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第 1 章 海外の核燃料サイクル施設の現状及び役務動向

2. ウラン転換施設

表1-2-1に世界のウラン転換施設一覧を示す。

表1-2-1 世界のウラン転換施設一覧

アメリカ コンバーダイン Metropolis 17,600 UF6、出所:World Nuclear Association 2010 イギリス 英国原子燃料公社(NDA) Springfields 6,000 全てCameco向け、出所:IAEA INFCIS

14,000天然U 350 回収U

12,500 UF6(転換)出所:Cameco HP 2,800 UO2(再転換)出所:Cameco HP アトムエネルゴプロム(アンガルス

ク電解化学コンビナート)、TVEL Angarsk 18700**

アトムエネルゴプロム(エレクトロス

タル)、TVEL Moscow 700**

アトムエネルゴプロム(シベリア化

学コンビナート)、TVEL Seversk 不明

カザフスタン カザトムプロム社/カメコ社

Ust-Kamenogorsk 12,000 出所:Kazatomprom HP Lanzhou 1,000 出所:World Nuclear Association

Jiuquan 500

イラン イラン原子力庁 Isfahan 200 出所:IAEA INFCIS

ブラジル ブラジル原子力工業(INB) Resende 不明

中国 中国核工業総公司

カナダ カメコ社

*Euratom Supply Agency 2009によると、2009年時点で Atomenergoprom全体の転換量は、25,000tUである;

**http://www.world-nuclear.org;

ロシア*

Port Hope フランス

国名 年間生産能力

(tU) 備考

Pierrelatte

オペレーター 所在地

アレバNC社

(出所) 特に断りの無いものは原子力ポケットブック2010

2-1 米国-Converdyn-Metropolis

イリノイ州にあるMetropolis転換工場は、Converdyn社が運営する米国で唯一のウラン転換施設である。ここ で転換されたUF6は、USECのPaducah濃縮工場および国外の供給先に供給されている。

(出所) Converdyn社ホームページ、

http://www.converdyn.com/prod uct/conversion.html

図1-2-2 乾式転換工程概念図

図1-2-1 Metropolis転換工場の位置図

(出所) Converdyn社ホームページ、http://www.converdyn.com/images/map-lg.gif

このMetropolis転換工場は、1950年代半ばに米国原子力委員会(AEC:Atomic Energy Commission)が軍 事用原子燃料の供給確保のため転換工場の建設を検討開始、1958年に完成した。1964年に一度運転停止、その 後1968年に運転再開している。役務供給能力は1969年時点で9,000tU/年、その後1975年に11,500tU/年、1995 年に12,700 tU/年、2001年に14,000 tU/年、2007年に15,000 tU/年と拡張を続け、2010年現在17,600tU/年と なっている29

29 World Nuclear Association, Jan 30,2010

当初1959‐64年にかけてAllied Signal Inc.により操業されていたが、1964年の運転停止後、1968年に再開 する際には同社から転じたHoneywell社とGeneral Atomics社とが折半出資した合弁企業であるConverDyn社 が操業を行い、現在に至っている。

転換方式は乾式(Honeywell社が開発したフッ化物揮発法:dry fluoride volatility conversion process)を採 用している。具体的な工程は次の5段階である。図1-2-2に転換工程概念図を示す。

Sizing(粒度調整)

Reduction(還元)

Hydroflourination(HFフッ化)

Flourination(F2フッ化)

Distillation(蒸留精製)

2008年のConverdyn社の発表によれば、2012年に18,000 tU/年、

2020 年までに 23,000~26,000tU/年へと役務供給能力を拡張する計

画である30

2-2 カナダ-Cameco-Port Hope

オンタリオ州にあるPort Hope転換工場は、Cameco社が運営する ウラン転換施設である。旧ソ連以外の先進国に4施設ある転換施設の うちの一つであり、カナダにある唯一の施設である。

図1-2-3 Port Hope工場の位置

(出所) Camecoホームページ

http://www.cameco.com/fuel_and_power/refining _and_conversion/port_hope/

同地では1935年からラジウム及びウランの生産を行っていたが、

1955年からUO3の、1962年からUO2の、1970年から軽水炉向けUF6

の生産を始めている。UO3については同社のBlind River精錬所との競 合のため、Port Hopeでの生産は停止した。

生産容量はUF6について年間12,500トン、UO2について年間2,800トンとなっている。

この工場はUO2からUF6へと転換する際に湿式31で生産して いる世界で唯一の施設である。

2-3 英国-NDA-Springfields

ランカシャー州にあるSpringfields転換工場は、原子力廃止 措置機構(NDA : Nuclear Decommissioning Authority)が運 営するウラン転換施設である。

同工場は1946年に英国原子力計画の下で設立された。IAEA のINFCISによると、施設の転換能力は、6,000tU/年であり、

2008/2009 年の生産量実績は5,000tU/年、全てCameco社向け であった。

また再転換も行っており、その容量は残渣からの転換が 65tU/年、UF6からの転換が550tU/年となっている。2008/2009 年の回収ウラン生産量実績は 113tU/年、UO2の生産量は 340tUO2/年であった32

図1-2-4 Springfieldsの位置 当初は英国原子力公社(UKAEA)が運営主体となって、AGR

(出所) NDAホームページhttp://www.nda.gov.uk/sites/

30 Reuters, Jan 14, 2008およびNuclear Engineering International Magazine, Sep 1, 2008

31 溶媒抽出法など、液体溶媒を用いる転換法を「湿式」と総称している。

32 NDA, Annual Report & Accounts 2008/2009

燃料・Magnox燃料の製造、UF6への転換役務サービスを行っていた。その後1971年にBNFLに移管され、1996 年にはBNFLはWestinghouseに操業させるようになった。2005年4月1日の組織再編により、Springfieldsサ イトの資産と負債は新しい政府の組織であるNDAに移管され、現在はNDAの管理下にある。

Springfields の転換施設を運転するライセンスを持つ会社は、2005 年の組織再編により設立された

Springnelds Fuels Limitedであり、実際に施設を操業する会社はWestinghouse Electric UK Limitedである。

なお、2006年10月にBNFLはWestinghouseの株式を東芝に売却し、同年、Magnox用の燃料製造は停止し

ている。

本施設の主な事業は、ウラン転換(UF6の製造)のほか、AGRと軽水炉用の酸化物燃料製造(粉末やペレット など燃料集合体製造に係る中間物)、残渣物の処理、不要となった工場やビルの廃止措置などである。

UF6生産は以下のようにして行われている。

① 天然ウラン(三酸化ウラン、イエローケーキ)からUF4を製造

② UF4をフッ素ガスと反応させ、UF6に変換

③ UF6ガスを圧縮・冷却し、液化

④ 液化したUF6を輸送容器に充填、固化

2-4 フランス-Comurhex-Pierrelatte ドローム県Narbonne市に

あるPierrelatte転換工場は、

Comurhex 社が運営するウ

ラン転換施設である。

同工場の生産能力は天然 ウランについて 14,000tU、

回収ウランについて 350tU である。操業実績としては、

2008 年に 11,000tU、2009

年に 12,300tUとなっている

33

1959 年にウラン精錬企業 であるSRU社が設立され、

1961年にPierrelatteの化学 企業である SUCP 社が設立 された。その後 1971 年に SRU社とSUCP社が合併し、

Comurhex 社が設立された。

同社は1992年にCOGEMA

の完全子会社となり、2001 年に新しく設立した Areva

社の傘下に入った。 図1-2-5 Pierrelatte転換工場位置図 Comurhex社はMalvesiに

ある工場でウラン精鉱から

UF4の製造までを行い、その後このPierreatte転換工場でUF4からUF6への転換を行っている。なお、Pierrelatte

(出所) Google Map

33 Areva, Reference Document 2009

ではウラン廃棄物からのウランの回収・リサイクル、回収ウラン(LaHagueから硝酸ウランの形で運ばれる)の 酸化やUF6への転換、フッ素の利用も手掛けている。

Areva社は需要の増加を見越して転換工場の拡充を計画しており、新たな技術を投入したComurhex IIの建設

を計画している。これにより、2012年までに生産能力は15,000tUに達し、将来的には21,000tUを超えること となる。このために、Arevaは2007年位6.1億ユーロを投じて、計画をスタートさせており、2009年7月に建 設が開始されている。

2-5 ロシア-TVEL-Angarsk, Moscow, Seversk

イルクーツク州アンガルスクにあるAngarskiy Electrolysis Chemical Plant (AECP)はTVEL燃料社が運営す るウラン転換施設である。1957年に設立された。生産容量は18,700tUである。

トムスク州セベルスクにあるシベリア化学コンビナート社もまたTVEL 燃料社が運営するウラン転換施設で ある。1949年に設立された。生産容量は不明。

モスクワ州にあるMSZ (Machine Building Plant:”Elemash”)として知られる工場は、Elektrostal社が運営 するウラン転換施設である。生産容量は700tUである。

同社は1917年に設立された航空爆弾工場を前身とし、1941年にはミサイル工場となった。現在は、TVEL燃

料社が79%強の株式をもっている。

図1-2-6 ロシアの核燃料サイクル施設位置図

(出所) 原子力百科事典ATOMICA http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/14/14060105/03.gif

2-6 カザフスタン-Kazatomprom/Cameco-Ulba転換工場

カザフスタン・ウスチ=カメノゴルスクのUlba転換工場は、Kazatomprom社51%、Cameco社49%の出資 で計画されているウラン転換施設である。

同工場の建設計画は2008年6月に発表された。年間生産能力は12,000tUとされる。この新たな工場は、ロシ

アとカザフスタンの合弁による濃縮事業に対応することになる。2014年から750tUF6/年の生産開始が計画され ている34

図1-2-7 Ulba転換工場位置図

(出所) Google Map

2-7 中国-核工業総公司(China National Nuclear Corporation)-蘭州転換工場

甘粛省にある蘭州転換工場は、中国核工業総公司(CNNC : China National Nuclear Corporation)が運営す るウラン転換施設である。

同工場は 1980 年に運転開始した。年間生産能力については諸説あり、IAEA の Nuclear Fuel Cycle Information System (2009年版)では、400tHM/年と記載されている。また“China Nuclear Fuel Cycle” (World

Nuclear Association)ではその年間生産能力を約1,000tU/年とされているが、同施設が現在閉鎖されている可能

性を指摘している。

また、甘粛省北西部玉門付近の酒泉にもう一つの転換施設がある。年間生産能力は500tU/年である。

Areva社の情報では、二つの転換施設は共に、2,000tUの年間生産能力があるという。

34 カザトムプロム社ホームページ <http://www.kazatomprom.kz/en/pages/Conversion>.

図1-2-8 蘭州サイト位置図(中国の核燃料サイクル施設地図)

(出所) 原子力百科事典ATOMICA http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/14/14020304/04.gif

2-8 インド

インドにはウラン転換施設は存在しない。これは、国内の重水炉は濃縮を必要とせず、また軽水炉(BWR)

は濃縮されたUF6を輸入して用いているためである。

2-9 ブラジル-INB-Resende

リオデジャネイロ州ResendeにあるFábrica de Combustível Nuclear(FCN)内に、INBにより運営される ウラン転換施設が存在する。生産容量は不明。

図1-2-9 Fábrica de Combustível Nuclear位置図

(出所) Google Map

2-10 イラン-Esfahan

イラン中央部のエスファハン州にあるEsfahan Nuclear Technology Centre内に、ウラン転換施設が存在する。

この施設は2006年7月から操業を開始しており、設計上の生産容量は200tUである。2004年3月以降転換 されたUF6の総量は371トンであり、その一部が濃縮およびパイロット濃縮プラントに送られた。

イランでは1981年から1993年までTehran Nuclear Research Centre(TNRC)およびEsfahan Nuclear

Technology Centre(ENTC)でウラン転換の実験が行われ、更にpulse columnsを含むいくつかの実験が2002

年初めまで行われてきた。1991年からイランは海外のサプライヤーと現在のEsfahanに商業規模のウラン転換施 設建設の協議を開始し、1990年代後半に施設の建設が始まった。2004年3月にイランはウラン精鉱をUO2とUF4、 UF4をUF6に転換する試験を開始し35、上述の通り2006年7月から操業を開始している36

なお、2009年8月10日以降転換は行われていなかったが、2010年9月23日からフル運転を再開する予定で ある37

Isla

35 IAEAImplementation of the NPT Safeguards Agreement in the Islamic Republic of Iran20041115

36 IAEA「Implementation of the NPT Safeguards Agreement in the Islamic Republic of Iran」2006年11月14

37 IAEAImplementation of the NPT Safeguards Agreement and relevant provisions of Security Council resolutions in the mic Republic of Iran」2010年96