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日本の異常気象・極端現象

ドキュメント内 「異常気象レポート2014」本編(PDF形式:46.1MB) (ページ 122-127)

第 1 章 異常気象と気候変動の実態

1.3 異常気象・極端現象の長期変化傾向

1.3.2 日本の異常気象・極端現象

全国的に異常高温の出現頻度は増加し、異常低 温の出現頻度は減少している。また、階級別日数

(猛暑日、真夏日、熱帯夜、冬日)には変化傾向 がみられている。また、全国的に異常少雨や大雨

(日降水量100mm、200mm)の年間回数が増加 する傾向がみられている。また、最深積雪(東日 本日本海側、西日本日本海側)に減少傾向がみら れている。これらの傾向については、ほぼ地球全 体で地上気温の上昇が起きていることや、1950 年頃以降、多くの極端な気象及び気象現象の変化 が観測されてきたこと(IPCC , 2013)、また、日 本において予測された将来気候と整合しているこ と(気象庁, 2014)から、地球温暖化の影響が現 れている可能性が考えられる。

(1) はじめに

日本の異常気象、極端現象、階級別日数の長期 変化傾向について分析する。対象地点は、月平均 気温と階級別日数については第1.2.1項(4)で用

いた15地点(表1.2.2、ただし、宮崎及び飯田の

月平均気温は移転による影響を除去するための補 正を行った上で利用しているが、階級別日数は移 転による影響を除去することが困難であるため、

当該地点を除く13地点で解析を行った)、降水量 については第1.2.2項(3)で用いた51地点(表 1.2.4)である。それぞれの要素によって統計の対 象期間が異なるのは、データを利用できる期間が 違うためである。なお、本節の時系列図において、

長期変化傾向が信頼度 90%以上で有意である場 合には、直線を表示する。

(2) 異常高温及び異常低温

図1.3.3に、1901~2013年の113年間におけ る月平均気温の異常高温と異常低温の年間出現数 の経年変化を示す。異常高温は113年間で月平均 気温の高い方から 1~4 位、異常低温は月平均気 温の低い方から 1~4 位の値と定義している。こ の定義による異常高温や異常低温の出現頻度は

113年間に4回であるから、30年に1回という異 常気象の定義と概ね合致している。異常高温の出 現数は増加しており(信頼度水準99%で統計的に 有意)、異常低温の出現数は減少している(信頼度

水準 99%で統計的に有意)。これらの特徴は、日

本の年平均気温の長期的な上昇傾向と整合してい る。世界規模で、寒い日や寒い夜の日数が減少し、

暑い日や暑い夜が増加した可能性が非常に高い

(IPCC, 2013)ことや、将来気候では、これらの 階級別日数の傾向の特徴が全国的に示されている

(気象庁, 2014)ことから、この増加・減少傾向 には、地球温暖化の影響が現れている可能性があ る。

(3) 気温の階級別日数の変化

図1.3.4に、1931~2013年の83年間における 猛暑日(日最高気温が35℃以上の日)、真夏日(日 最高気温が30℃以上の日)、熱帯夜(日最低気温

が25℃以上の日)、冬日(日最低気温が 0℃未満

の日)の年間出現数の経年変化を示す。猛暑日の 図 1.3.3 月平均気温の異常高温と異常低温の年間出現数 の経年変化(統計期間 1901~2013 年)

棒グラフは各年の15地点平均値、青い折れ線は5年移動平 均、赤い直線は長期変化傾向を示す。

日数は増加傾向が明瞭に現れている(信頼度水準 95%で統計的に有意)が、真夏日の日数に変化傾 向はみられない。熱帯夜の日数は増加しており(信

頼度水準 99%で統計的に有意)、冬日の日数は減

少している(信頼度水準99%で統計的に有意)。 これらの特徴は、日本の日最高気温と日最低気 温の年平均の長期的な上昇傾向と整合しており、

(2)と同様に地球温暖化による影響が現れてい ると考えられる。

(4) 異常多雨及び異常少雨

図1.3.5に、1901~2013年の113年間におけ る異常多雨と異常少雨の年間出現数の経年変化を 示す。年間出現数は、異常高温及び異常低温と同 様に算出した。異常多雨の出現数に有意な変化傾 向は見られないが、異常少雨の出現数は増加して いる(信頼度水準 99%で統計的に有意)。異常少 雨の出現において、将来気候では、年間無降水日 数が有意な増加(年々変動が大きい沖縄・奄美を 除く)となっている(気象庁, 2014)ことから、

図 1.3.4 猛暑日、真夏日、熱帯夜、冬日の年間日数の経年変化(統計期間 1931~2013 年)

棒グラフは各年の13地点平均値、青い折れ線は5年移動平均、赤い直線は長期変化傾向を示す。

図 1.3.5 月降水量の異常多雨と異常少雨の年間出現数の 経年変化(統計期間 1901~2013 年)

棒グラフは各年の51地点平均値、青い折れ線は5年移動平 均、赤い直線は長期変化傾向を示す。

地球温暖化による傾向が現れている可能性が考え られる。なお、一般的に、気温の上昇に伴って、

大気が水蒸気を保持する上限(飽和水蒸気量)は 増加し一度の降水イベントでもたらされる降水量 は増加するが、地表面からの蒸発散により水蒸気 が補給される効率の変化は相対的に小さいため、

次の降水イベントまでに水蒸気を補給するのによ り長い時間が必要になり、このため無降水日数は 増加する可能性が指摘されている(Giorgi et al., 2010 ; Trenberth, 2011)。

(5) 降水の階級別日数の変化 

図1.3.6に、1901〜2013年の113年間におけ る日降水量100mm以上、日降水量200mm以上、

日降水量 1.0mm 未満の年間日数の経年変化を示

す。日降水量100mm以上の日数は増加傾向が明 瞭に現れており(信頼度水準 95%で統計的に有 意)、日降水量200mm以上の日数についても増加

傾向が明瞭に現れている(信頼度水準95%で統計 的に有意)。また、日降水量1.0mm未満の日数(無 降水日数)も増加傾向が明瞭に現れている(信頼

度水準 99%で統計的に有意)。このことは、大雨

の頻度が増加する半面、弱い降水も含めた降水日 数は減少する特徴も示している。

日本では1901年以降降水量に明瞭な長期的変 化傾向はみられない(第1.2.2項(3)参照)が、北 半球中緯度の陸域平均では、降水量が1901年以 降増加している(IPCC, 2013)ことが示されてい る。また、将来気候において、日本のほとんどの 地域で、強雨による降水量の増加傾向が示されて いることや、日降水量100mm以上、200mm以 上の発生回数は、部分的に減少する傾向がみられ ているものの全国的に増加する傾向が示されてい る(気象庁, 2014)ことから、地球温暖化による 影響が現れていると考えられる。

   

   

       

図 1.3.6  日降水量が 100mm 以上、200mm 以上、1.0mm 未満 の年間日数の経年変化(統計期間 1901〜2013 年) 

棒グラフは各年の51地点平均値、青い折れ線は5年移動平 均、赤い直線は長期変化傾向を示す。

【コラム⑨】アメダスでみた短時間強雨と 大雨の発生回数の変化傾向

気象庁では、全国約1,300箇所の地域気象観測 所(アメダス)において、降水量の観測を行って いる。地点により観測開始年は異なるものの、多 くの地点では1970年代後半に観測を始めており、

35年程度のデータが利用可能となっている。気象 台や測候所等では約100年間の観測データがある のと比べるとアメダスの 35 年間は短いが、アメ ダスの地点数は気象台等の観測所の約 8 倍あり、

面的に緻密な観測が可能であることから、局地的 な大雨などは比較的よく捉えることができる。ア メダスの地点数は、1976年当初は約800地点で あるが、その後増加し2013年では約1,300地点 となっている。そこで、年による地点数の違いの 影響を避けるため、年ごとの発生回数を1,000地 点あたりの回数に換算している。

(1) 短時間強雨発生回数の変化傾向

アメダスで観測された1時間降水量(毎正時に おける前1時間降水量)が30mm以上(激しい雨)、 50mm以上(非常に激しい雨)、80mm以上(猛

烈な雨)、100mm以上(猛烈な雨)の短時間強雨

の発生回数を図⑨.1に示す。30mm以上の激しい 雨、50mm 以上の非常に激しい雨、及び 80mm 以上の猛烈な雨の頻度は増加傾向が明瞭に現れて いる(信頼度水準 95%で統計的に有意)。また、

100mm 以上の猛烈な雨についても増加傾向が現

れている(信頼度水準 90%で統計的に有意)。日 本域での詳細な温暖化予測において、1 時間降水 量30mm以上、50mm 以上の発生回数は全国的 に有意に増加しているほか、80mm以上、100mm 以上の強雨についても地域的には増加している

(気象庁,2014)。これらの結果から、短時間強 雨の増加は、地球温暖化の影響として予測されて いる結果と整合的であり、地球温暖化による対流 圏大気の気温上昇に伴って飽和水蒸気量(大気中

に含みうる最大の水蒸気量)が増加していること が短時間強雨の増加に寄与している可能性がある。

しかしながら、アメダスの観測期間は、比較的短 いことから、大雨の変化傾向を確実に捉えるため には、今後のさらなるデータ蓄積が必要である。

(2) 大雨発生回数の変化傾向

日降水量が100mm以上、200mm以上、400mm 以上、600mm以上の大雨の発生回数を図⑨.2に 示す。日降水量200mm以上の観測回数は変化傾 向が見られないものの、その他は、増加傾向が現 れている(信頼度水準 90%で統計的に有意)。将 来気候において、日本のほとんどの地域で、強雨 による降水量の増加傾向が示されていることや、

日降水量100mm以上、200mm以上の発生回数

は、部分的に減少する傾向がみられているものの 全国的に増加する傾向が示されている(気象庁, 2014)ことから、地球温暖化による影響が現れて いると考えられる。しかし、大雨の観測回数は台 風や梅雨による降水に影響されやすく、年々変動 が大きいため、長期的な変化傾向は捉えにくい。

(1)と同様に、今後のさらなるデータ蓄積が必 要である。

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