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港湾と鉄道を主体とした広域物流回廊インフラの整備課題と対応策

ドキュメント内 ウズベキスタン国 (ページ 99-106)

第6章 港湾・鉄道を主体とした広域物流回廊インフラ整備支援の 方向性

6.3 港湾と鉄道を主体とした広域物流回廊インフラの整備課題と対応策

6.3.1 港湾インフラ整備の課題と対応策

サブサハラアフリカ諸国には旧植民地時代に開発された港湾が多く、港湾施設は従来貨 物の取り扱いに適した配置になっている。すなわち、多くの岸壁は一般雑貨貨物を取り扱 っていたため、岸壁のエプロンは狭く、かつ、その背後に上屋が控えている。また、従来 貨物の取り扱いには多くの人手が必要であり、港湾は多くの非熟練労働者を抱えているこ とが多い。一方、コンテナ貨物は機械化を前提としており、荷役には広いヤードが必要で あり、熟練労働者が必要となる。このため、多くの港湾はコンテナターミナルを増設した り、旧来の上屋を取り払ってコンテナヤードを造成し、コンテナ岸壁クレーンや各種の荷 役機械を導入するなどして、コンテナ貨物の急増に対処している。サブサハラアフリカで も全体としては急増するコンテナ貨物への対応は進んでいる。しかしながら、整備の進ん だ南アフリカの港湾を除き、サブサハラアフリカの港湾は概ね表 6-2 に示すような問題と 課題を抱えている。

表 6-2 サブサハラアフリカ港湾インフラ整備の問題と対応策

項目 港湾インフラの問題点 考えられる対応策

計画性 • コンテナ貨物の急増、PPP 推進のモ ーメンタムを受けて、ともすればコ ンテナターミナルの開発が短期的な 視点で行われ、その結果、以下のよ うなリスクが存在。

9 ターミナルの乱立や近傍港湾間 での過当競争等、地域全体とし て非効率な投資となるリスク 9 個々の港湾において、コンテナ

以外の貨物取扱機能に対するし わ寄せが生じる等、港湾全体と して整合性のとれた調和ある発 展を阻害してしまうリスク

• 複数の広域回廊を含む地域 あるいはサブサハラ全体を 見た港湾開発戦略の策定

• 主要港湾におけるマスター プランの策定

取扱能力

(容量)

• 既存ターミナル施設において以下の ような容量の制約が存在し、滞船や 港内での貨物の滞留が生じるなど、

輸送上のボトルネックが顕在化。

9 水際線の能力(岸壁)に応じた 十分なヤード・荷役機械が確保 されておらず、トータルのシス テムとして十分な機能を発揮で きない

9 潜在需要に対する水際線の能力

(岸壁延長/バース数)がそも そも不足している

9 昨今の船舶の大型化に対応した 航路・泊地及び岸壁の水深が確 保されていない

• 将来的な需要増に対応した十分な岸 壁延長・水深を有する施設計画が立 てられておらず、近い将来容量不足 に陥ることが懸念される。

• ヤード拡張、荷役機械の増 強、ターミナルオペレーシ ョンの改善(レイアウト変 更や電子化)、港内交通の 改善等既存ターミナルのリ ハビリ

• ICD及び港湾との一体的運 用 の た め の 接 続 シ ス テ ム

(専用交通路など)の整備

• 航路・泊地、岸壁の増深

• 将来的な需要増に対応した 施設計画・段階整備計画の 立案

• 上記計画に基づく新たなコ ンテナターミナルの整備

サービス水準

(リードタイム、

コスト)

• 以下のような要因により、港湾にお けるリードタイムが長くなり、顧客

(荷主)のニーズであるシームレス な輸送を実現できない。

9 施設容量不足による輸送上のボ トルネック(上述)

9 陸上交通、特に鉄道輸送との接 続の悪さ、アクセス道路の容量 不足による混雑・交通渋滞 9 煩雑かつ連携の不十分な通関及

び港湾諸手続き

• 煩雑な通関・港湾内諸手続きによる 不透明な料金、競争性に乏しい状況 下での料金の高止まり等、港湾での コスト増が発生。

• 既存ターミナルのリハビリ

(上述)

• 鉄道等との接続性を向上さ せるためのヤード拡張、タ ーミナルオペレーションの 改善、インランドコンテナ デポ(ICD)の整備(+鉄 道側の輸送能力の増強)

• アクセス道路及びターミナ ルゲートの改善・整備

• 通関・港湾関連手続きの電 子化、両者の統合化を通じ たシングルウィンドウシス テムの整備

• 競争性が確保された条件下 での適切なPPPの導入

項目 港湾インフラの問題点 考えられる対応策

PPP・民営化 • 官営型の非効率で硬直的なターミナ

ル運営が、時間やコスト面でのサー ビス低下、慢性的な赤字体質を招く 結果となる。

• 一方、PPP 導入を急ぐあまり、世界 的なメガオペレーターを相手に、と もすれば民間側に有利な片務的な契 約が締結される可能性があり、以下 のようなリスクが存在。

9 ターミナルのオペレーションが 港湾全体のオペレーションから 切り離されブラックボックス化 し、サービス水準や生産性等に 関する官側からの適切なモニタ リングがなされず、特に競争性 が無い場合にはいわば独占状態 となって、港湾当局にとってタ ーミナルの公共性・公益性を追 求できないリスク

9 適切なタイミングで新たなター ミナルの開発を進めることを阻 害するリスク

• 人件費削減等に伴う労働問題が発 生。

• 競争性が確保された条件下 での適切なPPPの導入

• 契約更新時期等におけるコ ンセッションフレームワー ク、契約条件の適切な見直 し

人材育成 • 計画的な港湾開発、港湾の総合的な 管理運営、適切なPPPの推進等に係 る港湾当局者の能力不足

• 専門家の派遣を通じた港湾 の行政・管理能力向上への 取り組み

• 外部研修の実施

6.3.2 鉄道インフラ整備の課題と対応策

サブサハラアフリカの鉄道はジブチ、スワジランドを含めて32カ国で運営されているが、

基本的に旧植民地時代に造られた鉄道であり、輸出のため内陸の鉱物資源・農林産物等を 沿岸の外港に輸送し、輸入製品である石油製品、肥料、生活雑貨等を内陸に輸送している。

独立後数十年を経て、サブサハラアフリカの鉄道は南アフリカや鉱石輸送専用(モーリ タニア、ギニア、リベリア他)の鉄道を除いて、一般的に、線路(軌道)、車両等の施設の 老朽化が進み、運転速度が著しく低下しているケースが多い。維持管理が十分で無いため、

輸送の安全性にも問題がある。また、路線の延長に比べて旅客・貨物ともその輸送密度は 低く、ごく一部を除いて単線・非電化であるうえに列車の最高運転速度も低い。さらに、

車両不足による輸送力の低下に加えて、道路との激しい競争に晒されて輸送量を減らし、

採算性の悪化が更なる維持管理の困難を加速する悪循環に陥っている事例が多い。サブサ ハラアフリカの鉄道事業は PPP 化されたものも多いが、コンセッションフレームワークの 形態から、施設の十分なメンテナンスが行われず停滞している鉄道事業も多い。

以上の認識に基づいて、サブサハラの鉄道を広域物流インフラの有効なオプションとし て機能するための問題点と考えられる対応策を表 6-3に示す。

表 6-3 サブサハラアフリカ鉄道インフラ整備の問題と対応策

項目 鉄道インフラの問題点 考えられる対応策

安全性・信頼性 • 施設や車両の老朽化、信号や運転 システムの不備等により脱線事故 や遅延が多発し、輸送の基本原則 である安全性、定時運行が確保で きず、鉄道輸送に対する信頼性が 低下。その結果、顧客(荷主)に とって魅力あるモードとして機能 せ ず 、 需 要 減 少 と の 悪 循 環 が 発 生。

• 軌 道 、 車 両 、 信 号 ・ 通 信、運転の各分野を総合 した事故原因の検証・分 析

• 上記に基づく各分野にお ける対策の立案とそれら の計画的かつ総合的実施

輸送能力

(容量)

• 以下のような要因により、適切な 運行頻度を確保できず、鉄道の輸 送 能 力 ( 容 量 ) が 不 足 。 そ の 結 果、ターミナルでの貨物の滞留が 生じ、輸送上のボトルネックが顕 在化。

9 レールの疲労、軽量レールの存 在、枕木の劣化等軌道の脆弱性 に起因する低速度運行

9 車両(機関車及び貨車)の不足 9 車両の保守が適切に行われず、

稼動車両が減少

9 信号設備の未整備・整備不良、

近代化の遅れ等に起因する低速 度運行

• 軌道・路盤の改良、適切 な保守

• 新製・再生車両の調達等 車両の増強

• 補修パーツ充足、車両検 査能力の向上、車両工場 の近代化等を通じた適切 な車両保守(車両稼働率 の向上)

• 信号設備・システムの改 良・更新、適切な保守

• 適切な運転計画

サ ー ビ ス 水 準

( 所 要 時 間 、 運 行 頻 度 、 定 時 性)

• 以 下 の よ う に 所 要 時 間 、 運 行 頻 度、定時性といったサービス水準 が低下し、道路との比較優位性を 失っている。

9 低速度運行による鉄道輸送時間 の増大、低頻度運行によるター ミナルでの滞留時間の増大 9 輸送能力不足、事故の多発等に

より、輸送の基本原則である定 時運行が維持できない(時間が 読めない)

9 輸送能力不足により、潜在的需 要に対応した適切なダイヤ・運 行頻度が確保できない

• 軌道・路盤や信号設備・

システムの改良・更新、

車両の適切な保守・運転

(上述)

• 車両の増強、車両稼働率 の向上(上述)

• 港湾のターミナルと一体 的に機能する鉄道用ター ミナル/ICDの整備

PPP・民営化 • 政府の補助を受けた官営型の非効

率で硬直的な鉄道運営が赤字の累 積を生み、その結果、適切なサー ビス水準を維持できず、需要の減 少とともに、鉄道サービスそのも のの休止・廃止に至るリスクが存 在。

• 一方、コンセッションが導入され た 鉄 道 に お い て は 、 官 民 の リ ス ク・責任分担に問題があるケース

• 健全かつ適切な PPP の導 入

• 既存のコンセッションフ レームワーク、契約条件 の改善(上下分離を含む 官民のリスク負担の見直 し)

• 港湾のコンセッションと の連携

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