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授業実践による検証のまとめと新たな授業構想

第 7 章 寛容を基盤においた生命尊重の教育についての

第 5 節 授業実践による検証のまとめと新たな授業構想

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<現行のゆるし「ゆるす」> <生命尊重をコアとしたゆるし「赦す」>

道徳の内容項目 すべてのものの基本は「生命尊重」の視点

視点1

視点2 謙虚・寛容

視点3 視点1 視点2 ゆるし 視点3 視点4 視点4

35 これまでの内容項目と生命尊重を基盤にした内容項目

2 新たな授業構想へ

生命尊重の視点を日本人の道徳観の基盤においた内容項目の再編を考えるならば「ゆる し」に関して児童が「寛容」よりも別の視点から高い道徳的価値に児童が気付いたかどうか 評価する工夫をさらにしていきたいと考える。また、生命尊重の視点をなぜ日本人の道徳観 の基盤にすえるかの基礎的な研究部分も全く不十分である。日本には宗教がないといわれ るが、信教の自由を憲法でうたう日本においてどれだけの人々のなかに宗教的情操が宿っ ていて、これが日本人の現在の道徳観と関連しているかを調べることが、寛容を基盤におい た生命尊重の教育へとつながると考える。

学校現場では、積極的に現行の視点3の内容項目とその他の項目との間で、複数時間扱 いの授業を試みていきたい。その際に道徳授業のねらいをどこに置くかがポイントとなろ う。「生命尊重と国際理解」「生命尊重と節度節制」「生命尊重と礼儀」など、生命尊重の 視点から他の項目を見直してみることで、あらたな日本人としての忘れられていた価値観 やこれからの社会で尊ばなくてはならない価値観などが発見できると考える。

このように生命を尊重する心が深まることと、感謝の念や謙虚さ、あるいは人間の力を超 えたものへの畏敬の念をはぐくむことの間に関係性がある点を指摘している(図36参照)。

感謝の念 謙虚さ 畏敬の念 自他の生命を尊重する心

自他の生命を尊重する心 謙虚さ(寛容)

36 「自他の生命を尊重する心」と「謙虚さ(寛容)」との関係性

図36では、生命を尊重する心が深まると感謝の念や謙虚さが育ったり、人間の力を超え

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たものへの畏敬の念の高まりにつながったりするということを示している。

これを価値の流れで考えてみるならば、「生命に対して尊重する心が深まる」⇒「自他の 生命が生かされている」⇒「自分は大いなるものから生かされている」⇒「自分が生かされ ていることに感謝する」⇒「自分が大いなるものの前では謙虚になる」⇒「自分は人間とし て成長途中であり、至らなさをもっていることを考える」⇒「至らない自分は謙虚になり、

他人の犯した過ちを許す」⇒「常に相手から学ぼうとする謙虚な態度でのぞむ」と考える。

その一方で、寛容さや広い心などのもととなる謙虚さが育つと、自他の生命を尊重する心 も培われることを示している。

これを価値の流れで考えてみるならば、「寛大な心をもって他人の過ちを許すことができ る」⇒「自分も過ちを犯すことがあるからと自覚している」⇒「自分に対して謙虚だからこ そ、相手に寛容になれる」⇒「互いの見方や考え方の違いがあることに気付く」⇒「相手の 意見を素直に聞き、相手の立場に立って考える態度でのぞむ」⇒「自分と異なる意見や立場、

相手の過ちなどに対して、広い心で受け止め、対処できる」⇒「相手も自分と同じ生命をも った人として、精一杯に生きていると気付く」⇒「生命をもった人間同士、互いの生命を尊 重して生きる」。

以上のように、生命尊重の心と謙虚な心の関係は、互いに正の方向性をもつと推察される。

そこで次の章では、この研究のまとめとして、2つに価値(「寛容」と「生命尊重」が相互に 作用しスパイラルな高まりを見せる総合単元的学習を中心としたカリキュラム構想を提案 する。

*1 2010年 223日(火)2校時 9:45~10:30 61 道徳授業実施。

3校時 10:45~11:30 63 道徳授業実施。

4校時 11:35~12:20 62 道徳授業実施。

*2 2010年 415日(木)2校時 62組道徳授業実施(その1)

3校時 61組道徳授業実施(その1)

4校時 63組道徳授業実施(その1)

422日(木)2校時 62組道徳授業実施(その2)

3校時 61組道徳授業実施(その2)

4校時 63組道徳授業実施(その2)

513日(木)2校時 62組道徳授業実施(その3)

3校時 61組道徳授業実施(その3)

4校時 63組道徳授業実施(その3)

*3 アンケート実施対象者および実施日時

2009年度早稲田実業学校初等部6年生 107 (2009420日)

2010年度早稲田実業学校初等部6年生 108 (2010415日および78日)

*4 2010年度の6年生105名については、1学期の道徳で複数時間扱いの道徳授業を計画した。そのために、

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2010415日と78日のアンケート実施の間の3ケ月の中で、3回連続の複数時間扱いの道徳授業を 実施した。

*5 Maslow, A,H. Toward a Psychology of Being, Van Nostrand, New York,1962, pp.5.

マズロー(1964) 上田吉一訳 『完全なる人間』誠信書房、21頁。

*6 文部科学省 2015(平成27)年7月『小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編』、61頁。

*7 文部科学省 2015(平成27)77月『中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編』、64頁。

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