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第3節 授業後調査結果と考察

 授業前後での科学観の変容を比較するため(比較対象は中学2年生のみ)、

授業を実施した各クラスの最終授業において質問紙調査を行った。また、知識 の獲得状況を確認するため定;期テストで問題を出題した。その結果と考察を以 下に述べる。

   1科学・科学者への興味

 最初に、科学や科学者への関心の程度や理論が生み出されてきた過程への興 味の変容について、プレ調査とまったく同じ質問項目についての結果を表18

に示す。

表18 科学・科学者への興味(中2授業前後の比較、N=:192)

授業前 授業後

平均 ℃SD 平均、

SD

1前後の

ス均の蓬

③科学への興味 2.86 1,213 3.42 1,108 0.56

④科学考への興味 2.31 1,119 3.08 1,177 0.77

⑤成功・央敗 3.55 1,293 3.66 1,081 0.11

⑥過程への興味 2.49 1,193 2.89 1,072 0.40

t検定(両側)の結果: ③t=6.13,df=191, Pく0.001

@ t=7.74, df=191, p〈O. OOI

@ t=1.01, df=191, NS

@ t=4.08, df=191, p〈O. OOI

 科学、科学者、科学的理論が生み出されてきた過程への興味は、すべて平均 の差がO. lo/・水準で有意であった。また、 「科学者の成功や失敗を取り上げた 授業をこれからも受けたいですか」については、授業前の段階ですでに要求が 非常に高かった(55%、p,48表12を参照)項目であり、天井効果と考えられる。

 次に、他の5項目についての結果を図13に示す。

①と②の「科学の話題を取り上げたテレビや新聞記事」と「科学や科学者に関

する本」への興味は、92年度の理数調査結果(81)とよく対応する。どちらも、否 定する者が肯定する者を大きく上回り、敬遠される傾向を示している。

N:①判96 司98

①TVや新聞舘事

②本への興味

10e%

80%

6e%

40%

20%

 o%

翻しいえ 圃中立

□はい

。@

  平均1①=2.8 ②:2.6

図13他の項目での割合

O= 198 @== 195 @= 195

⑦科学的理論は完成された知識?

⑧観察・実験は科学を発展させる?

⑨電気の学習に役立つ?

lOO%

se%

60%

40%

20%

 o%

o  @  @

圏し 、え

層中立 口はい

⑦躍2,9 ⑧=43 ⑨=4ゆ

 ⑦の「科学的理論は完成された知識だと思いますか」について、明確に「い いえ」を選択した者が29%であったが、fはい」と「分からない」を含め71%

にのぼることは、 「真実のカタログ」の教授という理科教育の一般的パターン を色濃く反映していると考えられる。

 ⑧の「観察や実験は科学を発展させると思いますか」については、81%の者 がfはい」を選択し、科学の発展にとり観察や実験が不可欠のものとして認識

されていることを示している。

 ⑨の「科学の歴史をとり入れた授業は、電気の学習に役立つと思いますか」

という質問は、今回の授業実践の試みの成否を直接的に問う項冒でもあったが、

「はい」を選択した者が75%に及んだ。⑩での記述回答からその主な理由を拾 い出してみたのが表19である。

表19 授業の有効性(記述回答より)

.立

,,

ヒ11由1・

・科学の歴史を知っていても電気の学習には意味がない。

・昔のことばかりしても、未来の科学への進歩がない。

・今はもっと違うものが発明されている。

・歴史を入れようが入れまいが、役立っか役立たないかは1人1人違う。

・すぐに役立っというわけではないと思うが、手助け(ヒント)にはなるかも。

∴動噛 的1・

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・どういう過程で研究が進んできたのかが解る。

・今に至るまでに起こったことなど、蕾みたいにたくさんの道具のない時にど の様にして電気を起こしたなど、そういう人物を知っておいた方がいい。

・電気がどうやって生み出されたか、発見されたかなどが解っていなければ、

発明されたものだけが出てきてもよく解らない。

・今は科学が進歩しているし、これからも進歩していくと思った。

・昔の実験に手を加えたり、工夫したりすると、新しいことが発見できるかも

しれない。

・どの様にしてこんなのができたのかと疑問に思ったときに、こんなことがあ ったんだと納得できる。

・誰がどんなふうに実験したかが解る。科学者の歴史を知ることで、その人が どんな考えを持っているかが解りやすくなる。

・いろんな考え方があるということが解る。

・科学者がどんな過程でその実験をしたのかという興味がもてる。

・ただただ電気は+と一だけだとかいっても、それはどの様にして誰が発見し たのかと思うときがある。その時代のことをよく学べば授業に入りやすい。

・どうやって電気の実験をしてきたのか学習しているうちに電気のことが興 味深くなる。

・昔たくさんの観察をした科学者たちの気持ちを勉強できたので、私たちがそ の気持ちと同じように考えて電気の面白さを発見できるから。

・ただ公式とかを習って覚えるだけだったら、あんまり興味もわかないし忘れ

やすい。

・はじめのうちは、単位がそれに関することを発明した人の名前からきている なんて知らなかったし、歴史なんて学ばなくてもいいのではないかと思って いたが、今回の授業で考えが全く反対になってしまったし、楽しくなった。

これから分かるように、科学史事例を用いた授業の試みは、科学を動的過 程の中で理解することや科学者の多様な解釈を知ること、そして学習への動 機づけを強めることに貢献していることが見てとれる。

◆全体として、本調査結果から、今回の授業実践は、

。科学・科学者・科学的理論が生み出されてきた過程への興味を増大  させた。

b探究の過程を重視することで・公式の囎轟嘩わらない学習の一つ  のパターンを撮示でき、興味を増大させた。

c科学を動的過程の中で理解することに「定の貢献をした。

 しかし、科学的理論を完成された知識と見る者の割合は、この調査結果でも 高く、これまでの理科教育の中で形成されてきたイメージは簡単に変容しな いことを示している。大きくは教師の「科学教育観」が問われているが、今回 の授業実践の精神を可能なところがら拡げていくことが求められていると考え

る。

   2実験と理論

実験と科学的理論に関する意識の変容については、以下のとおりである。

◆実験の目的に関する項臼①

  N =197

新しい発見を するため

自分の解釈を 試してみるた

人間に役立つ 何かを生み出 すため

新しい発見を するため

自分の解釈 を試してみる ため

人聞に役立つ 何かを生み出 すため

x20=22.04>x 20.o!.(15.09)

図14 実験の目的(授業前後)

 実験の目的については、授業の前後の双方で「発見をするため」を選択した 者の割合が53%と最も高く、変化がない。一一方、「解釈をためすため」を選挨 した者はわずかな増加を示した。授業前後の選択肢問の移動について、z2検 定の結果、1%水準で有意であった。これより、図14の右図に示したように、

「解釈をためすため」への相対的変化が授業の結果であると指摘できる。

◆予期に関する項臼②

  N =198

回 国

わからない

わからない

x20=:11.67>x20.ee(11.07)

図15 予期(授業前後)

 「実験をする前の予期」について、「はい」を選択した者の割合が授業後47%

とさらに増加した。しかし、「いいえ」を選択した者の割合に変化が見られな かった。X2検定の結果、5%水準で有意であったので、図15の右図に示した ように、「はい」への相対的変化が授業の結果であると指摘できる。

◆科学的理論に関する項目③

  N::緯6

   ③科学的理論とは何か  團事実   麗解釈   []予測