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第 2 章 受精卵 Ca 2+ 振動の Ca 2+ 流入依存性

2.2 方法

2.2.1 成熟卵および精子の採取

本実験では,ddY マウス(日本 SLC)のメスマウス(6 週齢以上)とオスマ ウスを用いた.すべての実験は,電気通信大学動物実験指針に従って行った.

成熟卵の採取のために,メスマウスに以下の過排卵処理をした.血清性性腺刺 激ホルモン(ピーメックス,三共エール薬品,5 U)を腹腔内注射し,その 18 時間後にヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン,三共エール薬品, 5 U)

を腹腔内注射した.ゴナドトロピン注射の16時間後に卵管から成熟卵を取り出

した.採取した卵は常にM2培地(NaCl 94.6 mM, KCl 4.8 mM, CaCl2 1.7 mM, KH2PO4 1.2 mM, MgSO4 1.2 mM, NaHCO3 5.1 mM, HEPES (

4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid) 10 mM, Na lactate 19.6 mM, Na pyruvate 0.5 mM, Glucose 5.6 mM,BSA 4 mg/ml, pH 7.2)の中で 扱った.実験で用いた他の薬品はM2培地に溶解して用いた.卵丘細胞は0.05%

ヒアルロニダーゼによって分解,除去した.

精子はオスマウスの精巣上体尾から採取し,M16培地(NaCl 94.6 mM,KCl 4.8 mM,CaCl2 1.7 mM,KH2PO4 1.2 mM,MgSO4 1.2 mM,NaHCO3 25 mM, Na lactate 17.8 mM,Na pyruvate 0.33 mM,Glucose 5.6 mM, BSA 4mg/ml)

のドロップ(200 L)の中に入れ,5%CO2,37°C のインキュベーター内で培 養した.1時間後,M16ドロップの上方を泳いでいる精子を5 Lまたは10 L を採取し,新たなM16培地のドロップ(200 L)に加えた.以後18 時間以上 培養することで受精能を獲得させた.

2.2.2 Ca2+イメージング

fura-2 AM(同仁)はDMSO(和光)で4 mMに溶解したものをストック溶

液とした.使用時には,これに細胞膜内へのプローブの浸透を高める導入補助 薬であるpluronic F-127(Molecular Probes)(0.05%)を等量混和し,fura-2 AM の最終濃度が2 MになるようにM2培地で希釈した.採取した成熟卵を2M fura-2 AMで37°C,10分間染色し,その後酸性タイロード溶液(NaCl 173 mM,

KCl 7.0 mM,CaCl2 1.6 mM,MgSO4 0.5 mM,glucose 27 mM,HCl 1.6 mM,

PVP-40 0.5 mM,pH 2.5)で約1分処理することで透明帯を除去した.

fura-2の蛍光イメージングには従来型の落射型蛍光顕微鏡(Axiovert S-100, カールツァイス)を用いた.ガラスボトムディッシュに200 µLのM2培地のド ロップを作り,蒸発を防ぐために流動パラフィンで覆った上で,顕微鏡ステー

ジ上で32-34°Cに加温した.透明帯を除去した卵をそのM2ドロップ内におき,

5分程度静置して卵がカバーグラス面に十分付着するのを待った後,前培養した 精子を少量くわえて媒精した.蛍光イメージングには20倍対物レンズ(FLUAR,

NA0.75,カールツァイス)を用い,励起光源として安定化 Xeランプ(75 W,

浜松ホトニクス)を用いた.340 ± 5 nmと380 ± 5 nmのバンドパスフィルタ ー(朝日分光)をフィルター切り替え装置(Labmda10-2,サッターインストル メント)を用いて切り替えることで,340 nmと380 nmの2波長で交互に励起 した.生じた蛍光は,535 ± 12 nmのバンドパスフィルター(オメガオプテイ カル)を通した後,ICCDカメラ(ICCD-350F, ビデオスコープ)によって検出 し,ビデオ信号をフレームキャプチャボード(LG-3, サイオン)により 8 ビッ トでA/D変換してパソコン(PowerMac G3, アップル)に取り込んだ.蛍光 画像は典型的には20 秒間隔で取得した.それぞれの励起波長での蛍光画像をも とに,個々の卵の蛍光強度(F340, F380)を測定し,バックグラウンド減算をし た後,蛍光強度比(F340/F380)を算出して, [Ca2+]cyt の指標とした.なお,フ ィルター切り替え装置の制御,蛍光画像の取得およびその解析は,すべてフリ ーソフトウェアの NIH Image をもとに作成した独自のプログラムによって行 った.

受精によるCa2+振動が安定した後,適当なCaCl2濃度のM2培地をステージ

上のM2ドロップ(1.7 mM CaCl2)に加えることで,[Ca2+]oを変化させた.例 えば,[Ca2+]oを 1/2 にする際には,CaCl2を含まない M2 培地をドロップと等 量(200 µL)加えた.[Ca2+]oを0 にする際には,CaCl2を含まずかつ10 mM EGTAを加えたM2培地を等量(200 µL)加えた.

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