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浸透率分布の統計量が計算結果へ及ぼす影響

第 4 章 Multi-Path Model による核種移行挙動評価の高精度化

4.3 各パラメータが計算結果に及ぼす影響

4.3.3 浸透率分布の統計量が計算結果へ及ぼす影響

Multi-Path Modelにおいては,セグメントにおける浸透率を Bernoulli 試行列により与えた.

この際,Bernoulli試行列は無次元浸透率の算術平均値が1 となるように固定し,標準偏差と

歪度により分布を特徴づけた.本項においては,これらの統計量を系統的に整理し,Multi-Path Model が持つ分布の標準偏差に対する特性を評価する.ここでは,表 4.1 に示すパラメ

ータ群に対して計算を行った.なお,これらのパラメータの決定は標準偏差の大小により区 分した.表4.1のパラメータは,KSの値によりA,BおよびCの3つのグループに区別し,

各グループにおいてKSの頻度fを変化させた.無次元浸透率の算術平均値(K*)は1に設定 したため,KSの値は1以下の値をとることができるが,その値が小さくなるほど浸透率分布 の標準偏差が大きくなる.グループAは,KSを0.5に固定し,グループ内における標準偏差 があまり大きくない浸透率分布を示す.BはKSを0.9に固定した標準偏差の小さいグループ,

CはKSを0.1とした標準偏差の大きいグループを意味する.図4.10は,Multi-Path Modelに よる,表 4.1 に示した浸透率分布における物質移行計算結果である.なお,各グループにお ける結果はKSの頻度fが0.1,0.3,0.5,0.7および0.9の場合を代表とした.

図4.10より,Group Aのような標準偏差の範囲が0.36から3.2程度の浸透率分布において は,物質移行の計算結果は歪度の増大に従って見かけの分散が大きくなった.また,Group B のように標準偏差が小さい分布(σ:0.07 ~ 0.64)においては,各パラメータを用いた計算 結果の差は非常に小さくなった.一方で,Group C のように標準偏差が大きい分布(σ:0.64

~ 5.76)においては,KSの頻度(f)が 0.5 を境に,計算結果が大きく変化した.この理由と

して,極端に小さな浸透率を持つセグメントの割合が多くなったために,モデルにおける流 路パターンの決定において,小さな浸透率を持つセグメントを計算に用いることが避けられ ず,系全体の浸透率が低下したことが考えられる.このことは,Multi-Path Model は,その 設定からも明らかなように,浸透率の算術平均と調和平均を組み合わせた浸透率分布を表現 することを意味する.

De au

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図4.11 に,表4.1のパラメータに対する計算結果における無次元流量の値を示す.図4.11 より,Group Cの場合,fが0.5以上において無次元流量が大きく減少している.また,Group B のように標準偏差が小さい分布においては,無次元流量がほとんど変動しないことがわか る.

これらの結果は,Multi-Path Model は浸透率分布における標準偏差によって計算結果が影 響を受け易いことを示す.また,物質移行の計算結果においては,Group B のように標準偏 差が小さい浸透率分布において見かけの分散が顕著に表れた.

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表 4.1 計算に用いたBernoulli試行列の分布を表す変数(KS,KLおよびf )と分布の統計量

(標準偏差および歪度)

No. KS

[-]

KL

[-]

KSの頻度

(f )

標準偏差

(σ)

歪度

(Sk

A-1 0.5 1.06 0.1 0.36 -1.39

A-2 0.5 1.13 0.2 0.36 -1.27

A-3 0.5 1.21 0.3 0.38 -1.01

A-4 0.5 1.33 0.4 0.42 -0.57

A-5 0.5 1.50 0.5 0.50 0.00

A-6 0.5 1.75 0.6 0.64 0.57

A-7 0.5 2.17 0.7 0.90 1.01

A-8 0.5 3.00 0.8 1.46 1.27

A-9 0.5 5.50 0.9 3.20 1.39

B-1 0.9 1.01 0.1 0.07 -1.39

B-2 0.9 1.03 0.2 0.07 -1.27

B-3 0.9 1.04 0.3 0.08 -1.01

B-4 0.9 1.07 0.4 0.08 -0.57

B-5 0.9 1.10 0.5 0.10 0.00

B-6 0.9 1.15 0.6 0.13 0.57

B-7 0.9 1.23 0.7 0.18 1.01

B-8 0.9 1.40 0.8 0.29 1.27

B-9 0.9 1.90 0.9 0.64 1.39

C-1 0.1 1.10 0.1 0.64 -1.39

C-2 0.1 1.23 0.2 0.66 -1.27

C-3 0.1 1.39 0.3 0.69 -1.01

C-4 0.1 1.60 0.4 0.76 -0.57

C-5 0.1 1.90 0.5 0.90 0.00

C-6 0.1 2.35 0.6 1.15 0.57

C-7 0.1 3.10 0.7 1.62 1.01

C-8 0.1 4.60 0.8 2.62 1.27

C-9 0.1 9.10 0.9 5.76 1.39

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図4.10 浸透率分布が物質移行計算結果へ及ぼす影響.(Group A : KS=0.5に固定,Group B :

KS=0.9に固定,Group C : KS=0.1に固定した場合)

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図4.11 表4.1のパラメータに対する計算における無次元流量