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5.2. 評価実験の手順

5.2.2. 刺激会話の作成

<対学生<対学生

<対学生<対学生 フォーマル>フォーマル>フォーマル>フォーマル>

田中:張さんは日本語学校ではどんなことを勉強していたんですか?

留学生:そうですね(はい)、私は進学科にいたので、特に試験対策が多かったです。(は い)例えばこの大学院は、なんていうんですか、あの、出願条件としてですね、N1の取 得が義務付けられていますよね。(はい)そういう大学が多いので、日本語学校でも能力 試験対策の授業が多かったんです。(はい)ま、んー、まーそれが良かったかどうかわか らないですけどね。(はい)まあ結果的には良かったかもしれません。(はい)でも会話 の授業が少なかったです。その点はちょっと残念だったんですね。(はい)それで今はま だ会話がですね、下手なんですよ。田中さんは日本語学校で教えたことはあるんですか?

田中:いえ、教えたことはないんですけど、将来的に教えたいと思っているんですよ。そ れで色々聞きたいんですね。論文の書き方は習いましたか?

留学生:はい、習いました。習ったんですけど、あまり詳しくはやりませんでした。

<対学生

<対学生

<対学生

<対学生 カジュアル>カジュアル>カジュアル>カジュアル>

田中:張さんは日本語学校ではどんなことを勉強していたんですか?

留学生:そうねー(はい)、私は進学科にいたから、特に試験対策が多かったの(はい)。 例えばこの大学院は、なんていうの、ほら(はい)、あの、出願条件としてね、N1 の取 得が義務付けられているでしょ(はい)。そういう大学が多いから、日本語学校でも能力 試験対策の授業が多かったの(はい)。まあそれが良かったかどうかわからないけどね(は い)。まあ結果的には良かったかなー。でも会話の授業が少なかった。その点はちょっと 残念だったのね(はい)。それで今はまだ会話がね、下手なのよ。田中さんは日本語学校 で教えたことはあるの?

田中:いえ、教えたことはないんですけど、将来的に教えたいと思っているんですよ。そ れで色々聞きたいんですね。論文の書き方は習いましたか?

留学生:うん、習ったよ。習ったんだけど、あまり詳しくはやらなかった。

<対学生

<対学生

<対学生

<対学生 文法ミス>文法ミス>文法ミス>文法ミス>

留学生:そうですね、私が進学科にいたので、特に試験対策が多いでした。例えばこの大 学院は、なんていうんですか、あの、出願条件で、N1 の取得が義務付けていますよね。

そういう大学が多くて、日本語学校が能力試験対策の授業が多かったんです。まあそれが 良かったのはわからないですけどね。まあ結果的で良かったかもしれません。でも話すの 授業が少なかったです。その点は私に対してちょっと残念だったんですね。それで今はま だ話すが、それなりに下手なんですよ。先生は日本語学校と何か関わりがあるんですか?

5.2.2.2. スクリプトの録音と刺激音声の作成

スクリプトの録音は役に近い属性の話者に依頼し、役の自然さを保った。「留学生」は大 学院で日本語研究に携わる研究員である30代の韓国語母語話者である。録音に際し、日本 語の流暢さには全く問題がなかった。「田中」は同じく大学院に所属する 30 代の日本語母 語話者であり、「教授」は日本語学校に勤務する 60 代の日本語母語話者である。録音には

SonyのIC Recorder、ICD-SX813を使用した。音声の録音は他に人が在室していない個室で

行い、雑音が入らないように配慮した。

まずスクリプトの<対教授フォーマル><対教授カジュアル><対学生フォーマル><

対学生カジュアル><対学生文法ミス>を録音した。各パートを個別にスクリプトを用い て、より自然になるように読んでもらい録音した。3その後、Sound Engine Freeの「切り取 り」と「貼り付け」を使用し、一つの会話としてつなげ合わせた。なお、音量の差がある 場合は、音量調整をして一つの会話として自然にした。さらに、会話をより自然に見せる ために相槌も挿入した。自然な相槌を録音するために、「田中」「教授」役の話者に「留学 生」の発話をヘッドフォンで聞かせ、「相手が自分に話しているときのように相槌を打って 欲しい」という指示のもと、その発話を聞きながら、相槌を打ってもらった。そしてその

音声をSound Engine Freeの「ミックス」で音声を合成した。なお、「教授」はその形で自然

な相槌が挿入できたが、「田中」では、それができなかった。そのため、複数回録音した相 槌を「切り取り」、自然に聞こえる箇所に「ミックス」した。

そして、<フォーマル>のスクリプトを基に、刺激音声(会話A、会話B)を作成する。

まず調査項目である下線部の前後を切りとり、後に3 秒の間を挿入し、10秒ほどの「会話 A」を作成する。その後に<カジュアル>のスクリプトの下線部を切り取り、元の<フォー マル>の音声の該当箇所と入れ替え、「会話B」を作成する。なお、ここでも単純に切り貼 りすると自然に聞こえない部分が見られたため、音量差の調整や、間の挿入など、録音が 自然に聞こえるように調整した。さらに、<対学生文法ミス>についても、同様に音声合 成を行い、会話Bを作成した。音声は会話Aと会話Bを一対として、「教授」は17通りの 音声、「田中」は25通りの音声を作成した。

合成した音声の自然さに関しては、音声合成として不自然さがないかを60代の日本語母 語話者1名に判断してもらい、問題がないと判断された。1つ不自然と判断された音声があ るが、音声的に合成らしく聞こえるという意味での不自然ではないと判断した上で、考察

3 スクリプトを読んでもらうときに、棒読みのように聞こえてしまった場合があったため、何度か取り直 しを行った。

の際に留意をすることにした。4合成して実験に使用した音声の例を表5-3で示す。

表5-3 実験音声の例

会話 会話 会話

会話A(元会話)(元会話)(元会話)(元会話) 会話会話会話会話B(スタイルの誤用)(スタイルの誤用)(スタイルの誤用)(スタイルの誤用)

…会話の授業が少なかったです。その点はち ょっと残念だったんですね。(はい)それで 今はまだ…

…会話の授業が少なかったです。その点はち ょっと残念だったのね。(はい)それで今は まだ…