第 4 章 漏れ波型ばく露装置の開発 28
4.3 数値解析結果の妥当性評価
第4 章 漏れ波型ばく露装置の開発
4.3数値解析結果の妥当性評価
pixels で,各ピクセルの大きさが 0.25 mm2 となった.培養容器の蓋は,ポリスチレンによ
る赤外線放射の吸収を避けるために,熱画像を撮像する前に外した.
実験条件は,サーモグラフィカメラの温度精度以上の温度上昇を測定するため,入力電力 と,ばく露時間,培地の厚みなどを設定した.入力電力は,調達可能な波源の最も高い電力 である,5 Wとした.ばく露時間は,熱画像を撮像する培地表面で十分に大きな温度上昇を 得るため,60 秒とした.また,ばく露時間は,培地の底面での電界分布の特徴を得るため に,十分に短く設定した.培地の厚みは,培地の表面の温度分布を培地の底面の電界分布 へ近づけるために,2 mm から1 mmに変更した.アプリケータの下は,断熱材を取り付け た.培地は,対流による熱輸送を熱解析で考慮していないため,少量の寒天 (比率3%) を混 ぜて固めた.変更した数値解析条件によるばく露評価結果の変化はほぼないと考えられる.
温度測定結果は,5回の測定の平均値を用いた.実験中の温度と湿度は,温度 20◦Cで,湿 度が 40% であった.
解析領域の温度場を算出するため,熱輸送方程式 [60]を時間領域と空間領域で差分化し たプログラムコードを独自に作成した.熱解析モデルは,アプリケータ,培地,培養容器 を含めた.ボンディングフィルム, ビアホール,銅箔層は,熱解析モデルの中に含めなかっ た.数値解析は,実験と同じばく露時間 (60 s) と入力電力 (5 W) とした.格子サイズは,
∆x= 0.2 mmで ∆y= 0.2 mm, ∆z = 0.1 mmとした.時間刻み間隔は,0.02 秒とした.
表4.3には,熱解析モデルの物理定数を示す [29, 61].境界面の熱伝達率は,文献 [29]から 引用した.空気と培養容器の間の境界面での熱伝達率は, 41 W/m2·Kで,空気と培地の間 の境界面の熱伝達率は,7.1 W/m2·Kとした.培養容器の曲面の表面積は,曲面に階段近似 を適用するため,実際の表面積に比べ拡大する.培養容器の外周と空気の熱伝達率は,実際 の表面積と階段近似で拡大される表面積の逆比を積算した [23].基板の底面の境界条件は,
測定実験では基板に断熱材を取り付けているため,断熱条件を適用した.
表 4.3. 熱解析に用いる物理定数.
Substructure/material ρ(kg/m3) c(kJ/kg·K) k(W/m·K)
培養容器/polystyrene [29] 1100 1.2 0.12
培地/water [29] 1000 4.2 0.60
基板,培養容器台 2100 1.0 0.28 /fluorocarbon resin [61]
ρ,密度; c,熱容量;k,熱伝導率.
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4.3.2 温度分布の測定結果と解析結果
図 4.5には,ばく露開始60秒後での培地の表面での温度上昇分布を示す.図 4.5(a) と
4.5(b) の温度上昇分布は,それぞれ測定結果と解析結果を示す.図 4.5(c) と 4.5(d) は,図
4.5(a) と 4.5(b)に示した温度上昇での線分 (D)–(G) のプロフィルグラフを示す.培地表面
の温度上昇分布は,測定結果と解析結果の間で概ね一致した.
ばく露時間60秒での温度上昇分布は,図4.3(a)のスペックル状のパターンを持つ電界分 布に対して,直接的な比例関係が見られなかった.電界分布と温度上昇の直接的な比例関係 は,培地の熱伝導などの熱輸送によって,成り立っていないと考えられる.電界分布の特徴 的な形状は,温度上昇分布でも見られた.よって,実験条件を変更した中でも,電界分布の おおよその特徴は,温度上昇分布と一致した.
温度上昇分布の測定結果と解析結果の空間平均値は,培地表面においてそれぞれ 2.82◦C と 2.98◦Cであった.両者の差異は 6%と小さかった.よって,解析結果の吸収される電力 は少なくとも妥当である.
4.3数値解析結果の妥当性評価
(a) (b)
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(c)
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(d)
図4.5. ばく露開始60秒後での培地表面での温度上昇分布.線分 (D)と (G) は(a) と(b)に示す.
(a) 測定結果の分布, (b) 解析結果の分布,(c) 測定結果と解析結果の比較 (D) y= 20 mm と (E) y= 10 mm,(d) 測定結果と解析結果の比較(F) x= 20 mm と(G) x= 10 mm.
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