第3章 災害応急対策計画
第6節 救助・救急、医療及び消火活動 第1項 救出計画
1 方針
地震による家屋等の崩壊、がけ崩れ及び津波等により多数の要救出者が発生した場合 には、市、県、警察、海上保安部及びその他の防災関係機関等は、相互に協力し、迅速 かつ的確に救出活動を実施する。なお、被災現地においては、原則として、市長が、救 出活動の指揮をとるものとする。
2 陸上における救出
(1)人命救助の原則
ア 人命救助は、地震等の災害により発生する火災の消火活動よりも優先するが、
両者は原則として併用行動をとる。
イ 救急・救助活動は、人的被害規模の大きい現場を優先して実施する。
ウ 負傷者が多数の場合は、幼児、高齢者、重傷者を優先する。
エ 救助に当たっては、被災者の安全に留意し、必要により建設重機等を調達し、
早期救出に努める。
(2)孤立地での救急・救助対策
道路、橋りょう等の崩壊等により道路が寸断し、消防力が分断された場合は、地 域住民、消防団の協力を得て、各署の現有消防力で対応する。各署が出動できない 場合は、消防団(分団)が中心となり、地域住民の協力を得て、応急的な救助隊を 編成して実施する。
(3)救急活動
ア 救急隊の編成は、原則として隊長以下3名とする。
イ 現場活動においては、警察、医療機関と連携を密にし、被災者の効率的な救護 に当たるとともに、重傷者等の搬送を最優先とし、応急措置後、医療機関へ搬送 する。
ウ 救急車のほか、予備車を臨時に運用するとともに、市内の病院等の救急車及び 他消防本部からの応援救急隊を増強隊として運用する。
エ 応急救護所を必要に応じて設置し、負傷者の応急救護及びトリアージに基づき、
円滑な医療機関への搬送を行う。
オ 医療機関に対し、診療・収容の可否等の確認をするとともに、情報影響を行う。
また、必要により救護所等への医療救護班の早期派遣を要請する。
(4)住民等の自主救護能力の向上
地震等の発生時には、災害の同時多発等により、救急医療活動が制約されること が予想されるため、組織的な応急救護が必要となる。このことから、日ごろから住 民等の防災意識の高揚と併せ、住民等による自主救護意識の啓発及び応急手当の知 識、技術の普及啓発活動を積極的に推進する。
(5)相互応援体制
救出・救急活動にかかる応援を受ける必要があると認められるときは、消防組織 法第21条の規定に基づく「広島県内広域消防相互応援協定」により、県内市町に 対し、応援を要請する。
ア 船舶の海難、人身事故等が発生したときは、速やかに船艇、航空機又は特殊救 難隊により、その捜索救助を行う。
イ 船舶火災又は海上火災が発生したときは、速やかに巡視船艇、特殊救難隊又は 機動防除隊により、その消火を行うとともに、必要に応じて、地方公共団体に協 力を要請する。
ウ 危険物が流出したときは、その周辺海域の警戒を厳重にし、必要に応じて、火 災、爆発及びガス中毒等の発生防止、航泊禁止措置又は避難勧告を行う。
エ 救助・救急活動等にあたっては,検知器具による危険範囲の確認,火気使用制 限等の危険防止措置を講じ,火災,爆発及びガス中毒,大規模地震に伴う余震・
津波等二次災害の防止を図る。
4 惨事ストレス対策
救出活動等を実施する各機関は、職員等の惨事ストレス対策の実施に努めるものとす る。
消防機関は、必要に応じて、消防庁等に精神科医等の専門家の派遣を要請するものと する。
5 部隊間の活動調整
災害現場で活動する警察・消防・海上保安庁・自衛隊の部隊は、必要に応じて、合同 調整所を設置し、活動エリア・内容・手順、情報通信手段等について、部隊間の情報共 有及び活動調整、必要に応じた部隊間の相互協力を行う。
また、災害現場で活動する災害派遣医療チーム(DMAT)等とも密接に情報共有を 図りつつ、連携して活動するものとする。
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-第2項 医療、救護計画
1 方針
地震のため医療機関が混乱し、被災した住民が医療の途を失ったような場合における応 急医療や災害時における助産等について、応急医療助産計画として定める。
また、迅速かつ的確な医療救護活動を実施するため、医療施設への搬送体制の整備や医 薬品、医療資機材の調達に関して必要な事項を定める。
2 医療助産計画
(1)救護体制
救護体制は、市と一般社団法人尾道市医師会との間で締結された「災害時の医療 救護活動に関する協定」(以下「協定」という。)に基づき、一般社団法人尾道市医 師会が編成する医療救護班が当たる。
医療救護班の構成は、1班当たり医師2又は3名、看護師2又は3名、事務職員 1又は2名とする。なお、そのうち医師1名を班長とする。
(2)実施者
ア 地震の発生時における医療及び助産は、市災害対策本部が協定に基づき、一般 社団法人尾道市医師会に派遣を要請した医療救護班が医療救護活動を実施する。
イ 災害救助法が適用された場合は知事から日本赤十字社広島県支部長に要請し、
日本赤十字社広島県支部尾道市地区が医療助産活動を行う。
(3)救護活動
ア 医療救護班は協定に基づき、次の医療救護計画を実施する。
(ア)医療救護組織の編成
(イ)医療救護組織の活動計画
(ウ)他地区医師会及び広島県医師会や関係機関との通信連絡計画
(エ)指揮命令系統
(オ)その他必要な事項
イ 医療救護護班は協定に基づき、次の業務を行う。
(ア)被災者に対する選別
(イ)傷病者に対する応急措置及び医療
(ウ)傷病者の収容医療機関への転送の要否及び転送順位の決定
(エ)被災者の死亡の確認及び遺体の検索
ウ 医療救護に対する指揮命令及び医療救護活動の連絡調整は、市災害対策本部の 医療班の指定する者が行う。この場合、市災害対策本部の医療班が指定する者は、
医療救護班の意見を尊重すること。
エ 傷病者が収容された医療機関における医療費は、原則として患者負担とする。
オ 医療救護活動について
助産を受けられるのは、災害のため助産の途を失い、災害発生の日の前後の7 日以内に分べんした人とする。分べんの介助、分べん前後の処置、脱脂綿、ガー ゼ、その他衛生材料の支給は分べんした日から7日以内の期間について実施する。
3 搬送体制の整備
地震の発生時には、軽・重様々な傷病者が救護所に集中すると予想される。そのよう な中で病院での適切な医療を必要とする傷病者は、消防署その他関係機関の協力を得て、
医療施設へ迅速に搬送することが必要であり、そのための体制整備について定める。
請したり、民間からの調達により確保する。
(1)医療及び助産活動に必要な医療資機材等の調達について日ごろより計画しておく。
(2)医薬品は、尾道薬剤師会を通じて調達する。
5 惨事ストレス対策
医療・救護活動等を実施する各機関は、職員等の惨事ストレス対策の実施に努めるも のとする。
6 部隊間の活動調整
災害現場で活動する警察・消防・海上保安庁・自衛隊の部隊等とも密接に情報共有を 図りつつ、連携して活動するものとする。
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-第3項 消防計画
1 方針
大規模な地震発生時における出火防止、初期消火及び延焼阻止等の消火活動を迅速か つ円滑に実施するため、平素から、地域住民による自主防災組織の育成・指導を行うと ともに、消防機関の活動体制及び消防相互応援体制等の整備充実を図るものとする。県 は、これら市の消防活動が円滑に行われるよう必要な措置を講ずるものとする。
2 消防活動体制の整備
(1)大規模地震発生時は、災害が複合的に多発することが予想され、災害防止のため、
次の事項について、日頃から広報等を通じ住民・自主防災組織・事業所等(以下「住 民等」という。)に周知しておく。
ア 出火防止及び初期消火
住民等は、自らの生命、身体及び財産を守るため、出火防止及び初期消火に努 める。
イ 火災の拡大防止
大地震により火災が発生した場合は、住民等は、お互いに協力して可能な限り の消火活動を行い、火災の拡大防止に努める。特に危険物等を取り扱う事業所に ついては、二次災害の防止に努める。
(2)消防機関は、大地震発生(震度5弱以上の地震)を想定し、次の事項についてあ らかじめ消防体制を整備しておく。
ア 動員体制
消防職員は、原則として各所属署へ、消防団員は所属各器具庫へ自発的に参集 する。
イ 部隊の活用
(ア)消防局長は、非常体制をとり、災害情報の収集、緊急に対処すべき事案の分 析及び消防に係る災害応急対策のため、消防局が対策本部(別表1)を設置す る。
(イ)各署の責任者は、非常召集職員等による隊編成を行い、隊の効率的な運用を 図る。
(ウ)隊の災害出動は、通信指令課の出動命令による出動を原則とするが、通信指 令課において隊の統制が不可能となった場合は、各署において対応する。
(エ)道路、橋りょう等の崩壊等により道路が寸断し、又は、有線電話及び無線設 備等の途絶により連絡手段がなく、消防力が分断した場合は、地域住民、消防 団の協力を得て各署の現有消防力で対応する。
(オ)同時多発火災の場合は、一斉に火災防御に当たる必要があるため、個々の火 災規模に対応した必要最小限度の投入で対処する。
(カ)火災が広域的に拡大した場合は、住民の生命に危険を及ぼすことが予想され ることから、避難路、避難場所確保の防御に当たる隊は、全力を挙げて防御に 当たる。
(キ)水道管の破損等が予想されることから、耐震性貯水槽等の設置を推進するほ か、河川、池等の自然水利を活用するため、事前に取水可能場所を把握してお く。
ウ 消防団の運用
(ア)消防団長は、非常体制をとり、消防局に団指揮本部(別表2)を設置する。