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第 5 章 漏れ波型ばく露装置のばく露に対する周波数特性 43

5.3 数値解析結果の妥当性評価

数値解析結果の妥当性を評価するため,ばく露中の培地の表面での温度上昇分布をサーモ グラフィカメラにより測定した.4章では,周波数 60 GHz の漏れ波型ばく露装置へ本章と 同じ数値解析方法の妥当性を評価した.本章でも妥当性を評価した理由は,周波数120 GHz と周波数を高めるにつれ,相対的な基板の加工精度の低下により,60 GHz の結果だけでは 不十分と判断したためである.

120 GHz連続波は,増幅器·逓倍器ユニット(QBM-C00120SOGO, Quinstar Technology Inc., CA) により8逓倍し,発生させた.ばく露装置への入力電力は,波源の最大出力電力 170 mWから給電素子の挿入損失を考慮して,120 mWと推定した.波源の出力ポートには,給 電素子を介し,漏れ波型 120 GHz ばく露装置を接続した.波源の最大出力電力は,カロリ メトリ式パワーセンサ (PM4, Virginia Diodes, inc., VA)を波源に直接接続したときの測定値 である.

サーモグラフィカメラ TVS-500EX (Nippon Avionics Co., Ltd., Tokyo) は,培養容器の培 地表面に直上に設置した.サーモグラフィカメラの温度精度,温度分解能と,空間解像度 は,それぞれ±2C,0.05Cと,320×240 pixelであった.培養容器の蓋は,ポリスチレンに よる赤外線放射の吸収を避けるために,熱画像を撮像する前に外した.

実験条件は,サーモグラフィカメラの温度精度以上の温度上昇を測定するため,入力電力 と,ばく露時間,培地の厚みなどを設定した.入力電力は,調達可能な波源の最も高い電 力である,120 mW とした.ばく露時間は,培地表面で十分に大きな温度上昇を得るため,

360 秒とした.培地の厚みは,培地の表面の温度分布を培地の底面の電界分布へ近づけるた

5.3数値解析結果の妥当性評価

めに,2 mm から1 mm に変更した.アプリケータの下は,断熱材を取り付けた.培地は,

対流による熱輸送を熱解析で考慮していないため,少量の寒天 (比率 3%) を混ぜて固めた.

温度測定時の室温は 20C であった.

熱解析の解析条件は,第4章の解析方法同様の条件を設定した.熱解析モデルは,アプリ ケータ,培地,培養容器を含めた.ボンディングフィルム, ビアホール,銅箔層は,熱解析 モデルの中に含めなかった.数値解析は,実験と同じばく露時間 360 s と入力電力 120 mW とした.格子サイズは,0.05 mm とした.時間刻み間隔は,2.9 msとした.

表5.2には,熱解析モデルの物理定数を示す [29, 61]. 空気と培地の境界面と空気と培養容 器の境界面の熱伝達率は,文献 [29]から引用した.空気と培養容器の間の境界面での熱伝 達率は,41 W/m2·Kで,空気と培地の間の境界面の熱伝達率は,7.1 W/m2·Kとした.熱伝 達率は,実際の表面積と数値解析の表面積の逆比を積算して,等価になるよう調整した[23].

装置の基板底面の境界条件には,実験において断熱材を付けるため,断熱条件を適用した.

表 5.2. 熱解析に用いる物理定数.

Substructure/material ρ(kg/m3) c(kJ/kg·K) k(W/m·K)

培養容器/polystyrene [29] 1100 1.2 0.12

培地/water [29] 1000 4.2 0.60

基板,培養容器台 2100 1.0 0.28 /fluorocarbon resin [61]

ρ,密度; c,熱容量;k,熱伝導率.

5.3.2 解析結果と実験結果の比較

図 5.3にばく露開始 360 秒後での培地表面の温度上昇分布を示す.図 5.3(a) と 5.3(b) の 温度上昇分布は,それぞれ測定結果と解析結果を示す.図 4.5(c) と 5.3(d) は,図 4.5(a) と

4.5(b)に示した温度上昇での線分(D)–(G)のプロフィルグラフを示す.最大の温度上昇値に

は,測定結果で1.6C,解析結果で1.2Cと差異が見られた.実験結果と解析結果の培地表 面の温度上昇分布は,y軸方向に伸びたx軸の中心付近で傾向的に一致した.

温度上昇分布の測定結果と解析結果の空間平均値は,培地表面においてそれぞれ 0.98C と 1.21Cであった.両者の差異は,21%と小さくなった.解析結果の培地内に吸収される 電力の効率は,少なくとも妥当な結果である.

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5 章 漏れ波型ばく露装置のばく露に対する周波数特性

(a) (b)

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(d)

図 5.3. 周波数 120 GHzにおけるばく露開始360秒後での培地表面の温度上昇分布.(a) 解析結果 の分布,(b) 測定結果の分布, (c) 測定結果と解析結果の温度分布比較 (A) y = 0 mm, (B) y = 9 mm, (d) 測定結果と解析結果の温度分布比較 (C) x= 0 mm, (D) x= 9 mm.