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丁寧調と普通調の選択フローチャートの作成

3.3. 社会的指標の表示

3.3.2. 丁寧調と普通調の選択フローチャートの作成

そこで、日本語学習者に丁寧調と普通調の社会的な選択をわかりやすく整理するために フローチャートを作成する。Ervin-Tripp(1972)では、アメリカ英語で 2 人称の呼称が

3 特別丁寧調と丁寧調の選択にどのように行われるかに関する研究は見られないが、業界や職場などの社 会的な場の制約も強く受けると考えられる。

どのような要因で決まるかがフローチャートによって示されている。日本語の文体も、英 語の呼称と同様に社会的な要因が強く働くため、同様のフローチャートの作成が可能であ る。図3-1のようなフローチャートを作成した。

図3-1 日本語母語話者の丁寧調と普通調の選択決定のフローチャート

まず、社会的な関係として、親族かそうでないかという要因が働く。親族の場合は年齢 差があっても、社会的に親しい関係であるために、普通調が選択される。しかし、これは 同居の親族に限り、別居している親族の場合は、親族関係という社会的事実よりも親疎関

係が優先され、丁寧体が使用される場合もある。なお、交流が多い親族の場合は、同居の 家族と同様にみなされる場合もある。

次にビジネス場面かどうかが文体の選択に関わってくる。会社の取引相手や客に対する 対応になる場合は、通常ゴザイマス調が使用される。会社の取引相手や客でもそれが会社 同士や、店員―客などの関係性を超えて、個人レベルの関係性に発展することもある。ビ ジネス場面でも状況によっては、個人レベルの関係性に発展することが多い、もしくは、

接客のストラテジーとして、個人レベルの関係性を作ることなども起こりうる。その場合 は、丁寧調使用に向かっていく。

次に相手との社会的な立場として年齢が影響してくる。10歳以上の開きがある場合、自 動的に社会的に立場が上とみなされる場合が多く、丁寧調が選択される。社会的規範とし て年長者を敬う傾向は、現代では薄れてきていると考えられるが、文体の選択には強く影 響する。

その後、相手の社会的な立場が上かどうかが影響する。相手の社会的な立場として、例 えば、先生、上司、先輩、さらに組織内の関係でなく、社会的全体として地位が高い医者 や政府の高官などの社会的立場も影響する。自分より相手の社会的な立場が高ければ、丁 寧調が選択される。

そして、相手の立場が上でない場合、相手の社会的立場が同等、または下と定義される 環境かどうかが影響する。例えば学校の同級生や会社などの組織の同期、学校・会社など の組織や組織の後輩は、社会的に同等、または下と決定しているため、普通調が選択され る。

社会的な関係の上下が決定するものがない場合、いくつかの要因によって文体の選択が 決定する。まず相手に特別な尊敬の念があるかが影響してくる。立場が上でなくても、相 手を心理的に尊敬する場合には丁寧調が選択される。手の経験や能力が自分よりも高いと 考える場合に、心理的に尊敬の念が生まれることが影響する。

そして、社会的に同等と決定するものがなくとも、双方で合意があれば、普通調を使う。

初対面の会話でお互いの性格やバックグラウンドを知る中で、同等とみなし、双方で「た め口で行こう」など、使用する文体を決定することはよく見られる。

その様な合意がなくとも、話者が対話相手と親しくなりたいという意図があれば、普通 調を積極的に使用する。

丁寧調が選択される場合も、対話相手が普通調の使用の「特別許可」を出すこともある。

対話相手が文体使用に特別な考えを持つ場合もあれば、飲み会の席などで、「無礼講」と言 って許可を出す場合などが考えられる。

3.4. 「丁寧」「「丁寧」「「丁寧」「「丁寧」「改まり改まり改まり」「上扱い」改まり」「上扱い」」「上扱い」・」「上扱い」・・「・「「親しみ「親しみ親しみ」「親しみ」「」「くだけ」「くだけくだけ」くだけ」」の表示」の表示の表示 の表示

丁寧調と普通調、特別丁寧調の選択の後に、「丁寧」「改まり」「上扱い」・「親しみ」「く だけ」が表現される。丁寧調の談話では、特に多くのシフトが起こる。

「上扱い」、「改まり」、「丁寧」という伝達機能はそれぞれ似通っていて、同様の形式で 表現されると考えられる。上扱いは、相手との立場的関係、丁寧さは相手との心理的距離、

改まりは場の性質により変化するが、それぞれはお互いに関わっていることも多いからで ある。4

以下では、伝達機能を伝えるために、言語形式がどのように変化するかを、項目ごとに 見ていく。先行研究のデータを再考察し、学習者への提示を考える。