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第 1 章 海外の核燃料サイクル施設の現状及び役務動向

3. ウラン濃縮施設

表1-3-1 世界の主要なウラン濃縮施設一覧

国名 会社名 所在地 濃縮法 年間生産容量

(tSWU/年) 備考

パデューカ ガス拡散法 11,300

パイクトン(American Centrifuge Plant) 遠心分離法 3,800 建設中

Urenco ユーニス(Louisiana Energy Services) 遠心分離法 5,700 2010年6月操業開始、2015年フ

ル操業予定 出所:Urenco HP

Areva NC アイダホフォールズ(Eagle Rock) 遠心分離法 6,600 計画中、2011年着工・2014年操

業開始予定 出所:Areva HP

GE Hitachi Nuclear Energy ウィルミントン(Global Laser Enrichment) レーザー法 6,000

2010年試験運転開始、2012年 商業運転開始予定 出所:GE Hitachi Nuclear Energy フランス他4カ国 Eurodif(Areva NC他) ジョルジュベス(トリカスタン) ガス拡散法 10,800

フランス Areva NC ジョルジュベスII(トリカスタン) 遠心分離法 7,500 2010年12月14日、本格操業開

始。出所:Areva NC カーペンハースト(イギリス) 遠心分離法 5,050 出所:Urenco アルメロ(オランダ) 遠心分離法 4,400 出所:Urenco グロナウ(ドイ ツ) 遠心分離法 2,750 出所:Urenco

日本 日本原燃 青森県六ヶ所村 遠心分離法 1,050 将来1,500tSWU/年

アンガルスク電解化学コンビナート アンガルスク 遠心分離法 2,500

ウラル電気化学コンビナート ノヴォウラルスク 遠心分離法 13,200

生産合同電気化学コンビナート ゼレノゴルスク 遠心分離法 7,800

シベリア化学コンビナート セヴェルスク 遠心分離法 3,700

蘭州 遠心分離法 500

漢中 遠心分離法 500

インド インド原子力庁 Ratnahalli 遠心分離法 25

ナタンツ 遠心分離法 パイロットプラント(PFEP)

ナタンツ 遠心分離法 P1型遠心分離機は2010年現在

6000台。

将来は6万台に増設予定。

コム 遠心分離法 パイロットプラントを建設中

ブラジル ブラジル原子力工業(INB) Fábrica de Combustível Nuclear 遠心分離法 200

2012年完成予定(当初 115tSWU/年→200tSWU/年)

出所:INB、WNA

パキスタン カフタ 遠心分離法 5

北朝鮮 寧辺郡西位里 遠心分離法 不明

(出所)特に注記した以外は原子力ポケットブック2010年版

合計27,200tSWU/年 セヴェルスクでは再処理回収ウ ランの濃縮も実施

Urenco

中国核工業総公司(CNNC)

イラン 不明

中国 アメリカ

USEC

イギリス・オランダ・ドイツ

ロシア

3-1 米国-USEC-Paducah38

ケンタッキー州にあるPaducah濃縮工場は、USEC社が運営する現在米国で唯一の運転中商業用ウラン濃縮 施設である。

同工場は、1952年米国政府の軍事用ウラン濃縮施設として操業開始した。生産容量は11,300tSWU/年である。

当初は同工場での生産物は低濃縮ウランに限定されており、それらがOak RidgeやPiketonにある施設に送ら れて高濃縮されていたが、1962年から民生用原子力発電所向け低濃縮ウランの生産も始めた。2001年5月より、

Piketonにあるウラン濃縮施設との統合に向け作業が開始され、2002年6月、統合作業が完了し、Piketonの濃

縮施設は稼動停止している。

本施設での濃縮はガス拡散法によるものであり、1,760段という多段の工程を用いている。最大消費電力は304 万kWと多大な電力を消費するため、同施設では電力会社(TVA)との間で定期的に電力供給契約をしている。

現在の契約期限は2012年5月までとなっている。

3-2 米国USEC-American Centrifuge Plant(ACP)

オハイオ州PiketonのAmerican Centrifuge Plant (ACP)は、USEC社が建設中のウラン濃縮施設である。生

産容量は3,800tSWU/年、濃縮方法は遠心分離法である。

38 出所:USECホームページ>Uranium Enrichment>Gaseous Diffusion Plants>Paducah

USEC社は2007年にACPの建設・運転一体許認可をNRCに申請、2008年9月には米国エンジニアリング

企業Flour Corporationとの間で、2012年までの10億ドルという条件で技術・調達契約(EPC)を締結した。

遠心分離機を供給するメーカーはTeledyne Brown Engineering.Inc(TBE)社であり、その他の主要部品はB&W

Clinch River社(B&Wの子会社)等、多くの企業から調達することとなっている。なお、2008年に発表した

ACPの総プロジェクト・コストは約35億ドル(うち2008年12月までの消費分は約12億ドル)となっている。

USECはこのうち20億ドル分について2008年7月、DOEの融資保証制度適用の申請を行ったが、2009年8 月、DOEは認可するかどうかの判断を若干延期する旨を発表し、USECもそれに合意した。

図1-3-1 USEC社の位置図

(出所) USECホームページ http://www.usec.com/locations.htm

2010年5月25日、東芝及びBabcock & Wilcox社はACP建設・運転プロジェクトに対して、それぞれ1億ド ルずつ計2億ドルを3回に分割して投資する内容の契約をUSEC社との間で締結した39。これも踏まえ、2010年 8月3日、USECは最新の設備動向及び計画を反映し、DOEに融資保証制度適用の再申請を行なった40。これま でに実施した48万設備時間(machine hours)のカスケード試験41において技術成立性、経済性の実証データが 蓄積しており、既に商業規模の生産可能な40基のAC100遠心分離機が設置済みであること、東芝及びB&Wか ら総計2億ドルの戦略的融資を得る見通しがあることがこの再申請の背景となっている。今後は、融資受領完了 から営業運転開始まで18-24ヶ月、フル営業運転到達まで30-36ヶ月かかる、とUSECは見ており、これから想 定される営業運転開始時期は2012年、フル操業は2013~14年になると見込まれる。

2010年10月27日、USECはACPへの2億ドルの政府融資保証申請について、技術審査の大半を終了し最終 段階へ進んだとDOEから通知されたと発表した42。DOEはUSECに、具体的に明らかにすべき事項を記したDraft

term sheetを送付し、USECはこれに対し2011年上旬に答申するものとみられている。

Cap

39 出所:USECプレスリリース 2010年525

40 出所:USECプレスリリース 201083

41 2011年1月現在の累積運転設備時間は50万設備時間(20111月5日、”USEC & American Centrifuge Update”, Pritchard ital Partners “Energize 2011” ConferenceUSEC.Inc

42 出所:USECプレスリリース、2010年10月27

3-3 米国-Urenco(Louisiana Energry Servises)-Eunice43

ニューメキシコ州のEunice濃縮工場は、Urencoが米国に設立した現地法人Louisiana Energy Services社

(LES社)が運営するウラン濃縮施設である。

同工場のフル操業時の生産容量は5,700tSWU/年となるが、現在いまだフル操業には至っていない。

2003年12月12日LES社は、NRCに米国でのウラン濃縮施設建設(設備容量3,000tSWU/年)の申請を提 出した。2003年9月2日、LES社はサイトをニューメキシコ州Lea Countyとすることを発表した。2006年6 月23日、NRCはLES社に同施設の建設・運転認可を発給したが、その後LES社は2008年11月21日、設備

容量を5,700tSWU/年に拡張する計画を発表した。2009年2月にはNRCから六フッ化ウランを用いた試験操業

を認可され、同月試験を開始している。2010年6月11日NRCが操業を認可し、6月25日、ウラン濃縮の本格 操業が開始された。

拡張計画申請に関しては現在も安全評価及び環境影響評価書の修正が続いており、LES社によれば2015年に フル操業に達する見通しである。

図1-3-2 Eunice濃縮工場位置図

(出所) Urencoホームページ http://www.urenco.com/content/87/Contact-us.aspx

43 本項の情報出所は特に注記するものを除き、Urencoホームページ。http://www.urenco.com/

3-4 米国-Areva NC-Eagle Rock44

アイダホ州Idaho Falls近郊のEagle Rock濃縮工場は、Areva NCの米国現地法人Areva Enrichment Services 社(AES社)が建設を計画しているウラン濃縮施設である。

このEagle Rock濃縮工場は、2011年の着工、2014年の操業開始を予定している45。生産容量は6,600tSWU/

年、濃縮方法は遠心分離法である。

2008年12月30日AES社はNRCに、ウラン濃縮施設建設・運転の認可申請を提出した46。同施設にはGeorges

Besse IIで適用されているのと同じ最新鋭の遠心分離技術を適用し、申請設備容量は当所3,300tSWU/年として

いたが、2009年4月にはこれを6,600tSWUに拡大する修正申請が提出されている。

2010年5月20日、DOEは、本ウラン濃縮プロジェクトに20億ドルの融資保証を発行すると発表し47、翌5

月21日、Arevaもこれを受領すると発表した48。これは2010年2月に発表されたボーグル発電所(AP1000)に続

く2件目の原子力関連の債務保証適用対象候補(全体では9件目)である。2010年10月、NRCはEagle Rock 濃縮工場に関する安全評価書を発行し、その中で、この施設の運転による従業員や環境への悪影響は見られない と述べている49。最終環境影響評価書は2011年初頭にも発行される見通しである。

図1-3-3 Eagle Rock濃縮工場位置図

(出所) Google Map

3-5 米国-GE-Hitachi Nuclear Energy-Global Laser Enrichment(GLE)

ノースカロライナ州WilmingtonのGlobal Laser Enrichment(GLE)は、GE-Hitachi Nuclear Energy社が 建設をしているウラン濃縮施設である。

(NU

44 本項の情報出所は、Arevaホームページ他、NRC、DOE、Wise-uranium。http://www.wise-uranium.org/indexe.html

45 出所:Arevaホームページ>Eagle Rockhttp://us.areva.com/scripts/home/publigen/content/templates/show.asp?P=594

46 出所:NRCホームページ。 http://www.nrc.gov/

47 出所:DOEプレスリリース、2010520

48 出所:Arevaプレスリリース、2010年5月21

49 出所:NRC文書「Safety Evaluation Report for the Eagle Rock Enrichment Facility in Bonneville County, Idaho REG-1951)」2010年9

同工場の運転開始予定時期は2012年ごろであり、最終的な設備容量目標は3,500~6,000tSWU/年とされてい る。濃縮方法はーザー励起同位体分離法(Separation of Isotopes by Laser Excitation (SILEX))である。

GE-Hitachi 社は現在ウラン濃縮技術開発及び施設の許認可申請を行っている。同社はこのプロジェクト遂行

を「試験フェーズ」と「商業フェーズ」との2段階に分けており、試験装置で事業性が実証できたら、商業フェ ーズに進むこととしている。2009年7月から既に小規模のベンチスケール試験が実施されており、2010年12 月現在、試験ループが運転中である。

SILEXはもともとオーストラリアの企業Silex Systems Limited of Australiaが開発したレーザーによるウラ

ン同位体選別(濃縮)技術であるが、2006年、GEが同社からこの技術の独占的使用権を買い取ったものである。

2007年7月、GE-Hitachi社は同社のグループ企業があるWilmingtonのGlobal Nuclear Fuel Americas LCC.

の施設におけるSILEX法によるウラン濃縮施設の建設・運転認可をNRCに申請し、2008年5月、NRCはこ れを受理した。商業施設の認可を巡っては現在もGE-Hitachi社と環境省との間で環境影響評価を巡る折衝が続 けられている。

図1-3-4 GLE位置図

(出所) Google Map

3-6 フランス-Areva NC-Eurodif-Tricastin-Georges Besse I

ドローム州TricastinにあるGeorges Besse濃縮工場は、Areva社の子会社EURODIF社が運営するウラン濃 縮施設である。

同工場は、1979 年にガス拡散方式を用いたウラン濃縮工場として運転を開始、生産能力は1982 年において

1,100tSWU/年であった。30 年の間安定した運転を続け、1,500tSWU/年を超える生産を行なってきた。現在、

同工場は1,400のカスケードプロセスが70のグループに分けられており、最大生産能力が10,800t SWU/年とな

っている。濃縮方法は、ガス拡散法である。

Areva社は、フロントエンドサイクル分野で世界をリードしており、主要な工場をフランス、ドイツ、ベルギ

ー、米国に持ち日本では燃料部門での三菱重工との合弁会社を有している。特に、濃縮部門に関しては2009年 時点において、世界の生産能力約50,000tSWU/年の生産量うち22%を占めており、Arevaの最大の需要家であ るEDFを含めて、アメリカ、欧州、アジアなど多くの国の原子炉向けにウラン濃縮役務を供給している。また、