⑴ 改正前の制度の概要
① 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の 繰越し
内国法人の各事業年度開始の日前10年以内 に開始した事業年度で青色申告書を提出した 事業年度において生じた欠損金額(以下「青 色欠損金額」といいます。)がある場合には、
その青色欠損金額に相当する金額は、その各 事業年度の所得の金額の計算上、欠損金額控 除前の所得の金額の50%相当額を限度として、
損金の額に算入することとされています(法 法57①)。
なお、中小法人等、再建中の法人及び新設 法人については、欠損金額控除前の所得の金 額を限度として、損金の額に算入することと されています(法法57⑪)。
(注 1 ) 中小法人等とは、各事業年度終了の時 において次の法人に該当する内国法人を いいます(法法57⑪一、58⑥一、66⑥二・
三、法令139の 6 の 2 )。
イ 普通法人のうち、資本金の額若しく は出資金の額が 1 億円以下であるもの 又は資本若しくは出資を有しないもの ただし、次の法人を除いたものとさ れています。
イ 投資法人 ロ 特定目的会社
ハ 法人課税信託に係る受託法人 ニ 大法人(資本金の額又は出資金の
額が 5 億円以上である法人、相互会 社及び法人課税信託に係る受託法人 をいいます。以下同じです。)との間 にその大法人による完全支配関係が ある普通法人
なお、相互会社には、外国相互会 社を含むこととされています。
ホ 普通法人との間に完全支配関係が
ある全ての大法人が有する株式及び 出資の全部をその全ての大法人のう ちいずれか一の法人が有するものと みなした場合においてそのいずれか 一の法人とその普通法人との間にそ のいずれか一の法人による完全支配 関係があることとなるときのその普 通法人
ヘ 相互会社
ロ 公益法人等又は協同組合等
なお、公益法人等には、法人税法以 外の法律によって公益法人等とみなさ れているもの(認可地縁団体、管理組 合法人、団地管理組合法人、法人であ る政党等、防災街区整備事業組合、特 定非営利活動法人、マンション建替組 合、マンション敷地売却組合等)を含 むこととされています。
ハ 人格のない社団等
(注 2 ) 再建中の法人とは、内国法人の各事業 年度が次の事業年度(その内国法人の事 業の再生が図られたと認められる事由が 生じた日以後に終了する事業年度を除き ます。)である場合におけるその内国法人 をいいます(法法57⑪二、58⑥二、法令 112⑭、116の 2 ⑤)。
イ 更生手続開始の決定があった場合に おけるその更生手続開始の決定の日か らその更生手続開始の決定に係る更生 計画認可の決定の日以後 7 年を経過す る日までの期間(以下「更生期間」と いいます。)内の日の属する事業年度
ただし、更生期間内にその更生手続 開始の決定に係る次の事実が生じた場 合には、その更生手続開始の決定の日 から次の事実が生じた日までの期間内 の日の属する事業年度とされています
(法法57⑪二イ、法令112⑮)。
イ その更生手続開始の決定を取り消 す決定の確定
ロ 更生手続廃止の決定の確定 ハ 更生計画不認可の決定の確定 ロ 再生手続開始の決定があった場合に
おけるその再生手続開始の決定の日か らその再生手続開始の決定に係る再生 計画認可の決定の日以後 7 年を経過す る日までの期間(以下「再生期間」と いいます。)内の日の属する事業年度 ただし、再生期間内にその再生手続 開始の決定に係る次の事実が生じた場 合には、その再生手続開始の決定の日 から次の事実が生じた日までの期間内 の日の属する事業年度とされています
(法法57⑪二ロ、法令112⑯)。
イ その再生手続開始の決定を取り消 す決定の確定
ロ 再生手続廃止の決定の確定 ハ 再生計画不認可の決定の確定 ニ 再生計画取消しの決定の確定 ハ 法人税法第59条第 2 項に規定する政
令で定める事実が生じた場合における その事実が生じた日から同日の翌日以 後 7 年を経過する日までの期間内の日 の属する事業年度
具体的には、次の事実となります
(法令117二~五)。
イ 内国法人について特別清算開始の 命令があったこと。
ロ 内国法人について破産手続開始の 決定があったこと。
ハ 法人税法施行令第24条の 2 第 1 項 に規定する事実
ニ 再生手続開始の決定があったこと 及び上記イからハまでの事実に準ず る事実
ニ 法令の規定による整理手続によらな い負債の整理に関する計画の決定又は 契約の締結で、第三者が関与する協議 によるものがあった場合におけるその あった日から同日の翌日以後 7 年を経
過する日までの期間内の日の属する事 業年度
具体的には、次のものとなります
(法令112⑰、法規26の 3 の 2 ③)。
イ 債権者集会の協議決定で合理的な 基準により債務者の負債整理を定め ているもの
ロ 行政機関、金融機関その他第三者 のあっせんによる当事者間の協議に よる上記イに準ずる内容の契約の締 結
(注 3 ) 新設法人とは、内国法人の各事業年度 がその内国法人の設立の日から同日以後 7 年を経過する日までの期間内の日の属 する事業年度(その内国法人の発行する 株式が金融商品取引所等に上場されたこ と等の事由が生じた日以後に終了する事 業年度を除きます。)である場合における その内国法人をいいます(法法57⑪三、
58⑥三、法令112⑲、116の 2 ⑦)。
ただし、普通法人に限ることとされる とともに、中小法人等、大法人との間に その大法人による完全支配関係がある普 通法人、普通法人との間に完全支配関係 がある全ての大法人が有する株式及び出 資の全部をその全ての大法人のうちいず れか一の法人が有するものとみなした場 合においてそのいずれか一の法人とその 普通法人との間にそのいずれか一の法人 による完全支配関係があることとなると きのその普通法人及び株式移転完全親法 人を除くこととされています。
また、平成27年度税制改正において、青色 欠損金の繰越期間(改正前: 9 年)を10年に 延長する改正(施行日:平成30年 4 月 1 日)
が行われており(法法57①)、この改正は、
法人の平成30年 4 月 1 日以後に開始する事業 年度において生ずる欠損金額について適用す ることとされています(平成27年改正法附則 27①)。
② 青色申告書を提出しなかった事業年度の災 害による損失金の繰越し
内国法人の各事業年度開始の日前10年以内 に開始した事業年度において生じた欠損金額 のうちに災害損失欠損金額がある場合には、
その災害損失欠損金額に相当する金額は、そ の各事業年度の所得の金額の計算上、欠損金 額控除前の所得の金額の50%相当額を限度と して、損金の額に算入することとされていま す(法法58①)。
なお、中小法人等、再建中の法人及び新設 法人については、欠損金額控除前の所得の金 額を限度として、損金の額に算入することと されています(法法58⑥)。
また、平成27年度税制改正において、災害 損失金の繰越期間(改正前: 9 年)を10年に 延長する改正(施行日:平成30年 4 月 1 日)
が行われており(法法58①)、この改正は、
法人の平成30年 4 月 1 日以後に開始する事業 年度において生ずる欠損金額について適用す ることとされています(平成27年改正法附則 27①)。
③ 連結欠損金の繰越し
連結親法人の各連結事業年度開始の日前10 年以内に開始した連結事業年度において生じ た連結欠損金額がある場合には、その連結欠 損金額に相当する金額は、その各連結事業年 度の連結所得の金額の計算上、連結欠損金額 控除前の連結所得の金額の50%相当額を限度 として、損金の額に算入することとされてい ます(法法81の 9 ①)。
なお、中小法人等に該当する連結親法人、
再建中の連結親法人及び新設連結親法人につ いては、連結欠損金額控除前の連結所得の金 額を限度として、損金の額に算入することと されています(法法81の 9 ⑧)。
(注 1 ) 中小法人等に該当する連結親法人、再 建中の連結親法人及び新設連結親法人に ついては、上記①(注 1 )から(注 3 ) までと同様です。
さらに、その連結欠損金額のうち特定連結 欠損金額がある場合には、その特定連結欠損 金額については、その特定連結欠損金額に係 る特定連結欠損金個別帰属額を有する各連結 法人の連結欠損金額控除前の個別所得金額が 控除限度とされています(法法81の 9 ①)。
(注 2 ) 特定連結欠損金額とは、連結納税の開 始又は連結納税グループへの加入の際に 時価評価の対象外となる連結子法人の最 初連結事業年度開始の日前10年以内に開 始した各事業年度において生じた欠損金 額等をいいます(法法81の 9 ③)。
また、平成27年度税制改正において、連結 欠損金の繰越期間(改正前: 9 年)を10年に 延長する改正(施行日:平成30年 4 月 1 日)
が行われており(法法81の 9 ①)、この改正 は、連結法人の平成30年 4 月 1 日以後に開始 する連結事業年度において生ずる連結欠損金 額について適用することとされています(平 成27年改正法附則30①)。
⑵ 改正の内容
① 通算法人の繰越控除の対象とならない欠損 金額等
イ 時価評価法人の通算開始・加入前の欠損 金額の切捨て
通算法人が時価評価除外法人に該当しな い場合には、その通算法人の通算承認の効 力が生じた日以後に開始する各事業年度に おいては、同日前に開始した各事業年度に おいて生じた欠損金額は、ないものとする こととされています(法法57⑥)。
時価評価除外法人とは、法人税法第64条 の11第 1 項各号又は第64条の12第 1 項各号 に掲げる法人をいいます。すなわち、下記 5 ⑵②イ及びロ並びに⑶②イからニまでの 法人です。
上記の通算法人には、通算法人であった 内国法人を含むこととされています。した がって、欠損金額をないものとする効果は、