第 3 章 樹木年輪情報の基礎情報の把握
3.1 樹木年輪変数と年輪構造や組織構造との関係
3.1.2 方法
a)
試料およびプレパラートの作製試料は,樹木年輪変数を測定した木口薄片試料の中から,
4
個体各1
方向を選 択した(Table 3.1)。アカマツでは計67
年輪,サワグルミでは計65
年輪につい て測定した。木口薄片試料を約1cm
ごとに分割し(Fig. 3.2
),滑走式ミクロト ームで15 μm
厚の横断面切片を採取した。切片をゲンチアナバイオレットで染 色後,常法に従い永久プレパラートとした。横断面切片の採取の際は,試料を 台木に瞬間接着剤で固定して行った。-54-
b)
画像解析作製したプレパラートの顕微鏡写真は,光学顕微鏡に接続した
CCD
カメラで 画像を撮影し,PC に取り込んだ。解像度は1
ピクセル1.47 μm
であった。その 画像を画像解析ソフト(NIH Image 1.61)とマクロプログラム(CDAM ver. 2.8,小林 1997)を用いて,放射方向の細胞径(D
rc
)と細胞内腔径(Dlu
),隣接2
細 胞壁厚(T dw
)と細胞内腔面積(A lu
)を1
年輪ごとに測定した(Fig. 3.3
)。また,細胞壁率として細胞径に対する隣接
2
細胞壁厚の比(Mork’s index)を算出した。測定には
1
年輪につき細胞の放射列を5
列選択し,アカマツは仮道管を,サワ グルミは木部繊維を対象とした。サワグルミについては,上述した方法(方法
A
)で得られた各細胞内腔面積 の年輪内平均値(Alu-mean-A
)と2
つの放射組織と年輪界に囲まれた範囲内の各細 胞内腔面積の年輪内平均値(Alu-mean-B
)を算出した方法(方法B)の 2
種類を適 用し,測定方法について検討した(Fig. 3.4)。なお,道管は含まないように選択 範囲を選択した。その後,年輪幅(W
ar
)または年輪内平均密度(D mean
)と細胞の横断面での寸 法の年輪内平均値との関係について単相関分析を用いて検討した。また,測定 した横断面での寸法の変動と同一試料の同一年輪のX
線ネガ像の濃度値の変動 とを比較した。-55-
Fig. 3.1.
アカマツ横断面の様子(光学顕微鏡写真)200 μm
空隙が少ない 年輪界
年輪界
-56-
Table 3.1.
供試樹木の概要凡 例 :PIDE:アカマツ,PTRH:サワグルミ
最小 平均 最大
PIDE 15 18 1.10 2.10 3.30
PIDE 16 16 0.88 1.49 2.01
PIDE 18 17 0.86 1.41 1.99
PIDE 19 16 0.78 1.37 2.27
PTRH 11 16 0.52 1.50 2.32
PTRH 12 16 1.35 2.26 4.14
PTRH 17 6 0.60 0.87 1.20
PTRH 22 27 0.44 1.22 2.10
個体番号 測定した年輪数 年輪幅(mm)
-57-
Fig. 3.2.
細胞の寸法を測定するための試料の準備・軟X線デンシトメトリに用いた薄片試料
・約1 cmごとに分割した
・滑走式ミクロトームで15
μm
厚の 横断面切片を採取・ゲンチアナバイオレットで染色
分割する線
-58-
Fig. 3.3.
画像解析によって測定した細胞の寸法凡 例 :T
dw(i)
:i
番目とi+1
細胞の隣接2
細胞壁厚,D lu(i)
:i
番目の細胞内腔径,D rc(i-1)
:i-1 番目の細胞径,Alu(i-2)
:i-2 番目の細胞内腔面積i+1
i
i-1
T dw(i)
A lu(i-2) T dw(i-1) D lu(i)
D rc(i-1)
i-2
髄側 樹皮側
放射方向
-59-
Fig. 3.4.
サワグルミにおける測定方法の選択100 μm
方法
A
方法
B
高密度部ターミナル 柔細胞-60-
ドキュメント内
樹木年輪年代学的手法による樹木の気候応答の解析
(ページ 58-65)