神奈川県・横浜市
児童養護施設などの子どもたち・若者たちのために
就労支援事業 (キャリア教育・就職あっせん・アフターフォロー)
入所中から退所後まで、 「働 く」ことにつながるサポート
プログラム1
児童養護施設などに入所しているときから、退所後まで一気通貫の就労サポートが充実。
<キャリア教育研修(入所中)>
ITやビジネスマナーなどのスキル習得や自己肯定感を高める機会がある。
児童養護施設出身の社会人を招待し、退所後の生活を前向きにとらえる機会を提供。
地域密着型の就労体験で、達成感の獲得や仕事への興味をもつきっかけをつくる。
会社見学ツアーなどを行い、本人の力で就職先の選択を自己決定できるようサポート。
履歴書の作り方、面接練習などのサポートを実施。
<出口支援>
児童養護施設などの子ども・若者に理解があり、育てたいと考える企業の求人を発掘・紹介。
<アフターフォロー支援>
社会に出た児童養護施設などの退所者が、気軽に集まって社会人と交流できる交流会や交流ス ペースを提供。
一人ひとりの特性を理解した個別のコーディネートがある。
「企業目線」での研修を受けられて、仕事に必要なスキルを身につけられる。
早い段階で働くことや自分の特性を理解するための場がある。
研修後の企業紹介や定着支援など包括的なサポートがある。
退所後も定期的に施設OBとつながることのできる催しがある。
ポイント
【対象年齢】厳密な年齢制限はなし(中心利用者層:10〜20代半ば)
児童養護施設、自立援助ホーム、児童自立支援施設、シェルターなどの入所者・退所者をはじめと した身寄りのない若者。
上記の条件で、就職へのイメージがもてないでいる人、アルバイト状態を脱して正社員になりたい 人、理解のある企業に就職したい人など。
こんな方に
株式会社
フェアスタート
活動概要
「社会的養護」の立場にある子どもたちが、公平なスタートラインから社会に 出られるための機会を創り出す。NPO法人フェアスタートサポートと協同し て、社会全体で育みながら退所者の社会生活の安定を支援する。
特徴
高校卒業後に、施設を退所し就職する割合の高い「社会的養護下」の子ど もと、若くてやる気のある人材を求める企業の間に入り、必要なサポートを行 う。ミスマッチングによる離職やワーキングプアに陥ることを防ぎ、子どもたち が公平なスタートラインから社会へ巣立てるようサポートする。
連絡先
住所:〒231-0003
神奈川県横浜市中区北仲通3-33 神奈川県中小企業共済会館 関内フューチャーセンター 214 電話:045-319-4675 メール:[email protected] HP:http://fair-start.co.jp/
本人負担なし 費 用
利用したい本人が入所している(していた)施設のスタッフに参加の希望を伝え、施設からフェアスタートに 申し込み方法 連絡する
本人の状況や年齢などに合わせてどのプログラムを実施するかを決める スケジュール
児童養護 就労
児童
養護 就労 学
習支 援
自立 準備
住ま い
路上
・ 不安 定住 居 シェ ルタ ー
児童 養護 DV
障害 者就 労
就労
その 他 居場 所
児童養護施設の目的と役割
元来の児童養護施設の目的は、家庭で生活できな い子どもの「入所・養護」である。1997年からは「自立 支援」、2004年からは「退所した者に対する相談・援 助」も主要な役割に加えられた1)。したがって、現在 の児童養護施設はインケア(生活支援)、リービングケ ア(自立支援)、アフターケア(退所後の相談・援助)と いう大きく3つの役割をおっている。これらそれぞれの 段階において、実践現場では多くの課題を抱えてい る。本稿では主に、リービングケアとアフターケアの課
題について整理する。
社会的自立に伴う困難
全国には589の児童養護施設(2012年10月現在)
があり、約3万人の子どもが生活している。これは国が 家庭に代わり子どもを養育する「社会的養護」の4分の 3を占める。子どもたちの大半は家庭などでの虐待を 体験し、その影響から反応性愛着障害や自尊感情の 著しい欠如など、様々な困難を抱えている。これらは、
暴力を含む不適切なコミュニケーション、盗み、学校 不適応、自傷行為、異性への過度な依存といった行 動上の問題を引き起こし、あたかも子ども自身に問題 があるような印象を抱かせる。しかし、これらは不適切 な養育の結果であり、子どもはあくまでも被害者である。
こうした入所児童の多くは早期の家庭復帰が見込 めず、施設からの社会的自立を目指すことになる。施 設からの社会的自立には、「若年」、「低学歴」、「支援 者の不足」といった負の特徴がつきまとっている。法 律上は、18歳までの保護は国の責務であり、必要に 応じてこれを20歳まで延長できる(児童福祉法第31 条)となっているが、現実はこれとかけ離れている。何 らかの理由で高校に進学できない、あるいは中退した 児童には、短期間のうちに施設を出され就労・自立を 強いられるケースが今も珍しくない。これに対してもよ うやく国は2011年に通知を出し2)、「自立生活能力が ないまま措置解除することのないよう」と行政機関や 各施設の対応改善を求めた。
子どもたちの多くは、入所前からの不安定な生活歴 等により学力や意欲を著しく欠いている。こうした子ど もほど「やる気がない」、「不真面目だ」として、早期に 社会に出されており、その後の長い人生においても不
589施設、約3万人が生活─
児童養護施設における自立支援
早川悟司
安定さからなかなか抜けられない。子どもに不合理な 自己責任を問うよりも、各施設は最大限に法律や社 会資源を活用して、最良のかたちで社会生活をスター トできるよう支援すべきである。
大学などの高等教育を受ける者が一般では8割近 いのに対して、児童養護施設では2割に達しない。こ うした格差や不利益を解消・緩和し、各施設で子ども の自立やその後の生活を具体的に支える専門職とし て、東京都は今年度から「自立支援コーディネーター」
の配置を行った。国においても、財源が確保でき次第、
同様の専門職を配置することが明言されている。
施設退所後の相談・援助
近年、東京都をはじめいくつかの自治体で、児童養 護施設退所者の生活状況に関する調査が行われた3)。 その中では、施設退所者が一般の場合と比べて経済
的に不安定でさまざまな生活困難を抱えやすいことが 明らかになっている。これらは、前述した「社会的自立 の困難さ」を考えれば当然の表れともいえる。現在は 施設退所後の相談・援助も児童養護施設の主要目的 に掲げられているものの、対象年数は何年なのか、具 体的にあるべき援助実践とはどういうものなのかなど、
取りかかりから全く未整理な状況である。
とはいえ、こうしたアフターケアがインケアと比べて 曖昧で抽象度が高いのは当然ともいえる。誰に対し て、いつまで、何を、どの程度なすのがあるべき姿な のか……。今後の議論と整理が必要である。そのた めに必要な共通理解は、アフターケアの最重要課題 は各施設が退所者一人ひとりの存在を忘れずにつな がり続けること、そして社会的孤立を防ぐことにあると 考えられる。
註
1)児童福祉法・第41条「児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を 除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要 のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、虐待され ている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養 護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助 を行うことを目的とする施設とする。」
2)「児童養護施設等及び里親等の措置延長等について」厚生労働省 雇用均等・児童家庭局長通知 (2011年12月28日)
3)「東京都における児童養護施設等退所者へのアンケート調査報告 書」東京都福祉保健局(2011年8月)
はやかわ・さとし
社会福祉法人 子供の家/児童養護施設 子供の家 副施設長・自立支援コーディネーター。
NPO法人ブリッジフォースマイルから学ぶ
ボランティアの巻き込み方
支援プログラム運営にあたっての資金不足やそれに伴う人手不足は、分野を超えて共通の課題ではないだ ろうか。そうした課題解決のヒントとして、児童養護施設退所後の子どもたちが自立して社会生活できるよう 活動を行う「NPO法人ブリッジフォースマイル」 (以下、B4S)でのボランティアの巻き込み方を紹介する。
参考プ ログラム
活動の主戦力となるボランティア
B4Sでは、それぞれのプロジェクトにおいて、ボラ ンティア(200〜300人)が大きな戦力として活躍し ている。例えば「巣立ちプロジェクト」(高校生のため の一人暮らし準備セミナー)や「アトモプロジェクト」
(退所者のためのサポート)では、子どもたちの学び 支援、マンツーマンの個別支援、事業の企画や運営 にもボランティアが関わっている。年6回開催してい る巣立ちプロジェクトのセミナーは、当日の運営をす べてボランティアが担当する。プロジェクトの会計を ボランティアが管理することもある。
多くの団体が頭を悩ませるところだが、ボランティア にどこまで・どのように参加してもらうのかの線引きは とても難しい。コミットメントの度合い、事業ミッション への共感性など、こまめなコミュニケーションとフォロー アップが必要となる。B4Sはいかにして、活動の主戦 力としてボランティアを巻き込んでいるのだろうか。
①ボランティア活動の内容が多彩
B4Sでは、ボランティア内容や参加頻度など、興 味や都合に応じて関わり方を選べるようになってお り、その例が詳しくホームページに書かれている。「何 ができるかわからない」人から、「頻繁に参加したい」
人まで、さまざまな関わり方が提示されていて、活動 のイメージがわきやすく、参加しやすい。
②「求めているボランティア像」が明確
B4Sのボランティアガイドブックには、「参加条件」
と「子どもと接する際の注意事項」がはっきり明記さ れている。特に当事者支援に関わるボランティアを 募集する場合、入り口の時点から団体が求めるボラ ンティア像を明確にし、「いっしょに活動する仲間を 選ぶ」姿勢を貫くことが大切だ。それは、団体とボラ ンティア間のトラブルを予防するだけでなく、支援対 象者を守ることにつながる。
③ボランティアの「学ぶ場」がある
直接子どもたちと関わるボランティアには、児童養
護の基礎知識や子どもたちとのコミュニケーション 方法や心がまえなどについて学べる事前研修を行っ ている。また、子どもとマンツーマンで関わるボラン ティアには「自立サポートスタッフ養成講座」(全3回。
17,000円)の受講を義務付けている。充実した「学 ぶ場」は、当事者支援の際のさまざまなリスクを予防 するほか、「ここに来なければ学べなかった」ことを学 べる達成感につながる。また学んだ内容がその後の 活動にいかされる意義も大きい。
④ボランティアの「交流の場」がある
ボランティアメンバー全員が集まる、月1度の定例 会のほか、折に触れて交流会を開いており、プロジェ クトの進捗や課題などの共有の場がある。またボラ ンティアには全員、専用のソーシャルネットワーキン グサービス(B4S Lounge)への登録を必須としてお り、連絡を共有するなど、重要なコミュニケーション の場として活用している。当事者支援に関わる場合
「一人で抱え込まない」ことが大事になるが、社会人 ボランティアの場合、相談時間の確保が難しい事情 もある。オンライン・オフラインの多重的なコミュニ ケーションの仕組みは見習いたい。
ボランティアへのバックアップ体制を見ると、B4S はまず当事者である子どもたちを守ることを第一義 にしていることがうかがえる。こうした団体のポリシー が募集要項やフォローアップ体制からも明確に見て 取れる。そうした趣旨に賛同するボランティアが、関 わる覚悟をもち、必要な準備を経て活動の大きな戦 力となっていくプロセスに、学ぶところは大きい。
NPO法人 ブリッジフォースマイル
児童養護施設を「巣立つ前」から「巣立った後」まで、継続的 に子どもたちの自立を支援する活動を行う。巣立ちプロジェク ト、アトモプロジェクト、カナエール(大学等進学者への奨学金 プログラム)、よこはま Port For(児童養護施設など出身者の ための居場所事業)など多彩なプロジェクトを運営。