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漏れ波型ばく露装置の電磁界解析によるばく露評価

第 4 章 漏れ波型ばく露装置の開発 28

4.2 漏れ波型ばく露装置の電磁界解析によるばく露評価

SAR, 電力密度, 電磁界強度を求めるために,FDTD 法を用いたばく露評価を行った.数 値解析ソフトウェアは,FDTD 法を用いた商用のソフトウェア SEMCAD X version 14.8 (Schmid & Partners Engineering AG) を用いた.

図4.2に示した,漏れ波型ばく露装置と,配置した培地を含む培養容器を,数値解析モデ ルに用いた.漏れ波型ばく露装置の数値解析モデルには,平板アプリケータを実装した基板 と,給電に用いる中空導波管を含めた.解析領域終端の境界条件は, UPML 吸収境界条件を 用いた.波源は,導波管変換器に接続する中空導波管内に周波数 60 GHzの TE10 モードを 励振した.

数値解析に用いた電気定数は表4.1に示す.培地と培養容器に用いた電気定数は,第 2 章で妥当性を検証した.培地の電気定数は,Ellisonらの純水の誘電緩和モデル [44]を温度 37Cとして用いた.培養容器の電気定数は,関東電子応用開発により周波数60 GHz でデー タ提供された値 (複素比誘電率 2.58-j0.006) を使用した.基板内のビアホールは,銅の導電 率 [57]を持った金属円柱として形成した.銅箔層とビアホール表面には,表面インピーダ ンス境界条件 (SIBC: surface impedance boundary condition)を適用した.銅箔層および同じ

4.2漏れ波型ばく露装置の電磁界解析によるばく露評価

層にある結合窓内のボンディングフィルム層の厚みは,実際の厚み 18µmに対し,0.02 mm (格子2層分) とした.基礎検討では,銅箔層を1層の格子でモデル化すると,細胞が存在す る空間のばく露量が特異的に変化した.ただし,実際と解析モデルの厚みが異なることは,

数値解析結果のばく露量と実際のばく露量の差異を生じる要因の一つである.

表4.1. 周波数 60 GHzにおけるFDTD法に使用した電気定数.

比誘電率 導電率[S/m]

培地[44] 16.5 82.8 培養容器1 2.58 0.05 プリント基板,培養容器台2 2.17 0.004 ボンディングフィルム3 2.35 0.003 銅箔,ビアホール[57] 1 58×106

1関東電子応用開発によるデータ提供

2カタログ値(NPC-H220A,日本ピラー工業株式会社)

3カタログ値(CuClad 6700Arlon GraphicsLLC.,周波数 10 GHz)

数値解析モデルの試料は,培地 (厚さ 2 mm) を注いだ直径 90 mm の培養容器とした.培 地は,培地の円周で生じるメニスカスのない円筒状とした.メニスカスによる細胞の内部電 界分布の変化は,ミリ波ばく露において殆どない [58].

ばく露装置への入力電力は,中空導波管内の入力電力を基準として1 Wとした.使用した 格子サイズは,0.1 mmとし,最も比誘電率の大きい培地内での波長λm(1.23 mm) に対し て1/12倍とした.時間刻み幅は, 陽解法でのCFL 条件を満足する最大の時間刻み幅に対 して0.98 倍とし, 189 fsとした.計算周期は140 周期とした.

4.2.2 解析結果

図 4.3 は,培地内底面での電界分布の数値解析結果を示す.表 4.2 は,入力電力 1 W時の ばく露量と空間分布の均一性の統計量を示す.

図 4.3(a)の培地内底面の電界分布には,スペックル状のパターンが見られた.図 4.3(b)

に,図4.3(a)の矢印線上の電界分布の変動を示す.電界強度の周期的な変動は,図4.3(b)の

線上で,5–10 dB であった.変動の周期的な距離は,約 2 mmである.変動の周期的な距離 は,周波数 60 GHzでの培養容器と基板内の半波長 (波長 3.1 または3.4 mm) と同じでは ないが,近い値であった.波長と変動の周期的な距離の差異は,培地と基板の間の培養容器 台と,培養容器の中の複雑な伝搬によるものであると考えられる.

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4 章 漏れ波型ばく露装置の開発

表 4.2. 培地内底面での電磁界ばく露量の基本統計量.入力電力は1 Wで,周波数は60 GHz. Erms (V/m) Hrms(A/m) SAR (W/kg) Power density (mW/cm2)

最小値 0.38 0.01 0.14 0.00

最大値 461 3.20 5483 156

空間平均値 86.0 1.16 466 10.1

Erms,電界強度の実効値(RMS);Hrms,磁界強度の実効値.

培地の吸収電力は,入力電力の54%であった.反射電力は,入力電力の1.8%であった.培 地の吸収電力と反射電力を除く損失の多くは,円形給電導波路に接続される inlet waveguide の伝送損失である.ポスト壁導波路の線路長当たりの伝送損失は,同じ基板を用いて,周波 数60 GHzにおいて0.13 dB/cmと報告されている [59].図4.2(c)にあるLn (n= 1,2,3,4)の 導波路長さの総計は,12 cm とした.よって, inlet waveguideの推定される伝送損失は30%

である.給電に要する導波路の伝送損失は,漏れ波型ばく露装置で電力が損失する支配的な 要因である.

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(a)

-15 -10 -5 0 5 10

Normalized | E | (dB)

30 28

26 24

22 20

x (mm)

(A) y = 20 mm

(B) y = 10 mm (C) y = 0 mm

(b)

図 4.3. 周波数 60 GHz における培地内底面での電界分布. 各値は,分布の空間平均値で規格化.

(a) xy平面. (b) 3線上,(a)のプロフィルグラフ y= 0,10,20 mm.

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