第 3 章 樹木年輪情報の基礎情報の把握
3.2 木部形成の季節変化
3.2.2 方法
a)
供試樹木第
2
章で樹木年輪クロノロジーの構築に用いた供試樹木の中からアカマツと モミのそれぞれ4
個体を選び試料を採取した。採取は,2002 年の4/17,4/25,
5/1, 5/8,5/22, 6/5,6/19, 7/3,7/17,7/31,8/28,9/25,10/23
の計14
回行っ た。5/22 まではほぼ7
日間隔で,それ以降はほぼ14
日間隔で採取日を決めた。供試樹木の概要を
Table 3.4
に示した。試料の採取には,内径
2.5 mm
のインクリメントパンチャー(Swiss Federal Research Institute WSL
製;Forster et.al. 2000
;Fig. 3.13
)を用い,師部と木部を 含む長さ約1 cm
のコア試料を採取した(Fig. 3.14)。採取位置は胸高部位とし,傷害組織の形成を避けるために,互いに約
10 cm
以上離した。試料は採取後,直ちに
3 %グルタールアルデヒドで固定した。
b)
プレパラートの作製形 成 層 帯 の 横 断 面 切 片 を 採 取 す る た め に 各 試 料 を メ タ ク リ レ ー ト 系 樹 脂
(
Kulzer
社製のテクノビット;黒岩1992
)で包埋した。包埋方法は小嶋(2002
)-78-
の報告を参考にした。包埋するために,まずコア試料から外樹皮と
2000
年以前 に形成された木部を除くようにトリミングし,3 時間水洗した。その後,70 % エタノール(3 時間),80 %エタノール(3
時間),90 %エタノール(3 時間),95 %エタノール(3
時間),100 %エタノール(24
時間,1回目),100 %エタノール(24 時間,2 回目),100 %エタノール(
24
時間,3回目)のエタノールシ リーズに浸漬して脱水した。つづいて,エタノールと予備浸漬液(テクノビット
7100
主剤+
硬化剤I
)の混合液を
5:1(エタノール:予備浸漬液,24
時間),3:2(12時間),2:3(12
時間),
1:5
(12 時間),全量(予備浸漬液,24
時間),全量(24
時間),全量(24
時間)に浸漬してエタノールから予備浸漬液に置換した(冷蔵庫にて保管)。次に,
8
時間以上前に混合液(予備浸漬液+
硬化剤II
)で底にベースを作っ ておいたビームカプセルに試料を入れてから,混合液をビームカプセルに流し 込み,包埋し,冷蔵庫で保管した(24時間)。その後,室温に戻し,ドラフト内 でテクノビット3040
をビームカプセルに流し込むことで硬化(重合)させた。硬化後,包埋試料をビームカプセルから取り出し,滑走式ミクロトームで厚
さ
10 μm
の横断面切片を採取し,永久プレパラートとした。横断面切片の採取は,包埋試料を台木に瞬間接着剤で固定して行った。
c)
測定測定は,
1
年輪につき仮道管放射列を5
列選択し,偏光顕微鏡直交ニコル下で 複屈折が確認される,つまり二次壁が存在する仮道管を対象として仮道管の数 とその接線壁厚を測定した。仮道管数の測定は,偏光顕微鏡下で行い,仮道管 接 線 壁 厚 の 測 定 は , 光 学 顕 微 鏡 に 取 り 付 け た デ ジ タ イ ザ ( グ ラ フ テ ッ ク 製 ,KD4620)で行った(精度: 0.2 μm
)。採取位置による肥大成長量の差異を補正するために
2001
年に形成された仮道管の数も測定した。-79-
Table 3.4.
供試樹木の概要1 2 3 4 1 2 3 4
胸高直径(
cm
)41.4 57.3 44.6 57.3 52.5 60.5 66.8 57.3
平均年輪幅(
mm
)4.37 3.04 2.70 3.44 1.88 1.62 1.90 1.39
アカマツ モミ
個体番号
-80-
Fig. 3.13.
インクリメントパンチャーFig. 3.14.
コア試料と採取によって生じた傷・ガイド
・調節ナット
・パンチャー チューブ固定具
・固定板
・位置調節ねじ
・固定ベルト
・パンチャーチューブ
・コア抽出棒
・コア抽出ガイド
インクリメント パンチャーによる
成長錐による コア試料
傷
-81-
ドキュメント内
樹木年輪年代学的手法による樹木の気候応答の解析
(ページ 82-86)