第 5 章 地域金融市場の競争度の決定 要因要因
5.3 決定要因の推定結果
合
(%)
を用いる。金融リテラシーが高いほどに、借り手と金融機関の間 の情報の非対称性が緩和されることから、金融機関間の競争が促進される ことが予想される。Z
itには、マクロ経済環境が金融機関のパフォーマンスに与える影響を コントロールするために、地域経済の発展水準の代理変数として一人当た りGDP
、地域経済の状態の代理変数としてGDP
成長率、金利の安定性 の代理変数としてインフレ率を採用する。表
5.2:
パネル推定の結果銀行市場の 構造(1)
銀行市場の 構造(2)
銀行市場の 構造(3)
異業種の 競争圧力
政府・法
・商習慣
金融市場への アクセス ALL
貸出金のHHI 0.1110
[2.954]
預金のHHI 1.5650
[3.515]
支店数のHHI -1.3790
[5.387]
人口当たり地銀・信金・
信組の本店数(log) -0.0650 -0.0620 -0.1180 [0.658] [0.674] [0.660]
地銀・信金・信組の
本店数あたり支店数(log) -1.2600 -1.4400 -1.1840 [0.884] [1.046] [0.874]
GDPに対する
国内銀行貸出残高(log) 5.3990** 4.0480**
[1.723] [1.557]
GDPに対する
生命保険契約高(log) -1.1010
[1.120]
人口当たり
都市銀行の支店数(log) -0.0800
[0.150]
人口当たり 漁業協同組合と 農業協同組合の
合計支店数(log) 0.2680
[0.319]
人口当たり
指定暴力団構成員数(%) -16.5460
[80.559]
小切手・手形
取引停止処分比率(log) 0.8680*** 0.6410***
[0.168] [0.127]
公的投資依存度(%) -0.073** -0.0880**
[0.030] [0.029]
高等教育機関の
卒業者割合(%) -0.3040
[0.464]
インターネット
普及率(%) 0.0500
[0.089]
一人当たりGDP (log) 5.4710* 5.6020* 5.5250* 9.2550* 1.2750 6.2100 6.1600*
[2.850] [2.700] [2.885] [4.244] [1.980] [4.668] [2.728]
インフレ率(%) -0.2310** -0.2270** -0.2300** -0.3230*** -0.0690 -0.2140* -0.2020**
[0.099] [0.097] [0.098] [0.089] [0.085] [0.096] [0.082]
GDP成長率(%) -7.6620** -7.7460** -7.6340** -4.3020 -1.5240 -8.8370* -1.1540
[2.457] [2.428] [2.462] [3.025] [2.068] [4.119] [2.008]
Cons -2.7420 -2.7500 -3.3860 -5.2130 -4.5770 -2.8700 -7.537**
[7.027] [6.810] [6.776] [9.236] [3.202] [4.423] [3.077]
N 120 120 120 120 120 120 120
R-squared 0.188 0.192 0.188 0.282 0.282 0.184 0.356
N
は標本数を、[ ]
の中の値は標準誤差を示す。∗
、∗∗
、∗ ∗ ∗
はそれぞれ10%
、5%
、1%
有意水準で統計的に有意にゼロと異なることを示す。最後に、ここまでで統計的に有意であった変数をまとめて推定したのが 7列目である。いずれの変数も有意であり、かつ符号も個別の推定と同じ である。決定係数も他の推定と比べて高くなっている。
結果をまとめると、日本の地方金融市場においては、国内銀行貸出残高 や企業の取引停止処分数が多いほど、貸出市場が競争的であるといえる。
また、集中度や銀行数・支店数と競争度との相関は見られず、競合してい るように見える他の金融機関からの影響は確認されなかった。
5.4 おわりに
本章では、地域金融市場の競争度とそれに影響を与える決定要因をパネ ルデータを用いて検証をおこなった。
地域金融市場の競争度の決定要因を分析した結果は、地域金融市場は、
金融深化や商道徳の水準が高いほどに競争的な市場となることが明らかと なった。また、集中度や銀行数・支店数と競争度との相関は見られず、競 合しているように見える他の金融機関からの競争圧力の影響は確認されて いない。この点は先行研究の結果と異なるものである。