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セシウムイオンを用いた定圧流動系における実験結果に対するフィッティング

第 3 章 一次元移流分散方程式による 遅延係数の評価

3.3 一次元移流分散方程式による計算結果の実験値への適用

3.3.1 セシウムイオンを用いた定圧流動系における実験結果に対するフィッティング

図3.4 に,水頭圧力差 10 cmの飽和条件と不飽和条件におけるセシウムイオンの移行挙動 に対して,一次元移流分散方程式を適用した結果を示す.

図 3.4 定圧流動系におけるセシウムイオンの移行挙動に対する一次元移流分散方程式のフ

ィッティング結果の例 a : 飽和条件における実験値に対するフィッティング(h=10 cm,

Pe=13,Rd=5.6, R2=0.990), b : 不飽和条件における実験値に対するフィッティング(h=10 cm,

Pe=13,Rd=6.55 R2=0.997).

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表 3.1 に,第 2章のセシウムイオンを用いた定圧流動系によるカラム流動実験の結果に対 して,一次元移流分散方程式を適用することにより取得したパラメータの一覧を示す.なお,

表 3.1における見かけの収着分配係数(Apparent Kd)は,得られた遅延係数Rdを用いて,不 飽和条件における遅延係数の定義式(式 1.3)より逆算した値である.さらに,従来の定義

式(式1.3)による不飽和条件における遅延係数(Rd. prev.)を,飽和条件における遅延係数Rd

から求めたKdを用いて計算した.この,従来の定義による遅延係数と,実験およびフィッテ ィングにより取得した遅延係数の比を計算し,表 3.1中のRd Ratio. に示した.

表 3.1 より,実験結果より求めた遅延係数は,飽和条件と不飽和条件のいずれにおいても

6.0 ~ 7.0 程度であり,大きな差は生じなかった.これは,従来の遅延係数の定義を勘案する

と,不飽和条件の遅延係数は飽和条件の場合よりも大きくなるという評価とは整合しない.

実際に,飽和条件における遅延係数の実験値から収着分配係数を逆算し,従来の遅延係数の 定義式に従って計算すると,遅延係数は実験値と比較して最大で1.15倍過大評価されること が明らかになった.そして,不飽和条件における遅延係数が従来の定義のように飽和率のみ によって単に補正できないことから,不飽和条件においては見かけの収着分配係数が減少し ている可能性も示唆された.これについても実際に計算してみると,表 3.1 に示すように,

不飽和条件における見かけの収着分配係数は飽和条件における収着分配係数よりも 0.9 倍程 度に減少している.

一方で,第2章の収着試験により求めた収着分配係数(Kd=0.8)を用いて遅延係数を式1.3 により計算し,実験値と比較した結果を表 3.2 に示す.収着試験より見積もられる遅延係数

は4.0 ~ 4.4程度となり,実験値はその1.5倍ほど大きかった.このように,流動実験におけ

る遅延係数が大きく評価されることは,多孔質層中の物質移行挙動において浸透率が空間的 に分布することで,流路の迂回等の幾何学的効果による寄与により分散が卓越したことを示 唆する.この,浸透率の空間的な分布は不飽和条件のみならず飽和条件においても生じ,局 所的に間隙率の低い部分や,壁面における局所的な流速の低下,移流が迂回することによる 見かけの分散の上昇などによるものと考えられる.不飽和条件においては,これらの要因に よる飽和条件における見かけの分散の増大に加え,気相の存在によって局所的な浸透率の低 下や移流の迂回がより発生しやすくなると言える.表 3.1 からわかるように,不飽和条件に おいてはペクレ数(Pe)が飽和条件と比較して減少する傾向にあり,上記のような不飽和条 件における流動状態の変化による見かけの分散係数の上昇を示唆する.

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表 3.1 定圧流動系におけるセシウムイオンの移行挙動におけるパラメータの推定結果

h [cm]

Sw

[-]

Q [mL/min]

Pe

[-]

Rd

[-]

R2 [-]

Apparent Kd

[g/cm3]

Rd, prev.

[-]

Rd ratio.

(Previous value / Experimental value)

10 1.0 0.78 13 5.6 0.990 1.26 - -

15 1.0 1.38 13 6.6 0.998 1.37 - -

20 1.0 1.92 16 6.4 0.994 1.32 - -

10 0.90 0.72 13 6.4 0.997 1.19 6.61 1.03

15 0.91 1.32 15 6.2 0.992 1.16 7.15 1.15

20 0.89 1.62 9 6.7 0.986 1.24 7.07 1.05

表 3.2 バッチ収着試験により求めた収着分配係数による遅延係数と 定圧流動系における実験による遅延係数との比較

h [cm]

Sw

[-]

Rd, batch.

[-]

Rd, exp.

[-]

Ratio of Rd

(batch/flow)

10 1 4.0 6 1.50

15 1 4.0 6.6 1.65

20 1 4.0 6.4 1.60

10 0.9 4.3 6.4 1.48

15 0.91 4.3 6.2 1.44

20 0.89 4.4 6.7 1.53

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