox処理施設ではPurex法を用いており、1971年から2001年までの30年間で、35,000tHMの処理を行

った実績がある。2008年2月に発表されたMagnox Operating Programme(MOP)8では、2011年から段階的に 現存のMagnox炉を閉鎖していくことを想定しており、それにともなって燃料の再処理も2016年3月に終了す ることを見込んでいる。一方で、再処理予定の燃料は2007年4月現在で5,900tHMに上る見込みとなっている が、2008/2009年の処理実績は51tHMとなっている139。2009/2010年の処理目標値は728tHM140

図1-7-2 Magnox燃料の再処理実績141

(出所) NDAホームページ

Thorp施設もPurex法を用いており、国内のAGR炉用の使用済燃料処理だけでなく、ドイツや日本など海外か

らの再処理事業を請け負うことを想定していたため、国内需要の約3倍の処理容量を持つ施設として設計されて いる。同施設では現在までに国内の使用済燃料6,000tHMに加え、日本やドイツなど海外の燃料の処理も行われ ている。同施設は2011年まで運転を続ける計画であったが、2005年4月に判明した硝酸溶液凋洩事故以来、操 業を長期停止したため、2007年に操業容量を削減し操業を再開している。この影響もあり当初の運転計画及び再 処理の契約事項に関しては見直しが進められている状況にある142。2008/2009年の処理実績は目標の220tHMに 対して、116tHMにとどまっている143。2009/2010年の処理目標値は200tHM144

7-2 フランス-ArevaNC145-La Hague

La Hagueにある再処理工場は、Areva NCが所有・運営しており、使用済み燃料貯蔵・前処理施設も併設さ

れている。1961 年にフランス原子力庁(CEA)の決定により UNGG(ガス冷却炉)の使用済燃料再処理工場 UP2の建設が開始された。1967年にUP2が商業運転開始、1974年にCEAがUP2における軽水炉用使用済燃 料の再処理事業を認可した。1976 年、軽水炉用の使用済燃料再処理事業が開始され、同年同サイトの運営権が

CEAからCOGEMA(現Areva NC)に移管された。1981年、増大する再処理事業の需要に対して、COGEMA

がUP3-Aの建設を承認、同プラントでUP2-800と同規模の800tHMの軽水炉使用済燃料の処理が可能となっ

た。同年に両プラントからの廃水処理施設として、STE-3の建設も承認され、1987年ETS-3、1989年UP-3が それぞれ操業を開始している。1994年にはUP2を閉鎖し、UP2-800が操業開始している。

再処理を行うにあたって、積み下ろしされた使用済燃料は、サイト内のプールにて貯蔵されることになる。貯

139 NDA, Annual Report & Accounts 2008/2009

140 NDA, NDA Business Plann 2009/2012

141 MOP8,http://www.nda.gov.uk/documents/upload/MOP8-Update.pdf

142 NDA, Oxide Fuel Topic Strategy discussion paper, March 2010

143 NDA, Annual Report & Accounts 2008/2009

144 NDA, NDA Business Plann 2009/2012

145 Reference Document, Areva(2009)

蔵プールには深さ数メートルの脱塩水が張ってあり、放射能が低減するまで 3~5 年程度貯蔵される146。La

Hague再処理工場が有する貯蔵能力は、プール毎にわかれておりtHMベースで、NPHプール:2,000、HAOプ

ール:400、Cプール:4,800、:Dプール4,600、Eプール:6,200、合計18,000となっている147

2009年現在の設備容量は1,700tHM/年であり、累積で25,470tHMの軽水炉用燃料の再処理が行われている。

内訳は、55%がEDF向け、12%がドイツの各社向け、12%が日本企業向けとなっており、この他にもベルギー、

スイス、オランダなどが主要な顧客。更に、2005年からは研究炉の燃料の処理も可能となっている。

2009年のLa Hagueにおける再処理実績量は929tHMであり、うち79tHMはイタリアの使用済燃料であっ

たとAreva NCは推定している。これに伴う廃棄物量はドラム缶換算で839体、金属廃棄物1,467体分であった。

Areva NCによる累積再処理量を図1-7-3に、2006~2009年の再処理実績を表1-7-2に示す。表1-7-2には、Areva NC以外の企業の実績も参考として掲載している。

図1-7-3 La Hague再処理工場における使用済燃料再処理実績(~2005年)

(注) 再処理実績には閉鎖されたプラントにおける累積再処理量を含む

(出所) IAEA TECDOC-1587, August 2008

表1-7-2 La Hagueサイト及び世界の主要な再処理施設における再処理実績(2006-2009年)

2006 2007 2008 2009

La Hague France Areva 1,700 1,015 946 940 929 25,470

Thorp UK NDA 900 0 0 10 10 4,010

Chelyabinsk East Russia Rosatom 400 100 100 100 100 4,200

Rokkasho Japan JNFL 800 0 212 120 120 420

3,800 1,115 1,258 1,170 1,159 34,100

MTIHM/y: metric tons initial heavy metal / year

累積生産量 (MTIHM/y)

生産量(MTIHM/y)

サイト名 オペレータ 設備容量

(MTIHM/y)

(出所) Areva Reference Document 2006, 2007, 2008, 2009

146 Unloading and storing in ponds, AREVA

147 INFCIS: NFCIS(Nuclear Fuel Cycle Information System), IAEA

ラ・アーグ

図1-7-4 フランス・ラ・アーグ位置図

(出所) Google Map

7-3 ロシア-Rosatom-RT-1他

チェリャビンスク州オゼルスクにあるRT-1は核兵器部門管轄の生産合同「マヤク」社(Production Association

“Mayak”)の運営する施設であり、1971年操業開始している。処理能力は400tU/年。

クラスノヤルスク地方ゼレノゴルスクにあるRT-2はロスアトム社傘下にある核兵器部門の企業「鉱山化学コン ビナート」社(Production Association Plant)が所有している。かつては核兵器製造のためのプルトニウムを製 造していたが、1995年以降は軍需のためのプルトニウム生産受注がなくなった148

VVER-1000の使用済燃料は、RT-2内の使用済燃料受入貯蔵池(6,000tU)に貯蔵、近年満杯になると予想さ

れる149

148http://www.sibghk.ru/about-company/mcc/

149 『原子力ハンドブック2010年版』215頁)より抜粋。

図1-7-5 ロシアの核燃料サイクル施設位置図

(出所) 原子力百科事典ATOMICA http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/14/14060105/03.gif

7-4 中国-CNNC-蘭州

甘粛省蘭州の再処理施設は中国核工業総公司(CNNC)が所有している。1994年に建設が開始され、2000年 にパイロットプラントが完成し、2006年に800tU/年で操業開始した。

2007年11月、CNNCはArevaと再処理施設およびMOX(混合酸化物)燃料加工施設の建設のFSを開始し、

150 億ユーロを投じることに合意した。この再処理施設は、Arevaの技術をベースとするもので、甘粛省酒泉

(Jiuquan)に建設され、2020頃完成予定である。150

尚、甘粛省酒泉では、軍事目的の再処理施設が1970年始めに建設され、使用済みの天然ウラン燃料からプル トニウムが抽出されている151

2008年10月に神戸で開催された「Asian Nuclear Prospect 2008」会議では、中国の代表者が、同国における 核燃料サイクルのバックエンドに関し、2025年頃に第1湿気再処理施設(800tU/年)、2035年頃に第2湿気再 処理施設(1,600tU/年)を稼動させるロードマップを示した152

また上記とは別に、中国では2020年頃までに国内技術で800-1,000tU/年まで商業用再処理の拡大が可能な見 込みであるとの情報もある153。この情報と、上記「Asian Nuclear Prospect 2008」会議におけるロードマップと

150 “China's Nuclear Fuel Cycle" (updated on 7 December 2010), World Nuclear Organization,

< http://www.world-nuclear.org/info/inf63b_china_nuclearfuelcycle.html >

151 「中国の核燃料サイクル (14-02-03-04)」、RIST, ATOMICA,

< http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=14-02-03-04>

152Wang Jianchen, “Prospects for Spent Fuel Management of China in the Future”, Asian Nuclear Prospect 2008, October 1

8, Kobe, Japan. 9-22,

200

153“China's Nuclear Fuel Cycle" (updated on 7 December 2010), World Nuclear Organization,

の関係は明らかではない。

7-5 韓国

6-8「韓国の中間貯蔵施設」にて述べたとおり、韓国での使用済み燃料貯蔵容量は限界に近づいており、再処理 に関する議論が高まりを見せている。韓国の使用済み核燃料の処理方針に関しては国内的コンセンサスだけでは なく、既存の米韓原子力協定に基づき韓国国内での再処理ができないこととなっており、米国の同意が大前提で ある。ただし、当協定の期限が2014年満了となるため、2010年10月25日から米韓の間で改正の交渉が行われ ている。

再処理技術の中では、韓国はパイロプロセッシング(Pyroprocessing, 高温再処理=乾式再処理)に目を向けてい て、第255次原子力委員会(2008.12)では2025年までに技術の商用化を目標と定めた『未来原子力システム開発 長期推進計画』が既に確定されている。これの実現に向け、2011年まで工学規模の一環工程コールド試験施設(P

RIDE)の完成、2016年まで工学規模(10トン/年)の総合実証施設(ESDF)構築及び使用済み核燃料利用技術の実証、

2020年まで総合パイロ乾式処理施設(100トン/年)詳細設計の完成、2025年まで総合パイロ乾式処理施設(KAPF) の完成を目処に事業を推進していく計画である。154

米韓原子力協定の改正協議を迎える韓国側が、原子力協定の改正を経てアメリカ側からパイロプロセッシング の許可をもらおうとしたのに対し、アメリカ側は経済性、実用性及び核拡散の危険などを理由に否定的であった。

核の非拡散を政策目標と設定しているオバマ政権にとってパイロプロセッシング技術は核の拡散可能性を含んで おり(もしくはパイロプロセッシングの核拡散抵抗性が科学技術的にまだ検証されていないとされ)、韓国側の立 場に否定的な姿勢を堅持していた。両国間の協議の直前にワシントンで行われたアメリカ専門家達の議論でも韓 国側の動きに反発の声が高まっていた。専門家達はアメリカ政府側が第3国で核燃料を管理する、いわゆる「核 燃料バンク」を対案として提示する可能性が高いと予測していた。155

こういった反発を予想していたはずの韓国側はパイロプロセッシングを議題として前面に出さない戦略を駆使 するだろうとされていた。協議開始直前、韓国外務通商部関係者は“原子力協定の改正協議とは別に、両国がパイ ロプロセッシングの妥当性に関する共同研究の条件についても議論を続けてきたし、合意に向かって相当なる進 展もあった”と説明していた。156具体的には、原子力協定の改正とパイロプロセッシングの共同研究とを分離して 推進していくというツー・トラック(Two Track)方針を立てていた。

10月25日、ワシントンで行われた第1次米韓原子力協定の改正協議で、外交通商部のチョ・ヒョン外交調整 官と米国務省のロバート・アイホン(Robert Einhorn)非核散・軍縮担当特補はパイロプロセシングの共同研究に 事実上合意し、具体的研究の範囲、日程などを議論していくことを決めた。両国は会議後、“パイロプロセシング を含む使用済み核燃料の管理方案に関する共同研究の実行について議論し、共同なる研究の範囲及び日程に関し て両国の技術専門家達が早速協議できるようにすると合意した”と発表した。チョ調整官は“事実上パイロプロセ シングを共同に研究していける礎石が議論された”と述べ、今後も米韓原子力協定とパイロプロセシング問題をツ ー・トラックで協議していく方針を明らかにしている157

< http://www.world-nuclear.org/info/inf63b_china_nuclearfuelcycle.html >

154 http://www.sciencetimes.co.kr/article.do?todo=view&atidx=0000035337

155 http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2010/10/25/0200000000AKR20101025168500043.HTML?did=1195r

156 http://www.hankyung.com/news/app/newsview.php?aid=2010102556361

157 http://www.ajnews.co.kr/uhtml/read.jsp?idxno=201010261036410460474