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日本におけるコミュニティ施設の沿革

第 5 章   日本における地区会館の平面計画

5.1.   日本におけるコミュニティ施設の沿革

5.1.1. 社会背景とコミュニティ政策の流れ 

 

1970 年代以降、産業の高度化に伴い膨大な人口が都市に 集中した。全国的な都市化によって「産業優先主義による公 害の発生と住民運動」と「都市化による人口の都市集中と混 住社会」の 2 つの問題が発生した。文 5.1) 

 

1969 年に自治省が発表した「コミュニティ−生活の場に おける人間性の回復」を契機に、全国各地にコミュニティ の概念が広まった。そして、70 年代からコミュニティ(近 隣社会)に関する対策要綱の制定、コミュニティ推進モデ ル地区の指定とコミュニティ活動活性化地区設定など地域 コミュニティの形成及び、コミュニティ形成に必要な施設 への助成について一連の施策を行った。1993 年以降、地域 における発展の格差を解消するため、コミュニティ政策の 対象は地域から市町村レベルに格上げされた。上述の政策 では、コミュニティは小学校区を標準としたため、従来の 町内会等の区域より大きく、それらとは別にコミュニティ 協議会等が設置された。文 5.2) 

 

   

日本におけるコミュニティ推移を見ると、日本のコミュ ニティ政策は旧町内会の伝統地域社会が崩壊し、地域コミ ュニティ再建の段階に進んでいる。また、地域集会施設の 種類を見ると、町会館・自治会館といった民間施設を除く、

ふれあい館、市民ホール、市民集会所、コミュニティセン ターなどの様々な公共施設の設置は都市計画の方針に沿い、

行政・地域サービスの拠点として建てられていることが見

られる。文 5.3)こういった公共施設群のうちに多くの施設は、

管理上は管理者へ直接申込むだけではなく、利用者または 利用団体の登録が必要となっている。さらに、コミュニテ ィ施設の利用は、台湾と違って政党集会の利用は禁止され ている。これにより、日本におけるコミュニティの形成は 台湾より成熟したと考えられる。 

 

本章では先進的なコミュニティが形成されている日本の コミュニティ施設と現在の台湾におけるコミュニティ施設 の問題を比較していく。調査対象を選定する際は施設規模、

用途、運営団体及び利用対象などの条件に留意して分析を

行っていく。   

5.1.2. 日本におけるコミュニティ施設の変遷・特徴 

コミュニティ施設とは、地域住民が集い、話し合える場 所であり、それらの内容はコミュニティの形成には不可欠な ものである。建築計画分野においては「地域集会施設」と呼 ばれ、一定地域を対象とした不特定多数の集会に対応する施 設である。 

文献5.4)によると、地域集会施設における最も小さい施設 は町会館(町内会・自治会などの集会所)である。時代の流 れに伴い、小集団活動によるニーズが現われることで、図 5.3 に示すように、「一室空間型」は「大集会室型」或いは

「小室群型」に転換されていった。また、全ての町会館に「台 所」もしくは「湯沸室」が備えられており、「大集会室」+

「小集会室」+「湯沸室」は最低限必要な室機能と認識され ている。 

 

  図 5. 1  地域集会施設における平面型の変遷(公民館・コミュニ ティ施設ハンドブックより再作成, 2006) 

   

1 室空間型 大集会室型 小室群型

在来地域 開発地域

集会機能を持つ室 集会機能を持たない室 出入り口

1 室空間型 大集会室型 小室群型

基本的に 2 室以上を有しているが、間仕切りを開放することで、

施設全体を大集会室に転換できるが、同時利用はできない。

大集会室と小集会室を有しており、更に同時利用できる。

大集会室に間仕切りを設けたことで、複数のグループ・サクール 活動は同時利用が可能となり、必要なときに大集会室に転換できる ため、利用上のフレキシビリティを有している。

5.1.3. 八王子市におけるコミュニティ施設 

 

日本におけるコミュニティ施設は種類が多く、さらに施 設の名前がほとんど統一されていない。たとえば、コミュニ ティセンターという施設名を有している施設では、所在地、

建設年代による施設規模、施設機能について大きな差が生じ る場合がある。ここでは、八王子市に存在している主要なコ ミュニティ施設を例にあげ、特徴をまとめる。 

 

(1). 町会館・自治会館 

施設の運営では、各町会組織が運営している。施設の 建設経費は町会に入った住民たちの寄付が多かった。

施設規模はほとんど 200 ㎡以下で、小規模的な単独用 途の施設であるが、各町会所有の資産であることで台 湾のコミュニティセンターは異なっている。 

 

(2). 地区会館 

八王子市が建物の所有権を持っており、現在は指定管 理者に運営を委託している。施設規模は約 150 ㎡から 600 ㎡くらいであった。公共施設であるが、実際に各 自治会・町会に運営管理されている。また、ほとんど は単独施設の点では台湾のコミュニティセンターと 類似している。 

         

                     

  図 5. 2  自治会館の例(片倉台)   

 

  図 5. 3  地区会館の例(川口東 

部会館)    

(3). 市民集会所 

八王子市が建物の所有権を持っている。基本的に八 王子市の地方事務所用途と複合化され、八王子市の 地方事務所に管理されている。この点については台 湾のコミュニティセンターと異なっている。 

 

(4). 市民センター 

八王子市が建物の所有権を持っている。現在は指定 管理者に運営を委託している。施設規模はほとんど 1000 ㎡を超えた大規模的な施設である。現在は指定 管理者である八王子市学園都市ふれあい財団から各 施設に施設管理者を派遣している。施設規模、運営 方法は台湾のコミュニティセンターと異なっている。 

 

施設所有者、管理組織、施設用途、規模などの条件を考 えた上で、台湾のコミュニティセンターに類似しているもの は、地区会館であると判断し、本章の調査対象にする。