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推奨用法・用量に関する臨床情報の解析

ドキュメント内 untitled (ページ 62-66)

2.7 臨床概要

2.7.3 臨床的有効性の概要

2.7.3.4 推奨用法・用量に関する臨床情報の解析

吸入された

NO

は血管内に入ると、速やかにヘモグロビンと結合して

NOHb

を形成し、酸化に より亜硝酸塩及び硝酸塩に代謝される。したがって、NO の全身的な曝露は効果的に制限され、

全身血圧を低下させずに肺動脈圧を選択的に低下させる。一方、NOHb を形成したヘモグロビン は酸化により

MetHb

に変換される。このように吸入された

NO

は速やかに代謝されるため

NO

の 血中動態を検討することは困難であり、NO の血中濃度測定は実施しなかった。しかし、血中

MetHb

濃度は、定量的ではないものの、NO 曝露を間接的に表すものと考えられることから、血

MetHb

濃度を測定し、臨床薬物動態を検討した。INO-01/02試験において

NO

吸入濃度と相関

して血中

MetHb

濃度は増加した(図

2.7.3.4-1、表 2.7.3.4-1)ことから、吸収された NO

量は吸入 濃度と相関するものと推測された。

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

0 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48

Time (hours)

Met hem o gl o b in Lev el (%)

NO 80 ppm  NO 20 ppm  NO 5 ppm  Placebo 

2.7.3.4-1

血中

MetHb

濃度の推移(平均±SE)-INO-01/02試験-

一酸化窒素 

2.7

臨床概要  

- 60 -

2.7.3.4-1

血中

MetHb

濃度の推移(平均±SD)-INO-01/02試験-

NO吸入開始後時間(時間)

1 2 3 4 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48

N 36a 35 36 35 34 33 24 23 20 19 18 17 16 16 14 12

平均 0.38 1.79 2.79 3.43 4.22 5.04 5.08 4.33 4.22 4.07 4.09 3.46 3.24 3.22 3.29 3.23 SD 0.28 0.94 1.32 1.88 2.46 2.75 2.32 1.65 1.54 1.53 1.65 1.56 1.81 1.99 1.91 2.20 最小値 0.0 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0 1.9 1.2 1.7 1.5 1.5 1.1 0.4 0.5 0.9 1.1 80 ppm

吸入群

最大値 1.0 3.8 5.7 7.8 10.8 11.9 11.4 7.3 6.8 6.7 7.3 6.6 6.9 7.2 6.7 7.6 N 36 35 34 33 33 30 27 26 25 23 22 20 20 18 18 16 平均 0.51 0.69 0.81 0.88 0.96 1.05 0.89 0.97 0.98 0.94 0.97 0.95 0.95 0.87 0.91 0.89

SD 0.38 0.39 0.43 0.51 0.56 0.65 0.50 0.54 0.53 0.57 0.51 0.50 0.52 0.50 0.44 0.44 最小値 0.0 0.1 0.1 0.1 0.3 0.1 0.1 0.1 0.1 0.0 0.2 0.1 0.1 0.1 0.3 0.1 20 ppm

吸入群

最大値 1.5 1.6 1.8 2.2 2.6 3.5 2.0 2.8 2.5 2.3 2.2 2.1 2.2 2.1 1.9 1.9 N 41 37 39 39 38 37 33 30 28 26 24 23 24 22 21 20 平均 0.40 0.50 0.52 0.56 0.57 0.64 0.62 0.68 0.64 0.67 0.68 0.73 0.69 0.55 0.56 0.64

SD 0.30 0.53 0.61 0.56 0.54 0.64 0.71 0.75 0.83 0.76 0.83 0.91 1.10 0.38 0.32 0.45 最小値 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.1 0.1 5 ppm

吸入群

最大値 1.1 3.0 3.4 3.2 3.0 3.5 4.1 4.2 4.4 4.0 4.2 4.6 5.6 1.4 1.4 1.7

N 39b 39 35 33 31 31 27 26 23 22 22 21 19 19 17 18

平均 0.51 0.46 0.40 0.43 0.45 0.38 0.46 0.47 0.47 0.45 0.48 0.45 0.46 0.49 0.46 0.57 SD 0.41 0.39 0.36 0.40 0.39 0.37 0.40 0.36 0.48 0.44 0.38 0.42 0.36 0.41 0.37 0.46 最小値 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 プラセボ

吸入群

最大値 1.6 1.6 1.5 1.9 1.9 1.7 1.6 1.7 1.7 1.7 1.6 1.7 1.4 1.6 1.6 1.6 a:80 ppm吸入群の症例数は37例であったが、血中MetHb濃度の検討可能な例は36例であった。

b:プラセボ吸入群の症例数は41例であったが、MetHbの検討可能な例は39例であった。

また、INO-01/02試験では、動脈血の酸素化の改善は

5 ppm

からみられ、80 ppmまで

NO

吸入 濃度と比例しており、吸入濃度が高いほど酸素化の改善が大きいことが示唆された(図

2.7.3.4-2、

2.7.3.4-3)。

2.7.3.4-2

試験薬吸入開始前からの

PaO

2の変動(平均±SE)-INO-01/02試験-

一酸化窒素 

2.7

臨床概要  

- 61 -

2.7.3.4-3

試験薬吸入開始前からの

A-aDO

2の変動(平均±SE)-INO-01/02試験-

本剤の有効性を検証した試験である

CINRGI

試験では、開始吸入濃度を効果が十分得られ、か つ最大耐用量と考えられる

20 ppm

とした。吸入開始後

4

時間以降

24

時間までに

PaO

2≧60 mmHg かつ

pH 7.35〜7.55

であれば濃度を

5 ppm

に減量し、FiO2

0.7

未満となるか、最大

96

時間又は 生後

7

日までのいずれか早い時期まで吸入を継続した。その結果、ECMO適用率などの有効性主 要評価項目でプラセボ吸入群と

NO

吸入群との間に有意差が認められ、NO吸入の有効性が確認 された。また、INOT12試験においても、20 ppm(FiO2=1.0)で吸入を開始し、吸入開始後

4

時 間以降に

PaO

2>60 mmHg又は

SpO

2>92%を満たした場合に

5 ppm

に減量するという投与方法が 用いられ、OI等の著しい酸素化の改善が得られた。これらの結果から、20 ppmで吸入を開始す ることで十分な酸素化の改善が期待できるものと考えられた。

一方、NINOS試験では、20 ppmで反応が得られなかった患者に対し、吸入濃度を

80 ppm

に増 量できることとしたが、増量した被験者

55

例中

41

例は改善を示さなかった。また、Cornfieldら が行った試験11)においても低濃度(2 ppm)の

NO

に反応を示さなかった被験者に濃度を

20 ppm

に増量しても、最初から高濃度(20 ppm)を吸入した被験者に比べ良好な反応を示すとは考えに くいことが示唆された。これらのことから、肺高血圧を伴う低酸素性呼吸不全に対する

NO

吸入 は、低濃度から治療を開始するのではなく、安全性を保つことができる可能な限り高い濃度で開 始し、早期に酸素化の改善を図る必要があると考えられた。

安全性の面からの本剤の吸入濃度設定で吸入濃度の制限因子となる要因は、血中

MetHb

濃度及 び吸気中

NO

2濃度の増加である。血中

MetHb

濃度の増加により、血液の酸素運搬能が低下する。

一酸化窒素 

2.7

臨床概要  

- 62 -

また、高濃度の

NO

2を吸入すると細気管支炎、気管支炎、肺気腫を引き起こすおそれがあり、一 般的に

NO

2の短期曝露限界は

5 ppm

とされている。

MetHb

はメトヘモグロビン還元酵素によりヘモグロビンに変換されるが、新生児における酵素

活性は成人と比較して低いことが知られており 5)、新生児ではメトヘモグロビン血症発生の危険 性が高いと考えられる。

血中

MetHb

濃度の許容レベルについては一定した見解は得られていないが、臨床試験における

血中

MetHb

濃度増加に基づく投与中止の規定を

CINRGI

試験では>4%、INO-01/02及び

Ohmeda NO-03

試験では>7%及び

INOT12

試験では>5%としていた。INO-01/02 試験では、血中

MetHb

濃度が

7%以上を示した場合をメトヘモグロビン血症と規定していた。

INO-01/02

試験において血中

MetHb

濃度の平均値は吸入濃度に依存して増加した。

20 ppm

以下 の吸入群では平均血中

MetHb

濃度は

1%を大きく越えることはなかった。80 ppm

吸入群では

5%

まで平均血中

MetHb

濃度が増加した。また、あらかじめメトヘモグロビン血症と規定していた

7%を超える血中 MetHb

濃度を示した症例は

36

例中

13

例(36%)であった(80 ppm吸入群の症 例数は

37

例であったが、血中

MetHb

濃度の検討可能な例は

36

例であった)。吸気中

NO

2濃度に ついても、80 ppm吸入群において約

2 ppm

NO

2濃度が検出されたのに対し、20 ppm以下の吸 入群では吸入期間を通して

0.5 ppm

未満であった。

したがって、開始吸入濃度は

80 ppm

より少ない濃度とする必要があると考えられた。CINRGI

及び

INOT12

試験では、本剤の効果がより大きく得られ、かつ最大耐用量であると考えられる

20

ppm

から吸入を開始したところ、いずれの試験においても平均血中

MetHb

濃度は

2%未満であり、

吸気中

NO

2濃度は概ね

0.5 ppm

未満であった。

一方、研究会臨床研究では、開始濃度を

10 ppm

と設定し、増量した例もあった。その結果、

在胎期間

34

週未満の未熟児を除く

45

例中

32

例が有効であり、その内

9

例は

20 ppm

まで増量し た結果有効となった症例であった。(研究会臨床研究では、出生体重

2,500 g

以上を正期産児、

2,500 g

未満を未熟児として集計を行っていた。そこで、□□□□□□□□□□□□□□□□□□

□□□□□、在胎期間

34

以上及び

34

週未満で再解析を行ったところ、34週以上の症例数は

45

例であった。)このことから、開始濃度は

10 ppm

では不十分な場合があると考えられた。

以上のことから、血中

MetHb

濃度や吸気中

NO

2濃度増加による危険が少なく、本剤の効果が 十分得られる

20 ppm

が推奨開始吸入濃度であり、吸入開始後

4

時間までは

20 ppm

を維持し、

MetHb

濃度や吸気中

NO

2濃度の増加の危険性をより確実に回避するために、酸素化の改善状況を

みながら効果が得られた症例では

4

時間以降に

5 ppm

に吸入濃度を減量することが推奨されると 考えられた。

CINRGI

試験では

5 ppm

で維持する期間について、

FiO

2<0.7で酸素化を維持できるまで継続す ることとしていた。一方、研究会臨床研究では

FiO

2=0.4 で酸素化を維持できるまで継続するこ ととしていた。実際の医療現場では、患者の酸素化が維持された際の本剤吸入を終了する判断に ついては患者毎の臨床症状により判断される。このため、

INOT12

試験では、

CINRGI

験及び研究 会臨床研究の方法に基づき、本剤吸入を終了する基準に幅を持たせ、FiO2=0.4〜0.6で

PaO

2>70

mmHg

になるまで本剤の吸入濃度は

5 ppm

で維持する方法がとられた。その結果、CINRGI試験 と同様の結果が示された。これらのことから、本剤は酸素化の改善に従い、5 ppmに減量し、安

一酸化窒素 

2.7

臨床概要  

- 63 -

全に離脱できる状態になるまで吸入を継続するべきと考えられた。

投与時期及び期間については、CINRGI試験では、出生後

96

時間以内に開始し、最長

96

時間 又は生後

7

日までのいずれか早い時期まで、

INO-01/02

では、出生後

72

時間以内に開始し最長

14

日間、NINOS試験では、出生後

14

日以内に開始し最長

14

日であった。INOT12試験では出生後

7

日未満に開始し最長

14

日間と規定し、有効性及び安全性が確認された。各試験の

NO

群の投与 期間を表

2.7.3.4-2

に示す。

2.7.3.4-2

試験ごとの投与期間(NO群)

試験名 例数 投与期間

(平均±SD、時間)

CINRGI(5.3.5.1-1) 93 40.1±31.65

5ppm

吸入群

22 111.3±64.9

INO-01/02(5.3.5.1-2)

20ppm

吸入群

19 82.5±47.1

NINOS(5.3.5.4-1) 113

a

71.3±79.0

INOT12(5.3.5.2-1) 10 83.6±2.6

a: NO

が投与された症例数

CINRGI

及び

INO-01/02

試験の対象疾患である新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)は、胎児循環

から出生後の肺循環に適切に移行しない状態である。PPHN 患者では、胎児循環と同様に肺血管 が収縮し、抵抗が高く、卵円孔及び動脈管でのシャントが多くなっている。新生児の肺血管系は、

生後

7

日までは肺疾患などにより再収縮を起こしやすいが、生後

7

日以降は肺血管系の収縮反応 は減り、肺高血圧がみられても他の原因によることが多いことから、本剤の適用とはならないと 考えられた。これらのことから、出生後

7

日以内に吸入を開始すべきと考えられた。

投与期間については、試験ごとに投与条件が異なるものの、

INO-01/02

試験の

5ppm

群以外は平 均

4

日以内であった。しかしながら、肺高血圧症は本態要因が一様でなく、患者背景が複雑であ るがゆえに、医師の判断により適宜調整可能としたほうが、より患者の容態に合わせた治療を実 施できる可能性が高いと考えられた。

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