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第4節 本章のまとめ
本研究の結果、ステークホールダーの一つである従業員になろうとしている学生にとっ ては、企業の持続可能性は就職活動において重要な要因であること、さらに十分な企業情 報が得られない学生にとっては、その意識上では、上場企業であることが持続可能性であ ることの代理変数となっている。
しかし全ての上場企業が持続可能性の高い堅実な経営をしているわけでもなく30)、従って、
この意味では情報格差で不利な立場にある学生にとって就職先の持続性可能リスクを負っ
ている31)。
第5節 残された課題
上場企業であれば歴史的に見て倒産確率は低いのかどうかという検証は、本研究では行 っていない。しかし歴史的に見て、約3,900社の上場企業の中で倒産に至るケースは年間 に10社を越える年は多くない。なぜなら倒産に至る前に株価が下落し、他の企業がわり安 になった会社株式を容易に取得できるようになるからである。また、鉱山業、漁業、繊維 産業といった戦後の衰退産業にあっても、倒産企業数が少ないのは、その多くの上場企業
30)高株価経営を標榜したライブドアをはじめとして、ベンチャー企業の行過ぎた経営が社会問題になっ た。また目本経済新聞r東証、反社会的勢力の排除へ制度改定」2007年11.月28目朝刊,4ぺ一ジ参照。
31〉筆者は、就職アドバイスに目経テレコンから有料企業信用レポートr金融工学研究所・企業リスク情報」
を入手して、ここの企業格付と倒産確率を参考にして学生指導を行っている。
はハイテク化や商社活動への転換資金を得ることによって、それまでの基盤の上に立った 転業が可能であるからである。このような低い倒産数が、目本の産業界に低いコストの長 期資本の提供を可能としている。
ここで学生の就職先企業選択での行動を見れば、非上場企業でも上場企業と同等以上の 企業の持続可能性のある企業である場合は、それを情報開示することで、非上場の中堅企 業にも人材確保の道が開かれることになると考えられる。この点についても、検証が行わ れる必要があろう。
参考文献
リクルートワークス研究所「選社重視項目 2002年3月卒」2001年
資料2.1実施したアンケートの概要
対象:
実施時期:
アンケートの内容:
愛知工業大学経営情報科学部
経営情報学科、マーケティング学科およびコンピュータ学科 3年生、141名
2007年12月中旬
以下の通り」
問1.貴方は、就職に当たっては企業の持続性を重視しますか(持続性とは倒産しないことです)
…(1)特に重視する、(2)やや重視する、(3)重視しない 問1で(1)か(2)と答えた人に、お尋ねします。
問2.貴方は就職活動を行ううえで、企業が上場しているかどうかを重視しますか。
…(1)特に重視する、(2)やや重視する、(3)重視しない 問2で(1)か(2)と答えた方に、お尋ねします。
問3.なぜ上場企業を重視しますか。複数で選択可。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
企業規模が大きいから、
社会的に認められているから、
監督官庁が監視しているから、
公認会計士が監査しているから、
証券取引所が上場審査しているから、
財務情報が公開されているから、
知名度が高いから、
その他
問2で(3)と答えた方に、お尋ねします。
問4
なぜ上場企業を重視しなかったのですか。複数で選択可。
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
上場よりももっと重要な要件があるから 自分には小さい会社の方があっているから 非上場の方が企業経営が安定しているから 上場企業は自分に合わないと思うから 小さい企業の方が将来性があるから 大手外資企業で経営が安定しているから
大手上場企業グループで経営が安定しているから その他
(愛知工業大学『経営情報科学』第4巻第1号2008年12月 所収)