⑴ 通算承認
① 通算承認 イ 概要
内国法人が損益通算及び欠損金の通算等 の適用を受けようとする場合には、その内 国法人及びその内国法人との間に完全支配
関係がある他の内国法人の全てが、国税庁 長官の承認を受けなければならないことと されています(法法64の 9 ①)。
なお、上記の「その内国法人及びその内 国法人との間に完全支配関係がある他の内 国法人の全て」は、親法人及びその親法人 との間にその親法人による完全支配関係が ある他の内国法人(下記ロ及びニ参照)に 限ることとされています。
親
子
連結開始・加入前
(単体法人の時期)の欠損金
=特定欠損金
連結開始後
(連結親法人になってから)の 欠損金
=非特定欠損金
連結納税制度 グループ通算制度
令和 4 年 4 月 1 日以降
令和 4 年 4 月 1 日以降
令和 4 年 4 月 1 日以降
令和 4 年 4 月 1 日以降 非特定欠損金として
引継ぎ
非特定欠損金として 引継ぎ 特定欠損金として
引継ぎ
連結開始前
(単体法人の時期)の欠損金
=非特定欠損金
連結開始・加入後
(連結子法人になってから)の 欠損金
=非特定欠損金
特定欠損金 非特定欠損金 非特定欠損金
非特定欠損金
グループ通算制度への移行に伴う欠損金の経過措置
通算承認については、対象法人から次の 法人が除外されているほか、連結納税制度 と同様とされています。
イ 青色申告の承認の取消しの通知を受け た法人でその通知を受けた日から同日以 後 5 年を経過する日の属する事業年度終 了の日までの期間を経過していないもの ロ 青色申告の取りやめの届出書の提出を した法人でその届出書を提出した日から 同日以後 1 年を経過する日の属する事業 年度終了の日までの期間を経過していな いもの
連結納税制度と同様に、親法人の設立事 業年度の翌事業年度から通算制度を適用し ようとする場合の承認申請期限の特例が設 けられています(下記⑤参照)が、親法人 がその資産の時価評価による評価損益を計 上する必要がある場合及び設立事業年度が 3 月以上の場合には適用できないこととさ れています。また、承認の却下事由に、備 え付ける帳簿書類に取引の全部又は一部を 隠蔽し、又は仮装して記載し、又は記録し ていることその他不実の記載又は記録があ ると認められる相当の理由があることが加 えられています。これらを除き、承認の手 続及び要件は、連結納税制度と同様です。
すなわち、通算承認は、青色申告の承認 を前提とした制度とされています。報告書 に「申請、承認、却下、取消し等について は、現行制度上の取扱いを基本としつつ、
現行制度でも青色申告と概ね同等の要件と されていること等を踏まえ、個別申告方式 とすることを契機に、青色申告に取り込む 等の見直しをすることが考えられる。」と 記載されていることに沿ったものです。
ロ 親法人
上記イの親法人とは、内国法人である普 通法人又は協同組合等のうち、次のいずれ にも該当しない法人をいいます(法法64の
9 ①、法令131の11①)。
イ 清算中の法人
ロ 普通法人(外国法人を除きます。)又 は協同組合等との間にその普通法人又は 協同組合等による完全支配関係がある法 人
ハ 通算制度の取りやめの承認を受けた法 人でその承認を受けた日の属する事業年 度終了の日の翌日から同日以後 5 年を経 過する日の属する事業年度終了の日まで の期間を経過していないもの
ニ 青色申告の承認の取消しの通知を受け た法人でその通知を受けた日から同日以 後 5 年を経過する日の属する事業年度終 了の日までの期間を経過していないもの ホ 青色申告の取りやめの届出書の提出を した法人でその届出書を提出した日から 同日以後 1 年を経過する日の属する事業 年度終了の日までの期間を経過していな いもの
ヘ 投資法人 ト 特定目的会社
チ 投資信託又は特定目的信託に係る受託 法人
ハ 完全支配関係
上記イ及びロロの完全支配関係は、次の 法人(以下「通算子法人になれない法人」
といいます。)及び外国法人が介在しない ものに限ることとされています(法法64の 9 ①、法令131の11③)。以下4において同 じです。
イ 通算制度の取りやめの承認を受けた法 人でその承認を受けた日の属する事業年 度終了の日の翌日から同日以後 5 年を経 過する日の属する事業年度終了の日まで の期間を経過していないもの
ロ 青色申告の承認の取消しの通知を受け た法人でその通知を受けた日から同日以 後 5 年を経過する日の属する事業年度終 了の日までの期間を経過していないもの ハ 青色申告の取りやめの届出書の提出を
した法人でその届出書を提出した日から 同日以後 1 年を経過する日の属する事業 年度終了の日までの期間を経過していな いもの
ニ 投資法人 ホ 特定目的会社 ヘ 普通法人以外の法人
ト 破産手続開始の決定を受けた法人 チ 通算親法人との間に通算完全支配関係
を有しなくなったことにより通算承認の 効力を失った法人(以下「離脱法人」と いいます。)で、その効力を失った日か ら同日以後 5 年を経過する日の属する事 業年度終了の日までの期間を経過してい ないもの
(注 1 ) 離脱法人は、その離脱法人が通算 子法人になれない法人に該当するか どうかを判定する時点におけるその 離脱法人の親法人との間に、上記の 通算承認(すなわち過去の通算承 認)の効力を失う直前において、そ の親法人による完全支配関係があっ たもの(例えば、その親法人が上記 の「通算親法人」と同じ法人である 場合におけるその離脱法人)に、限 ることとされています。すなわち、
このチは再加入制限についての規定 です。連結納税制度と同様です。
(注 2 ) 離脱法人からは、次の事由に基因 してその通算承認の効力を失ったも のを除きます。
A 通算親法人が通算承認の効力を 失ったこと。
B その離脱法人又はその離脱法人 の発行済株式若しくは出資の全部 若しくは一部を保有する法人の破 産手続開始の決定による解散 リ 投資信託又は特定目的信託に係る受託
法人
ニ 通算子法人になれない法人及び外国法人
が介在しない完全支配関係
通算子法人になれない法人及び外国法人 が介在しない完全支配関係とは、当事者間 の完全支配関係又は一の者との間に当事者 間の完全支配関係がある法人相互の関係を いい、当事者間の完全支配関係とは、内国 法人が他の内国法人(通算子法人になれな い法人を除きます。)の発行済株式等の全 部を保有する場合におけるその内国法人と 当該他の内国法人との間の関係(以下「直 接完全支配関係」といいます。)をいいま す(法令131の11②の規定により読み替え られた法令 4 の 2 ②)。この場合において、
その内国法人及びこれとの間に直接完全支 配関係がある 1 若しくは 2 以上の法人又は その内国法人との間に直接完全支配関係が ある 1 若しくは 2 以上の法人が他の内国法 人(通算子法人になれない法人を除きま す。)の発行済株式等の全部を保有すると きは、その内国法人は当該他の内国法人の 発行済株式等の全部を保有するものとみな されます(法令131の11②の規定により読 み替えられた法令 4 の 2 ②)。
発行済株式等とは、発行済株式又は出資
(その法人が有する自己の株式又は出資を 除きます。)をいい、発行済株式(自己が 有する自己の株式を除きます。)の総数の うちに従業員持株会が保有する株式及びス トックオプションを付与された当該他の内 国法人の役員等(役員又は使用人、役員又 は使用人であった者及びこれらの者の相続 人を含みます。)がその行使により取得し たその法人の株式(その役員等が保有して いるものに限ります。)の数を合計した数 の占める割合が 5 %未満の場合のその株式 を除くこととされています(法令131の11
②の規定により読み替えられた法令 4 の 2
②)。連結納税制度の場合と同様です。
ホ 他の内国法人(子法人)
上記イの「親法人との間にその親法人に
よる完全支配関係がある他の内国法人」と は、子法人のことであり、上記ハイからリ までの法人を除くこととされています。す なわち、連結納税制度と同様に、上記ハイ からリまでの法人は、通算子法人になるこ とができません。
② 承認申請
内国法人(上記①ロの親法人及び上記①ホ の他の内国法人に限ります。)は、通算承認 を受けようとする場合には、親法人の損益通 算及び欠損金の通算等の適用を受けようとす る最初の事業年度開始の日の 3 月前の日まで に、その親法人及び他の内国法人の全ての連 名で、次の事項を記載した申請書をその親法 人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税 庁長官に提出しなければならないこととされ ています(法法64の 9 ②、法規27の16の 8 ①)。
イ 申請をする上記①ロの親法人及び上記① ホの他の内国法人(以下「申請法人」とい います。)の名称、納税地及び法人番号並 びに代表者の氏名
ロ 損益通算及び欠損金の通算等の適用を受 けようとする最初の事業年度開始の日及び 終了の日
ハ 上記イの親法人の申請時における発行済 株式又は出資の総数又は総額並びにその主 要な株主等の氏名又は名称及びその保有す る株式又は出資の数又は金額
ニ 上記イの他の内国法人の申請時における 発行済株式又は出資の総数又は総額、当該 他の内国法人が有する自己の株式又は出資 の数又は金額及び上記①ニの完全支配関係 の判定において発行済株式から除かれる株 式の数並びに当該他の内国法人の発行済株 式又は出資を保有する申請法人の名称及び その保有する株式又は出資の数又は金額 ホ 申請法人のうち通算制度の取りやめの承
認を受けたことがあるものにあっては、そ の申請法人の名称及びその承認を受けた日 ヘ 申請法人のうち青色申告の承認の取消し
の通知を受けたことがあるものにあっては、
その申請法人の名称及びその通知を受けた 日
ト 申請法人のうち青色申告の取りやめの届 出書の提出をしたことがあるものにあって は、その申請法人の名称及びその届出書を 提出した日
チ その他参考となるべき事項
③ 却下事由
国税庁長官は、上記②の申請書の提出があ った場合において、次のいずれかに該当する 事実があるときは、その申請を却下すること ができることとされています(法法64の 9 ③)。
イ 通算予定法人(上記①ロの親法人又は上 記①ホの他の内国法人をいいます。以下同 じです。)のいずれかがその申請を行って いないこと。
ロ その申請を行っている法人に通算予定法 人以外の法人が含まれていること。
ハ その申請を行っている通算予定法人につ き次のいずれかに該当する事実があること。
イ 所得の金額又は欠損金額及び法人税の 額の計算が適正に行われ難いと認められ ること。
ロ 損益通算及び欠損金の通算等の適用を 受けようとする事業年度において、帳簿 書類の備付け、記録又は保存が青色申告 の要件に従って行われることが見込まれ ないこと。
ハ その備え付ける帳簿書類に取引の全部 又は一部を隠蔽し、又は仮装して記載し、
又は記録していることその他不実の記載 又は記録があると認められる相当の理由 があること。
ニ 法人税の負担を不当に減少させる結果 となると認められること。
連結納税制度においては、その申請を行っ ている法人につき、国税庁長官の職権により 連結納税の承認を取り消され、又は連結納税 の取りやめの承認を受けた日以後 5 年以内に