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第4章 調査結果と考察

第1節  授業前調査結果と考察

割合(27%)を上回っている。また、92年度理数調査結果と比較すると、否定 する者の割合が7%程多くなっている。⑥で「科学は、日常生活に深く関わっ ている」と考える者の割合(67%〉が高いことを考えるならば、社会にとって 科学の必要性を感じながら資金投入に否定的なのは、科学研究だけが資金投 入の対象ではないという意識が働いていると同時に、環境問題や科学者が関 わった最近の社会問題の報道に接しているためと思われる。この結果はまた、

中学生の科学に対する具体性に乏しい 待感を反映してもいる。

◆科学の害の面に関する項Eは、②と⑤が該当する。

 「科学は、益よりも害を多くもたらす」 「世の中の問題の多くは、科学が原 因となっている」ともに、肯定が3◎%代、否定が20%代、中立が40%代とな っている。さらに、92年度理数調査結果に比べ、肯定する者の割合がわずかに 高い。「科学の害の面」や「科学が原因の面」について、中立の割合が最も高 いのは、間接的な知識や情報などで知◎てはいるものの、実感できているこ

とカミ少ないためと思われる。全体として、分散の傾向を示していることも、「害」

や「原因」についての実態把握の不確かさを反映したものと考えられる。

◆科学者の責任に関する項日は、④が該当する。

 「科学者は、自分の研究が、どのように使われるかについても責任がある」

を肯定する者の割合は73%と高率である。科学者の一人歩きに対する批判的 な心情や道徳的感情の成長溺あるものと思われる。

◆社会環境に対する態度に関する項目は、⑦が該当する。

 「一般市民でも、科学研究の内容に髭響を与えることができる」について、

肯定する者の割合が45%、中立が46%で、ほぼ同率である。この項目は、人生 観にも関わる内容であり、中学生にとって判断の難しさを伴ったため、「中立」

の選択率が高くなったと思われる。しかし、肯定する者の割合も高く、科学を

科学の専門家に任せきるだけではなく、一般市民として科学研究の内容に関 心を持っていこうとする姿勢が伺える。

◆全体として、以下の点が本調査結果の特徴である。

a科学と生活が密接に関わっていると感Oている。

b環境問題や科学が関わろ社会問題を漠然と感じ・ている。

。一般市民として科学研究の内容に関心を持っていく必要があると感

  じている。

 さらに、表11の三絃i欄に見られるように、本調査結果は、全国的規模の 理数調査結果と酷似している。両調査結果を比較すると、微妙に動きがあるの は「資金の投入」と「市民の影響力」であるが、科学の専門家が社会問題に関 係したサリン事件やもんじゅの事故、薬害エイズ問題などの報道に接している

ことなどに起因すると思われる。

 しかし、本調査結果から、全国の中学生の意識を類推することが十分可能

だと考える。

   2科学・科学者への興味

 科学や科学者への関心の程度や理論が生み出されてきた過程への興味などを 調査する目的で6個の質問項目を設定した。その結果を表12と図3に示す。た だし、 ある と 少しある の合計度数を ある の欄に、 ない と あ まりない の合計度数を ない の欄に計上してある。

表12 科学・科学者への興味(3学年全体、N=579〜581)

②遡瞭

③尉学者への輿床

④㈱

ない 37.7 24β 57ユ 22.1 47£

中立 234 30β 22.6 302 242

ある 38憩 44.9 202 47」 28D

 N:中1:=187中2 =198申3=196 平均中1 =3.3中2=2.9中3=2.8

10e%

80%

60%

40%

20%

 o%

①科学への興味

中 中 中

1 2 3

圏 い

■ 立 ロ る

中1=187中2富=198中3=496 中1=3.6中2 =3.2申3=3.0

  ②理科への興味

勲響1

描難欄

 o%

中 中 中

1 2 3

中1==187中2==196中3=196 申1:2.7中2 m2.3中3=2.3    ③科学者への興味  100%

  80%

  60%         翻 い        ■ 立   40%       [コ る   20%

  o%

     中 中 中        2  3

申1 ・187中2=197申3 ・195 申1= 3.7申2=3.6申3 ・3.0

④授業への要求(科学者   の成功や失敗)

too%

80%

60%

40%

20%

 o%

1

中 中 中

1 2 3

中1=187中2==196中3=196 中1 ・3A 中2 =2.5中3牒2β

 ⑤科学的理論が生み出さ   わてきた過程への興味  100%

 BO%

 60%       團 い  40%       E 立        □ る  2e%

  o%

    中 中 中        2  3

(得点化は、5:ある、4:少しある、

3:中立、2:あまりない、ユ:ない)

◆科学への興味に関する項目①で

 は、ある者(39%)とない者(38%)

 の割合がほぼ等しく、全体に分散 する傾向が見られる。科学現象に  関わる原体験や科学的話題に接

する機会の乏しさに由来すると 図3 学年別の割合

思われる。

◆理科への興味に関する項目②では、ある者(45%)がない者(25%)を上回  っている。しかし、理科への興味は(また①の科学への興味も)、学年が進  行ずるにつれ大きく低下し、中3ではある者とない者の割合がともに34%

 と同率を示している。この現象は、様々な先行研究の調査結果と一致する。

◆科学者への興味に関する項臼③では、「興味がない」とする者の割合が57%

 に及び、「興味がある]とする者の割合20%を大きく上回った。これは、国  内の科学者や科学者の研究に関するイメージ調査㈹にあるような 貧困な科  学者像 に符合する。

◆科学者の成功や失敗に関する項口④では、授業で取り上げてほしいという  要求が48%と高率である。中1、中2では59%、55%と過半数を示した。そ  の中で、相対的に中3の割合が低くなるく29%)のは、受験を背景に背負

っているからだと考えられる。しかし、ここに、科学学習の動機づけとして、

また人間の歴史的営みの成果として科学を理解していくための科学史事例 を活用した理科授業の有効性が指摘できる。

◆科学的理論が生み出されてきた過程への興味に関する項目⑤では、 「興味  がない」とする者の割合が48%を示している。結果を重視する理科学習の

習慣が反映していると考えられる。ただし、興味の低下傾向が中3で足踏  み状態かやや上昇傾向に転じるのは、高学年としての知的あるいは社会的関  心の拡がりや成長からだと思われる。

◆印象に残る科学者に関する項目⑥の結果を表13と図4に示す。

表13印象に残る科学者

 (3学年全体、N==581)

ゴ⑥印象に残る科単賓

噛いるピ 9.0

申:立 38.0

、『A:いない!− 53.0

(単位は%)

印象に残る科学者

100% 甲{

・1

80% 8, :・

3 8

・1量

60鴨 ε

□し;ζい 40%

、12i

圏 立

│しる

20% ・1P

♪/

0%

1 2 3

図4 学年別の割合

 「印象に残る科学者」が いる とする者の割合は全体で9%で極めて低く、

逆に いない とする者の割合は53%に達する。どの学年も共通して いる の選択率は低い。

  いる を選択した者の記述回答を見ると、エジソン(7人)ガリレオ(5人)

ノーベル(5人)アインシュタイン(4人)ライト兄弟(4人)キューリー夫人(2人)

などの科学者名(技術者も含まる)を挙げている。また、印象に残る理由とし て「何度失敗してもあきらめない」 「何かを求め続けて一生を捧げている」な

どチャレンジ精神や忍耐強さを指摘し、さらに「人が考えそうもないことを発 見または実験した」と独創性の指摘もある。しかし、以上は少数派の例であり、

中学生にとって科学者は遠い存在である。

◆全体として、本調査結果は、

報⑳授業煙出曝書前碗斡に蜘楓纏綿顧続

背琴や科学者囁庭木:となり襟鷲嗣ち外群の世騨勲締』「

,機会にも恵まれない申学生

の姿を如実に物語っていると言える。

    3実験と理論

 実験と科学的理論に関する生徒の意識を調査する目的で、

設定した。

3個の質問項目を

◆実験の目的に関する項目①  結果を図5に示す。50%の者 が「科学者は新しい発見をする ために実験をする」と考えてい る。学年の差はほとんど見られ ない。また、 「ある自然現象が なぜ起こるかについて、自分の 解釈をためしてみるため」を選 択した者が28%となっている。

 英国でのSolomon(67)らの調査 結果と比較すると、 「新しい発 見をするため」を選択した者の

①実験するのは何故か  翻発見

100%

80%

60%

40%

20%

 o%

図5実験と理論①

  (3学年全体、N=:580)

(1992年のSolomonらの調査結果を並列、N= 94)

割合がどちらも約半数で共通しているが、 「解釈をためしてみるため」を選択 した者の割合は、英国の場合400/・と高率である。「人間に役立つ何かを生み出 すため」を選択した者が英国に比べ180/・と高い点は、科学研究の主要な目的を

「世界の人々に、より幸福な生活ができるような手般を与えること」(36.4%)

とした93年度の中学3年生の理数調査結果(68)に通じる。

◆予期に関する項目②  結果を図6に示す。 「科学者

は実験をする前に何が起こるか を予期しているか」という質問 項目に、 「はい」を選択した者

の割合が45%あり、これは Solomonらの調査結果(30%)

より高く、特に中1では54%

を示した。また、これとは逆に、

「いいえ」を選択した者の割合 が英国(51%)の半分以下の20

%であった。

②予期しているか 團はい   團?   口いいえ

憩0%

W◎%

U0%

S0%

Q0%

@o%

厩1鶉圏     魑・・

遡擁

本調査     Solom。n

図6実験と理論②

  (3学年全体、N ・579)

この背景には、結果があらかじめ分かっている検証実験を授業 で繰り返し体験していることが考えられる。「理科の学習に実験が必要なわけ」

を問われた中学3年生が、「実験によっていろいろな考えを実際に確かめるた め」と回答した(53.7%)93年度の理数調査結果(69)も、それを裏付けている。

◆科学的理論に関する項目③  結果を図7に示す。科学的理 論を「多くの実験で証明された 事実」と考えている者が60%に 達し、「事柄がどのように起こ るかについての解釈」と考えて いる者が28%を示した。SolOtnon

らの調査結果は、3肢への分散 傾向を示し、その中では「何が 起こるかについての考え」を選

③科学的理論とは何か

國事実 ■解釈 ロ予測

100%

80%

60%

40%

20%

 o%

本調査 Solemon

図7実験と理論③

  (3学年全体、N・・575)