2 助詞の表記
1.1 名詞述語と形容詞述語
1.1.5 推量表現 1
ここでは名詞/形容詞の述語に対応する推量表現について,推定,疑念,確信,想定と 異なる帰結,様態からの推量の順に例を挙げる.それぞれの推量表現の意味はおおよそ 下記にまとめた通りである.
推定:「きっと〜だろう/〜ではないだろう」「恐らく〜だろう/ではないだろう」
「〜であるらしい/ではないらしい」などの意味を表すもので,話し手がはっき りと断定できない状況において推定をもとに述べるのに用いられる.
疑念:「〜かなあ」「〜かなあ,いや違うだろう」「〜かなあ,違うだろうなあ」など の意味を表すもので,話し手が叙述する事態に対して疑念を持っていることを 表明しながら述べるのに用いられる.
確信:「きっと〜だ/ではない」「〜であるはずだ/ではないはずだ」などの意味を表 すもので,話し手が叙述する事態を自ら確認してはいないものの,その事態の 成立については確信を持っていることを表明しながら述べるのに用いられる.
想定と異なる帰結:「〜だったのだ/ではなかったのだ」などの意味を表すもので,
状況判断の結果,話し手が想定していたのと異なる事態に帰結したことを表す のに用いられる.
様態からの推量:「〜であるようだ/ないようだ」「〜である様子だ/ではない様子 だ」「〜みたいだ/ではないみたいだ」などの意味を表し,話し手が叙述する事 態を外側に現れる様態から推し量って述べるのに用いられる.
なお,付録
II
に,推量表現の各形式を表にまとめたので併せてご参照いただきたい.■ 確定判断に対応する推量表現
確定判断を表す述語に対応する推量表現では
U`Io
を使った表現が用いられる.《 推定 》
•
;doV=oLdHoJoU`IoT2F d
¯khoran ´ph ¨opa ´yin-tro.
「彼はきっとチベット人でしょう」
•
;doV=oLdHoJoM`IoTHI dTdn
¯khoran ´ph ¨opa ´m¨an-troo.
「彼は恐らくチベット人でしょう」
•
;doV=oLdHoJoU`IoZoVcHn
¯khoran ´ph ¨opa ´yinsa ˆree.
「彼はチベット人であるらしい(その可能性がある)」
《 疑念 》
•
;doV=oLdHoJoM`Io7#n
¯khoran ´ph ¨opa ´m¨an-naa.
「彼はチベット人かなあ」
•
;doV=oLdHoJo\oU`In
¯khoran ´ph ¨opa ¯a-yin.
「彼はチベット人かなあ,いや違うだろう」
•
;doV=oLdHoJo\oU`Io7#n
¯khoran ´ph ¨opa ¯a-yinnaa.
「彼はチベット人かなあ,違うだろうなあ」
《 確信 》
•
;doV=oLdHoJoU`Io<`oVcHn
¯khoran ´ph ¨opa ´yinki ˆree.
「彼はきっとチベット人だ」
•
;doV=oLdHoJoU`IoJoUdHn
¯khoran ´ph ¨opa ´yin-pa ˆy ¨o¨o.
「彼はチベット人のはずだ」
《 想定と異なる帰結 》
•
;doV=oLdHoJoU`IoJoVcHn
¯khoran ´ph ¨opa ´yin-pa ˆree.
「彼はチベット人だったのだ」
《 様態からの推量 》
•
;doV=oLdHoJoU`IoJoTHI n
¯khoran ´ph ¨opa ´yin-pa ´dra.
「彼はどうやらチベット人のようだ」
•
;doV=oLdHoJoU`IoLSdoT6q<
¯khoran ´ph ¨opa ´yinso ˆduu.
「彼はチベット人みたいだ」
•
;doV=oLdHoJoU`IoMHd<o;oJdoVcHn
¯khoran ´ph ¨opa ˆyintoo ¯khapo ˆree.
「彼はチベット人であるらしい」
■ 存在・存続に対応する推量表現
存在・存続を表す述語に対応する推量表現では
UdHo
を使った表現が用いられる.《 推定 》
•
;doV=o*T <oJdoUdHoT2F d
¯khoran ´tsiku ˆy ¨o¨o-tro.
「彼はきっと金持ちでしょう」
•
;doV=o*T <oJdoMcHoTHI dTdn
¯khoran ´tsiku ˆm¨a¨a-troo.
「彼は恐らく金持ちでしょう」
•
;doV=o*T <oJdoUdHoZoVcHn
¯khoran ´tsiku ´y ¨o¨osa ˆree.
「彼は金持ちであるらしい(その可能性がある)」
《 疑念 》
•
;doV=o*T <oJdoMcHo7#n
¯khoran ´tsiku ˆm¨a¨a-naa.
「彼は金持ちかなあ」
•
;doV=o*T <oJdo\oUdHn
¯khoran ´tsiku ¯a-y ¨o¨o.
「彼は金持ちかなあ,いや違うだろう」
•
;doV=o*T <oJdo\oUdHo7#n
¯khoran ´tsiku ¯a-y ¨onaa.
「彼は金持ちかなあ,違うだろうなあ」
《 確信 》
•
;doV=o*T <oJdoUdHo<`oVcHn
¯khoran ´tsiku ´y ¨o¨oki ˆree.
「彼はきっと金持ちだ」
《 想定と異なる帰結 》
•
;doV=o*T <oJdoUd<oU`IoJoVcHn
¯khoran ´tsiku ˆyoo ´yin-pa ˆree.
「彼は金持ちだったのだ」
•
;doV=o*T <oJdoMcHoJoU`IoJoVcHn
¯khoran ´tsiku ˆm¨a¨a-pa ´yin-pa ˆree.
「彼は金持ちではなかったのだ」
•
;doV=o*T <oJdoMcHoJoVcHn
¯khoran ´tsiku ˆm¨a¨a-pa ˆree.
「彼は金持ちではなかったのだ」
《 様態からの推量 》
•
;doV=o*T <oJdoUdHoJoTHI n
¯khoran ´tsiku ˆy ¨o¨o-pa ´dra.
「彼はどうやら金持ちのようだ」
•
;doV=o*T <oJdoUdHoLSdoT6q<
¯khoran ´tsiku ´y ¨o¨oso ˆduu.
「彼は金持ちみたいだ」
•
;doV=o*T <oJdoUdHoMHd<o;oJdoVcHn
¯khoran ´tsiku ˆy ¨ontoo ¯khapo ˆree.
「彼は金持ちであるらしい」