第三部 総論(スピーチスタイル教育の試案) 総論(スピーチスタイル教育の試案) 総論(スピーチスタイル教育の試案) 総論(スピーチスタイル教育の試案)
13.2. 今後の課題
から考察を行い、学習者がそれぞれの習得段階でどのように丁寧体と普通体の運用をして いるかについて詳細な考察を行った。その結果、母語と日本語の体系、学習者の運用能力 が原因となり中間言語的なスピーチスタイルの切換えを行っていることが考察された。結 果から、丁寧体と普通体を中心に、言語形式の形態面と使用規範について教育を行うこと の必要性を指摘した。
第11章では、日本語初級教科書4冊に関して、スピーチスタイルの扱いを丁寧体と普通体 を中心にその問題点を考察してきた。その結果次のようなスピーチスタイル教育を行う上 での留意点が考察された。1)ダイアログでは、現実の母語話者の運用と異なるスピーチ スタイルを使用させない。2)ダイアログの対話者の関係性を示す。3)丁寧調選択時に カジュアルな言語形式を混ぜる場合はその理由を示す。4)提示順序を考えすぎて、無理 にカラを使用させない。
第12章では、11章までの研究の考察結果を基にスピーチスタイル教育の試案を記述した。
そこで、必要な教育が以下の点であることをまとめた。A)普通調と丁寧調、その他の言語 形式の運用規範を初級段階から確実に提示する。B)普通体の産出に抵抗がなくなるように 初級段階で運用練習を行う。C)中級では会話全般として自然なスピーチスタイルを身に付 ける練習を行う。D)中級段階で一度評価に影響する言語形式を規範から逸脱して使用しな いように指導する。E)上級段階では学習者のニーズに合わせて、特別丁寧調、スタイルシ フトを指導する。
そして、研究で扱う場面の拡大である。日本語学習者のスピーチスタイル運用の実態は、
データの関係から丁寧調を使用すべきフォーマルな場面を中心に考察してきた。既存のコ ーパスデータの不足や、独自データの収集が困難であるという理由から、学習者が普通調 を使用すべきカジュアルな場面でのスピーチスタイルの問題に関して十分な考察ができて いない。学習者の意識にも多く見られたように、カジュアルな場面でフォーマルな言語形 式の使用やカジュアルすぎる言語形式の使用の問題が見られた。その点に関して、より学 習者の問題や母語話者の評価など明らかにすべきであると考えられる。
さらに、丁寧語以外の敬語の使用に関しては考察ができなかった点も今後の課題である。
母語話者の実態からどの様な敬語形式が丁寧調選択時に使用されやすいのかを明らかにし、
その使用の有無が相手の評価にどの程度影響するかを考えることで、スピーチスタイル教 育としての敬語教育がより効果的に位置づけられると考えられる。スピーチスタイル教育 は 5 章で述べたように、母語話者の評価に影響するかどうかで決定すべきである。現行の 敬語教育では単に日本語の体系を身につけさせるための敬語教育も多い。今後の研究で学 習者にどの敬語が必要でどの敬語が必要でないか、詳細に明らかにしていくことが必要だ と考えている。
また、スピーチスタイルに関して言語形式のみに着目して研究したが、スピーチスタイ ルの問題は言語形式だけでなく、言語行動、さらには音声的特徴や間の取り方などパラ言 語や表情・態度などの非言語の影響も大きいことが、研究を進める中で明らかになってき た。その点に関して、どの点が特に問題となり、どのような教育が必要なのか、大きな課 題ではあるが、今後検討していかなければならない課題であると言える。
謝辞謝辞 謝辞謝辞
本論文は、様々な方のサポートがあったことで完成させることができました。ここに感 謝の意を記したいと思います。
まず、指導教官であり、本論文の主査である、ダニエル・ロング先生。ダニエル・ロン グ先生には、学部の時代から様々な形でご支援・ご指導をいただきました。修士の時から 研究に苦しんでいた時も辛抱強く指導していただきました。ご自身の多くの調査研究にも 同行させていただき、研究者としての姿勢を学びました。研究室に入りたての私は、結果 を出すことのプレッシャーばかりにとらわれ、幅広い視野を持って、学問をすることの楽 しみを知りませんでした。そんな要領の悪い私も沖縄、伊賀上野、大泉、パラオ、大洗な どでフィールドワークをすることで、少しずつ変わり、学問の楽しみを知り、方法を学ん でいきました。今では、少しでもロング先生のもとで指導を賜った弟子として自信を持つ ことができます。修士から 5 年間指導していただいたことを光栄に思うとともに、感謝の 気持ちは表現しきれません。
そして、副査である国立国語研究所の野山広先生。野山先生には、寛大な気持ちで僕の 研究を支えてくださり、また精神的にも大きな支えとなってくださいました。研究所のプ ロジェクトの中で、大泉、能代の視察をさせていただいた経験、学会発表の機会を与えて くださったことは、大きな経験でした。そして何より、博士課程の合格祝いとして食事に 招待してくださった時に、非常に大きな励ましを頂いたことは忘れません。博士課程に合 格と共に研究に対する見通しの不安や、研究自体に対する疑問がたくさんありました。そ の中でご自身の幅広い経験と知識からくださったアドバイスがあったからこそ、その後 3 年間の研究があったといっても過言ではありません。
そして、副査である西郡仁朗先生。西郡先生には、様々な経験の機会をくださったこと で、陰ながら大きなサポートを頂きました。長沼スクールでの仕事、国際センターの仕事、
GCPのTAの仕事など様々な機会を頂き、それぞれの仕事がとても大きな経験となったと 共に、今の仕事に大きくつながっています。自信のなかった私を信頼してこのような仕事 を任せて下さったことはとても大きなことでした。
他にも様々な方々の支援を頂きました。首都大学東京の研究員の趙恩英さんには、同じ 部屋で博士論文の執筆を行う際に、励ましてもらいました。毎回何かお菓子を頂いたりお 話をしたりすることで、ストレスの多い論文執筆の中で少しでもリラックスすることがで きました。また、先輩である塚原佑紀さんには、普段から研究や教育の話を気軽にさせて もらうことで、論文執筆のアイデアが多く湧いてきました。普段からお話しできているこ
とを感謝します。そして、先輩である大阪大学の磯野英治先生、首都大学東京、藤本かお る先生、神村初美先生にも普段から多くのアドバイスを頂きました。また、国立国語研究 所では、宇佐美洋先生、野田尚史先生、小西円さんに、研究に関するご教示をいただきま した。小西さんには、ご自身の博士論文を快く提供してくださり、私の論文執筆の際に参 考にさせていただきました。また、他にデータを得るために、たくさんの方々の協力を頂 きました。ここに全ての方の名前を記すことはできませんが、感謝したいと思います。
両親には、自由に学問の道を行く私を信じて支援してもらいました。また、婚約者であ
るKatherine Colleen Crawleyには、普段より多くの励ましと祈りをもらいました。そし
て何より、主Jesus Christの救いと助けがなければ、ここまで論文を執筆することができ ませんでした。ここに感謝の意を記します。
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