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利用動線の分析

第 3 章   台湾のコミュニティ施設における平面計画

3.4.3.   利用動線の分析

通路になることで、利用者の出入りは他の活動空間 で開催されている活動の阻害となる。 

一方、1 階の活動空間を通らずに2階へ行ける施設は 8 施設があった。タイプⅡA00、タイプⅡAaa、ⅢA0a0 の 6 施設では、利用者が目的活動空間にアクセスす る際は他の活動空間を経由しないため、互いに干渉 せずにコミュニティ活動ができる。 

また、タイプⅡA0b の2施設では、2 階へのアクセス は 1 階にある活動空間を経由しないが、2 階にある活 動空間が直列配置となっているため、一部の活動空 間までの経路で他の活動空間を経由しなければなら ない。この2つの施設では、2階に配置されている 活動空間の一部が通路となる。2 階以上にある活動空 間どうしが同時に利用されている場合は、利用者の 出入りが他の活動空間を経由するため、コミュニテ ィ活動への阻害になると考えられる。 

 

 

図 3. 29  各タイプにおいてエントランス部から各活動空間までの経路   

   

タイプⅡB00 タイプⅡA00

タイプⅡA0b N=8

N=2 N=2

N=4

N=1

連 活 連 連

連 連

活 活

活 活

活 活

活 連

タイプⅡAaa、ⅢA0a0 タイプⅡB0b タイプⅠA0

N=8

活 連

(2). 各活動空間から利用型サービス空間までの経路   

利用型サービス空間は、トイレ、給湯室、キッチン などを含んでいるが、全 26 施設のうち、平屋建の 8 施設において、利用型サービス空間はトイレしかな い。また、他の 18 施設ではトイレ以外の利用型サー ビス空間が設置されている施設は4施設のみだった。 

 

図 3.30 にトイレ以外の利用型サービス空間を有して いる 4 施設の空間配列を示す。キッチン、給湯室な どの空間は全てトイレと隣接しているため、活動空 間からトイレへの動線は活動空間から利用型サービ ス空間への動線として表すことができる。 

   

  図 3. 30  トイレ以外の利用型サービス空間を有している 4 施設の空間配列     

   

トイレ

No.15

No.14 No.17

給湯室 No.10

活動 空間 活動 空間

連結型 サービス

空間 活動

空間 活動 空間

トイレ

活動 空間 活動 空間

トイレ

トイレ キッチン

活動 空間 活動 空間 活動

空間

活動 空間

活動 空間

活動 空間

活動 空間

活動 空間

利用型サービス空間 他の活動空間を経由する

トイレ キッチン

トイレ キッチン

トイレ 給湯室

他の活動空間を経由しない 連結型

サービス 空間

連結型 サービス

空間 連結型 サービス

空間

これにより、活動空間から利用型サービス空間まで の経路は、「活動空間―利用型サービス空間」及び「活 動空間―連結型サービス空間―利用型サービス空間」

の2種類であると考えられる。 

 

図 3.31 に平屋建の施設における利用型サービス空間 までの経路を示す。活動空間から利用型サービス空 間までの経路は、1 施設を除いて全ては影響されてい ないと考えられる。そこで、他の活動空間を経由し ない施設(タイプ I)と、一部の経路が他の活動空間 を経由する施設(タイプ II)に分類し、2 つ以上の活 動空間を有している 18 施設を対象に利用型サービス 空間までの経路の分析を行う。 

   

 

図 3. 31  平屋建の施設における利用型サービス空間までの経路(N=8)     

N=1

N=3 N=4

連結型サービス空間を経由する 連結型サービス空間を経由しない トイレがない

連結 空間

連結型 サービス空間

利用 空間

利用型

サービス空間 廊下・経路 利用

空間

利用 空間 連結

空間

活動 空間

活動 空間

活動 空間 凡例

図 3.32 にタイプⅠとタイプⅡの比較を示す。タイプⅠの 18 施 設では、各活動空間から利用型サービス空間までの経路において 動線の連続性が保てられており、各活動空間が同時に利用されて いても互いに影響されることがないと考えられる。 

 

一方、タイプⅡの 8 施設では、一部の活動空間から利用型サー ビス空間までの経路において他の活動空間を通らなければなら ない。一部の活動空間の利用者がトイレ、給湯室などの利用に支 障をきたすことにより、各活動空間の同時利用に影響されると考 えられる。 

 

 

図 3. 32  タイプⅠとタイプⅡの比較(N=26)   

1F

2F 1F

2F 1F 2F 1F

2F

1F 2F

1F 2F タイプ Ⅰ: 他の活動空間を経由しない タイプ Ⅱ: 一部は他の活動空間を経由する

N=2

N=3 N=3

N=3 N=6

N=1

N=7 N=1

活 活

活 活 活

利 利

利 連

連 連

連 連

利 活 活

活 活

(3). 各コミュニティ施設の利用動線タイプの特徴 

以上の分析を踏まえ、各コミュニティ施設の利用動 線タイプを図 3.33 と図 3.34 に示した。ⅠA0-ⅠとⅠ A0-Ⅱの 8 施設では、トイレが設置されていない施設 が 1 施設があった。他の 7 施設には問題がないと考 えられる。また、タイプⅡA00-Ⅰ、ⅡAaa-Ⅰ、ⅢA 0a0-Ⅰ及びタイプⅡA00-Ⅱの 6 施設のうち、1 施設 において利用型サービス空間までの経路において動 線の連続性が保たれていない。 

 

 

図 3. 33  利用動線から見た施設空間構成-1(N=16)     

凡例

フロアの分割線

連結型サービス空間 廊下

エントランス部

活動空間

N=3

イ プ

N=1

N=1 タ イプ

タイ プ

N=7 N=1

タ イ プ タ

イ プ

1F 2F 以上

ⅠA0-Ⅰ

1F 2F

利用型サービス空間

1F 2F 以上

ⅡA00-Ⅰ

ⅢA0a0-Ⅰ

ⅠA0-Ⅱ

ⅡA00-Ⅱ

連 活 活

活 活

活 活 活 活

3F

連 活

N=2

ⅡA0b-Ⅱ

タ イプ

1F 2F 以上

連 活

活 活

N=1 タイ

1F 2F 以上

ⅡAaa-Ⅰ

活 活

連 活

利 利 利 利 利 利

これにより、台湾におけるコミュニティセンター内 に一部の活動空間の利用動線が他の活動空間を経由 することがわかり、「経由活動空間」が存在している。 

 

  図 3. 34  利用動線から見た施設空間構成-2(N=10)   

   

N=6 N=2

N=2

イ プ

1F 2F 以上

1F 2F 以上

連 活

活 タ

イ プ

ⅡB00-Ⅰ

1F 2F 以上

連 活

活 タ

イ プ

ⅡB00-Ⅱ

連 活 活 活

ⅡB0b-Ⅱ

凡例 フロアの分割線

連結型サービス空間 廊下

エントランス部

活動空間

利用型サービス空間

利 利

まとめ  3.5.

 

① 全 26 施設を見ると、平屋建は 8 施設、2 室の活動空 間を有するのは 12 施設で、その他の6施設は 3 室以 上の活動空間を有している。築年数と施設面積に関 しても関連性が見られなかった。また、新しい施設 ほど室数が増えることがわかり、施設のバリエーシ ョンが豊かになる傾向が見られた。 

 

② 各活動空間の面積としつらえを見ると、1 階にある活 動空間のほとんどは施設の中で最も大きい活動空間 であり、更に舞台が設置されていることから、集会 場として計画された施設が多かった。また、全 57 室 の活動空間の仕上げを見ると、各活動空間のしつら えはほとんど同じであり、同質性の活動空間が多い と見られる。 

 

③ 施設各部機能空間の面積の割合から見ると、活動空 間の面積は施設面積の 7 割弱を占めているが、連結 型サービス空間は施設面積の1割強しか占めておら ず、連結型サービス空間が少ないため、施設内の各

活動空間の配置方法に影響することが考えられる。   

④ 調査した 26 のコミュニティ施設のうち、6 施設は各 フロア間が並列配置となっており、加えて活動空間 どうしが直列配置ではない。2 施設では、各フロア間 が並列配置されているものの、2 階にある活動空間ど うしが直列配置となっている。一方、10 施設では各 フロア間が直列配置され、そのうちの 8 施設では 1 フロアに 1 室が配置された。2施設では2階に配置 されている活動空間どうしが直列配置となっている。 

 

⑤  利用動線への分析を通じ、平屋建の8施設のうちの 1 施設と  2 階建以上の 18 施設のうちの 14 施設では、

利用動線の連続性が確保できず、他の活動空間を経 由することになってしまい、いわゆる動線上「経由 活動空間」の存在が明らかにとなった。これにより、

各活動空間どうしの同時利用に支障となり、活動空 間の利用時間に大きく影響する可能性があると考え

られる。   

  参考文献  3.6.

 

3.1. 桜井康宏,  集会関連施設の空間構成(ゾーニング) :  集 会関連施設の施設供結論に関する基礎的研究,  日本 建築学会北陸支部研究報告集  (32), pp.261-264,  1989, 

 

3.2. 蘇柏年,角田誠,  利用動線に着目したコミュニティセ ンターにおける活動空間の利用状況に関する研究  台南市永康区を例として,  日本建築学会計画系論文 集 No.688, pp.1365-1372, 2013 

 

第4章   施設空間構成と利用時間との関連性 

 

本章は、台湾におけるコミュニティセンターの施設空間 構成と利用状況の関連性を明らかにし、台湾におけるコミュ ニティセンターの問題点をまとめることを目的とする。まず、

各活動空間の面積と活動空間の週間利用時間との関連性の 分析を行う。さらに、施設平面に基づき、各活動空間の利用 動線に着目して週間利用時間率との関連性を分析する。 

 

まず、3 章でまとめた利用動線の連続性の概念を用い、ま ず、エントランス部から活動空間までの経路と活動空間の週 間利用時間率との関連性を明らかにする。次に、活動空間か ら利用型サービス空間までの動線と週間利用時間との関連 性も解明する。この 2 つの分析から利用動線の計画による 活動空間の利用状況への影響を検証し、2 章で明らかにした 活動空間利用の特徴との関連性について考察を行う。