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次世代シーケンス解析施設

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 160-164)

術的にできないこともないけれど、コスパに合わないのでできないと 断っているサンプルもある。

(研究者M2-01: 2017年6月27日実施)

この施設は研究組織の中で、独自の研究開発をしない部署と位置づけ られている。先端的な技術や方法論を独自では開発しない代わりに、

部門内の研究者や技術者などが開発したものを施設の中に取り入れる ことで技術をアップデートしてきた経緯がある。仮に、施設の中に新 しい技術の開発を希望するメンバーがいても、他の部門との兼務をか けることで対応し、施設の中で技術開発を行うことを禁じてきた。

施設が研究開発をしない経緯として、施設が研究開発ではなくサービ スに徹することで、施設が成果を主張することがないので、利用者が 安心してサンプルを預けることができることを想定している点があ る。また、ある疾患に対するサンプルを別々の研究者が解析をしてい て、同じサンプルを施設が受けた際、サービスに徹することができれ ば、同時に受けることもできるが、それぞれに共著を求めるならば、

施設はどちらかのサンプルしか解析することはできない。

確かに、ユーザーの見地に立ってみれば、単なる解析依頼をしたらそ の結果が論文に掲載された際に、いちいち共著にしろと言われたらユー ザーからしたら面倒なことになるので、解析結果の成果を共有しない方 針は意味のあることであると考えている。しかし、施設のメンバーの観 点からすれば、解析したサンプルに対する貢献がどこにも見えてこない ので、施設が技術開発を行い、独自の技術をユーザーに提供することが できる体制を整えることにより、分析会社が行っている解析業務との差 別化を計ることもできるし、施設の中で技術開発を行いたいと考えてい るメンバーのインセンティブも大きく上がるのではないかと考えてい る。

(研究者M2-02: 2017年9月30日実施)

現在提供しているサービスのうち、外注したほうが安い、あまり施 設にとってメリットのないサービスは外してしまって、対外的に内に しかできないようなもの、または施設にとって解析するメリットがあ るようなものをきちんと明示しなければならないと考えている。研究 グループ内にも研究所経営者にもきちんとその旨、コンセンサスを取 ったうえで何が必要なのかの議論をしていく必要が今後必要だと考え ている。

(研究者M2-03: 2017年7月7日実施)

施設が研究活動を行うことを、サービス業務を行うために組織的に制 されてきたことは、必ずしも現場の特に技術開発に興味のある担当者 のインセンティブを挙げてこなかったことを認めるとしても、仮に施 設で研究開発が認められたとして、業務がうまく回るか正直不安なと ころがある。施設の業務が研究オリエンテッドになると、担当は自分 の研究にしか興味がなくなってしまうのではないかとの懸念があり、

外部共用活動に目が行かなくなりがちなので、外部共用事業がきちん と機能するか不安になる。

(研究者M2-04: 2017年10月24日実施)

・技師N3

遺伝子解析施設で行っている解析のために必要な前処理のためのラ イブラリを作る作業、実際にシーケンサーで シーケンスする作業、そ して産出されたデータを解析する作業から成り立っている。現在の研 究部門に改組されるまでは、研究部門がメインで支援施設が研究施設 に付属する存在であった。このスキームの中では、研究は研究部門で 支援は支援部門でやるのが既定路線となっている。

この仕組みでは、支援施設は共同研究のメンバーになることができな い。研究部門の指示を受けるのみの単なる下請け施設と位置づけられ ているので、支援施設が成果を直接出すことはなく、研究部門におい しいところを持っていかれる状況となっている。こうした仕組みは支 援施設の中で研究をやりたい人たちにとってデメリットしかない。こ の仕組みは、今まではお金が施設に措置されている状況の中では、あ る程度機能した。今は、稼げといわれているが、高度化や研究をする 中で、売りになるところを外部ユーザーにアピールしなければ、測定 を依頼されることはないので結果として稼げないと考えている。民間 の受託分析会社と比較すると比較的高めの料金設定なので、ルーティ ンで解析できるようなサンプルよりは、分析会社で解析するのが難し いサンプルが支援施設に集まってきている。

(技師N3-01: 2017年3月7日実施)

現在、外部共用は受託研究の形で受けている。しかしこの形は、施 設に成果を残さないやり方なので、アカデミックな成果は残らない。

施設の高度化は研究グループの別の部署が行っており、そこから技術

をもらってくるやり方であった。これまでは、施設は支援に徹する位 置づけであったので、このやり方を行ってきたが、施設の高度化は施 設自身でも行う必要があるのではないか。

施設内部でも、このあたりについては意見が分かれるところだけ ど、たとえば受託研究とは別に共同研究を行っていくやり方もあると 思う。分析会社と組んで、ルーティンな解析は外に出してそれ以外の 難しいサンプルを受けるやり方もありだと思う。

(技師N3-02: 2017年3月3日実施)

・研究者M3

外部共用の問題は、施設を単なる付属施設としてしまうと、外部か らユーザーを引き込む努力を基本しなくなることがある。ビジネスに 興味がなくなってしまうのだ。

ビジネスに興味を持ってもらい、自立して基盤施設を運営すること を志向してもらうことが、研究部門全体の活性化につながる。ここで いう、ビジネスとは、ここで行っている基礎研究の研究活動を継続す るための次の研究プロジェクトを意味する。

これまでは部門に所属する研究者も、基盤施設に外部とのつながり を丸投げするようなことをしてきたが、こうした考え方をあらため て、施設と一緒になってビジネスの志向を持つことが求められる。し かし、彼らの多くは日々の研究活動で時間がないので、これをサポー トするコーディネータとの連携が必要になるだろう。

また、こうした連携を醸成するためにも、研究キャンパスの周囲に 企業やビジネススクールをはじめとした、異種の人たちとつながる場 を多く持つことも求められる。

(研究者M3-01: 2018年7月5日実施)

分析

ここでは、前章で示した事例のデータに基づき、外部共用の担当者が外部共 用活動に付随するサービス業務を自身が行う研究開発活動のなかでどのように 位置づけているのかについての考察を行う。まず、研究基盤施設の担当者が外 部共用についての業務を行う際に、担当者がどのような感情を抱いているのか を、インタビュー調査や参与観察を中心としたエスノグラフィによって分析す る。また、研究基盤施設の担当者が、外部共用活動を自身の活動のインセンテ ィブに位置付けることができない背景や互恵関係をどのように構築しているの かについて分析を行う。

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 160-164)