3.3. 社会的指標の表示
3.4.1. 文末の丁寧体と普通体
3.4. 「丁寧」「「丁寧」「「丁寧」「「丁寧」「改まり改まり改まり」「上扱い」改まり」「上扱い」」「上扱い」・」「上扱い」・・「・「「親しみ「親しみ親しみ」「親しみ」「」「くだけ」「くだけくだけ」くだけ」」の表示」の表示の表示 の表示
丁寧調と普通調、特別丁寧調の選択の後に、「丁寧」「改まり」「上扱い」・「親しみ」「く だけ」が表現される。丁寧調の談話では、特に多くのシフトが起こる。
「上扱い」、「改まり」、「丁寧」という伝達機能はそれぞれ似通っていて、同様の形式で 表現されると考えられる。上扱いは、相手との立場的関係、丁寧さは相手との心理的距離、
改まりは場の性質により変化するが、それぞれはお互いに関わっていることも多いからで ある。4
以下では、伝達機能を伝えるために、言語形式がどのように変化するかを、項目ごとに 見ていく。先行研究のデータを再考察し、学習者への提示を考える。
自分の判断を加えずに、目前のことを述べる場合や、独り言を述べる場合である。三尾
(1942)が述べているように、普通調に丁寧体が混ざる場合はまれであるが、丁寧調に普 通体が混ざることは多い。丁寧調に普通体が混ざる割合は、話し手と聞き手の関係性から 変わってくる。5
心理的・社会的な要因により変化する言語形式は丁寧調の中での普通体の混用は、特定 の形式で起こる。以下の表3-6は鈴木(1999)の結果の一部を転載したものである。鈴木
(1999)では、学年が異なる大学生の会話を初対面から14回録音している(横軸が示す)。
各回の音声の中の文体の使用を Ks/Kf/Ki(丁寧体終助詞つき/丁寧体言い切り/丁寧体言い さし)、D(独り言)、Jf/Ji/I(普通体言い切り、普通体言いさし、格助詞などで終了)、Js
(普通体終助詞つき)に分けて結果を記述している。N(後輩)の結果を見ると、会話の 回を重ねるごとに、普通体の割合が増え、丁寧体の割合が減っていることがわかる。しか し、終助詞が付く形の普通体はほとんど使用されないという結果になっている。
対して、S(先輩)は、会話の 7 回目からほとんど丁寧体が使用されなくなり、普通体 の使用だけになる。さらに会話の回を重ねるごとに、普通体に終助詞が付く形の使用が多 くなっている。
5 その理由として、野田(1999)は、普通体には、丁寧さを考慮した上での選択である非ていねい形と、
丁寧さを考慮しない結果の選択である中立形の用法があるとしている。
表3-6 初対面から継続した文体使用の変化(鈴木1999の表を転載)
つまり丁寧体と普通体の運用を図で整理すると以下の図3-2のようになる。6初対面でも、
同じ学生同士の会話のため、若干普通体(言い切りの形「昨日のテストはすごく難しかっ た」など)が混ざる丁寧調が使用される。もし社会人との会話などであったら、より丁寧 さを表すために、丁寧体の使用率が高くなると考えられる。先輩と後輩は初対面から親し くなると親しみを表すために、普通体の使用率がさらに高くなる。その後、先輩は社会的 立場が上であることと疎の関係にあることが対立することで、丁寧調と普通調のどちらを 選択するべきか迷う「混用期」に入る。その後普通調が選択されるようになる。そして、
会話の回を重ね親しくなるにつれて、終助詞が付く普通体の使用の割合が増えるようにな る。
6 図3-2以降の図では「丁寧さを上げる(下げる)」という表現を使用しているが、便宜的に「丁寧」「改 まり」「上扱い」(「親しみ」「くだけ」)を表すこと、とする。
丁寧さ下げる 下げる 丁寧さ 上げる
図3-2日本語母語話者の丁寧体と普通体によるスタイルシフト7