第 2 章 各種試験方法および解析方法
2.3 各種試験方法
2.3.1 荷重制御疲労試験
2.3.1.1 試験片
荷重制御疲労試験に用いた5種類の試験片の形状および寸法をFig. 2. 3 (a) ~ (e)に示す.
これらの試験片は,母材の圧延方向と試験片の軸方向が一致するように採取した.各試験片 の切欠き部の形状については,野田らが提案した応力集中係数の計算式[5]に基づき,目標 とする応力集中係数 Ktが得られるように決定した.また,弾性有限要素解析でも同じ応力 集中係数Ktが得られることを確認している.
Fig. 2. 3 (a) は試験部直径が7mmの平滑丸棒試験片である.平行部表面には周方向に傷が
ないように鏡面研磨を施した.本論文中,この試験片に関するデータには「Kt1」を付す.
環状切欠き丸棒試験片はCHMC-1で提案されている「応力集中係数Kt = 3以上」に従いKt
= 3 および6.6となるように環状切欠きの形状を決定した.また,Ktが3未満の場合につい ても同様に検討するために,Kt = 2の環状切欠き丸棒試験片も調製し,試験を実施するこ ととした. Fig. 2. 3 (b) は応力集中係数Kt = 6.6の環状切欠き丸棒試験片である.試験片中 央部にV字の環状切欠きを有しており,切欠きの形状はASTM G142-98[6]に従い深さ3.2mm,
角度60°,切欠きの曲率半径rを0. 083mmとした.本論文中,この試験片に関するデータ
には「Kt6.6」を付す.Fig. 2. 3 (c) は応力集中係数Kt = 3.0の環状切欠き丸棒試験片である.
試験片中央部にV字の環状切欠きを有しており,深さ0.5mm,角度60°,切欠きの曲率半径
rを0.3mmとした.本論文中,この試験片に関するデータには「Kt3」を付す.Fig. 2. 3 (d)
は応力集中係数Kt = 3.0の環状切欠き丸棒試験片である.試験片中央部にV字の環状切欠き を有しており,深さ3.2mm,角度60°,切欠きの曲率半径rを0.45mmとした.本論文中,
この試験片に関するデータには「Kt3rev.」を付す.Fig. 2. 3(e) は応力集中係数Kt = 2.0の環 状切欠き丸棒試験片である.試験片中央部にU字の環状切欠きを有しており,深さ0.9mm,
切欠きの曲率半径rを1.0mmとした.本論文中,この試験片に関するデータには「Kt2」を 付す.
第2章 各種試験方法および解析方法
38 2.3.1.2 試験条件
荷重制御疲労試験には油圧サーボ式軸荷重引張圧縮疲労試験機を用いた.環状切欠き試 験片の試験における応力比はR = −1および0.1,周波数はf = 1Hz,負荷波形はサイン波と した.試験環境は室温大気中である.Kt6.6については,室温0.7MPa水素ガス中でも疲労試 験を実施した.Kt1については,大気中および115MPa水素ガス中で試験を行い,応力比は R = −1 のみとした.
すべての試験において負荷繰返し数 1×107回まで試験を実施し,試験片が破断しないと きの公称応力振幅a (荷重振幅を試験片の最小断面積で除した値)の値を疲労限度wとして 評価した.しかし,周波数1Hzの下で1×107回の疲労試験を実施すると完了までに4か月 程度の時間が必要となるため,2×106回にて非破断の場合は周波数を10Hzに変更し,その 後破断もしくは 1×107回まで試験を継続した.周波数の変更が疲労試験結果に及ぼす影響 は上述の変更の程度であればほとんどない[7].
また,試験片軸と試験機の荷重軸との誤差により,測定される疲労寿命が著しい影響を受 けることが想定される.本研究での疲労試験においては,Fig. 2. 3 (a) ~ (e)に示す試験片の R3.5の浅い切欠きに近い平滑部に90°毎に4か所,試験片の軸方向に沿ってひずみゲージ を貼付し,−1kNの圧縮荷重を負荷した際に試験片軸に振れが無いように試験片取付け時に 軸心調整を行った.
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(a) Smooth specimen, Kt1
(b) Notched specimen, Kt6.6
(c) Notched specimen, Kt3
Fig. 2. 3 Shapes and dimensions of fatigue test specimens.
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(d) Notched specimen, Kt3rev.
(e) Notched specimen, Kt2
Fig. 2. 3 Shapes and dimensions of fatigue test specimens. (Continued)
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