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漏れ波型装置のばく露に対する統計的な分布関数の導出

第 8 章 結論 74

B.3 漏れ波型装置のばく露に対する統計的な分布関数の導出

B章 漏れ波型装置のばく露に対する統計的な特性

と表される.ここで,Eは直交3成分からなる電界ベクトルである.

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付録 C

放射型 300GHz ばく露装置の開発とばく露評価

開口面アンテナを用いて細胞へ周波数 300 GHz の電波をばく露する放射型ばく露装置を 開発する.放射型ばく露装置を用いた理由は,周波数 300 GHz では,波長が短いためにポ スト壁導波路の加工精度の限界を超えると考えられるためである.ポスト壁導波路に基づ く漏れ波型ばく露装置の最大の周波数は,本論で180 GHzと推定した.細胞の存在する範 囲でのばく露量の十分な均一度,ばく露量の効率,細胞が内在する培地内での電力吸収量を 得ることを目標とした.

C.1 300 GHz 放射型ばく露装置の構成

図C.1にばく露システムのブロック図とインキュベータ内部でのばく露装置の構造につい て写真を示す.アンテナと培養容器は,インキュベータの内側に設置する.ミリ波の電力 吸収は,培地内の表面付近にて生じるため,細胞が存在する位置の培地底面にて高いばく露 強度を与えるためには,培養容器下からばく露する構造が適している [24].

培養容器位置まで自由空間中をミリ波が伝送するために,本検討では開口面アンテナを用 いた.培養容器の下へ回転放物面鏡 (47-104, Edmund Optics) を配置し,円錐ホーンアンテ

ナ (Radiometer Physics GmbH)により給電した.回転放物面鏡の直径は,培養容器に比べて

大きい50.8 mmとした.培養容器の設置位置における電力密度の空間平均値は,直径 50.8

mm の放物面アンテナと,大きい直径 76.2 mmの放物面アンテナの間で,ほぼ同じであっ た.放物面鏡の焦点距離は,76.2 mmとした.焦点距離はばく露量の効率と空間分布の均一 性が両立できる距離を選択した.

放物面鏡の1次放射器には,円錐ホーンアンテナを用いた.円錐ホーンアンテナの開口直

ϕ = 3.00 mm,ホーンの長さは 14.5 mmとした.このとき,最大放射方向の絶対利得は

18 dBiとなった.円錐ホーンアンテナから放射された電磁界の遠方界での位相中心位置は,

C章 放射型300GHzばく露装置の開発とばく露評価

ホーン開口から0.5 mm内側にあった.位相中心位置を放物面鏡の焦点位置に合わせた.

図C.1. ばく露システムのブロック図とインキュベータ内部でのばく露装置の構造について.

周波数60 GHzの近傍界放射型ばく露装置では,インピーダンス整合層を挿入した場合に,

アンテナと培養容器の間の多重反射の影響を減少した [24].多重反射の影響を減少させる ため,アンテナと培養容器の間, 培養容器底面の下にインピーダンス整合層を挿入した.

インピーダンス整合層の材料は,TPX (ポリメチルペンテン グレード1, クレハエレクトロ ン),複素比誘電率は2.13−j0.03 (周波数289 GHz) [76]である.インピーダンス整合層の厚 みは,入手可能な材料を用いながら,培地の入った培養容器への反射係数が十分に小さくな る厚みへ設計した.反射係数は,電磁界の入射側から培地上面側までを見込んだ多層平板モ デルを用いて求めた.このとき,多層平板モデルは,入射側からインピーダンス整合層, 培 養容器, 培地 (半無限長)の3層とした. 以上より, それぞれtIML = 1.95 mmと決めた.イ ンピーダンス整合層を挿入したときの多層平板モデルへの反射係数は15 dB以下とした.

C.2 300 GHz 放射型ばく露装置の解析条件

300 GHz放射型ばく露装置では,回転放物面鏡と円錐ホーンアンテナからなるアンテナ部

をまず解析した.次に,培地内での内部電磁界を解析し,その波源はアンテナ部の解析結 果から得た培養容器の位置における電磁界とした.電磁界解析ソフトウェアには,FEKO (FEKO suite 7.0, EM Software & Systems-S.A. (Pty) Ltd.) を用いた.FEKOの解析手法に は,マルチレベル高速多重極法(MLFMM: Multilevel Fast Multipole Method)を用いた.

C.2300 GHz放射型ばく露装置の解析条件

MLFMMは,モーメント法に比べて,電気的に大きな構造物のフルウェーブ解析に適してい

る.培地内での電磁界解析には,FDTD法を用いた商用のソフトウェアSEMCAD X version 14.8 (Schmid & Partners Engineering AG) を用いた.

図C.2は,MLFMMでの数値解析モデルと各寸法を示す.MLFMMの解析モデルには, ア ンテナ部として,放物面鏡,ホーンアンテナと円形導波管を含めた.ホーンアンテナに給電 する円形導波管内で,周波数300 GHzの円形TE11モードを励振した.放物面鏡,ホーンア ンテナと円形導波管は,完全導体とした.

x z

x

z y Phase center Conical

horn antenna

76.2 mm

50.8 mm

50.8 mm 50 mm

Dish setting area 35 mm

(a)

(b)

21.2 mm

図 C.2. 電磁界解析(MLFMM) の解析モデル.(a) 側面図,(b) 平面図.

図C.2は,FDTD法での数値解析モデルと各寸法を示す.FDTD法の解析モデルには, 培 養容器,インピーダンス整合層を含めた.細胞層の有無によるばく露強度への影響が小さ いと仮定し, 解析モデルには細胞層を含めなかった.解析領域終端の境界条件は, UPML (Uniaxial Perfectly Matched Layer) 吸収境界条件 [50]を用いた.波源は培養容器の配置位置 (図C.2のDish setting area) 周囲での放物面鏡により反射される電磁界の3次元空間の分布 を元に空間的に内挿して構成される電磁界を入射界とした.

数値解析に用いた電気定数を表C.1に示す.培養容器の電気定数は,関東電子応用開発に

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C章 放射型300GHzばく露装置の開発とばく露評価

図C.3. 電磁界解析 (FDTD法)の解析モデル.(a) 側面図,(b) 平面図.

よりデータ提供された周波数 60 GHzでの測定値を使用した.培地の電気定数は,文献[44]

により報告されている純水の誘電率の推定式から,温度 37Cとして決定した.

表 C.1. 周波数300 GHzにおけるFDTD法に使用した電気定数

比誘電率 導電率[S/m]

培地[44] 5.6 111 培養容器1 2.58 0.25 インピーダンス整合層[76] 2.13 0.05

1関東電子応用開発によるデータ提供

アンテナ入力電力は,円形導波管内での入力電力を基準として,入力可能な最大の電力15 mWとした.MLFMMに使用したメッシュサイズは,円形導波管とホーンアンテナが最小 0.02 mm,最大 0.13 mm,平均 0.07 mm,放物面鏡が最小0.03 mm,最大0.14 mm,平均0.08 mmとした.FDTD法に使用した格子サイズは,0.03 mmとし,最も比誘電率の大きい培地 内での波長 λm( 0.44 mm) に対して1/15倍とした.FDTD法の時間刻み幅は, 陽解法で のCFL条件 (Courant-Friedrichs-Lewy Condition)を満足する最大の時間刻み幅に対して0.98