デム付の初期のアップル II)を借りた。そして、すぐにオンライン生活 に没頭するようになっていた。世界初の、消費者によるパソコンソフト 批評の雑誌を編集した。それから、新しく勃興したインターネットのた めの、最初の一般向けポータルサイトを開設することに関与した。1992 年には、雑誌「ワイヤード」 ―デジタル文化公認の広報誌― の創刊と編 集に手を貸した。それ以来、私は新技術導入の最先端付近をうろついて いる。今では私の友人は、スーパー・コンピューターや遺伝子薬学、検 索エンジン、ナノテクノロジー、光ファイバー通信など、新しい物をい ろいろ研究開発している人たちだ。私は、技術の持つ変革力をすっかり 受け入れている。
でも、5 人家族の我が家には、テレビがない。私は、ポケットベルも PDA(携帯情報端末)もカメラ付携帯電話も持っていない。ノートパソ コンを持って旅行することもない。最新必携の道具を入手するのが、私 の周囲の人たちの中で最後になることも多い。技術から一定の距離を取 るためには、精神力が必要だと思う。
それと同時に、私は、クール・ツールズ (Cool Tools) という毎日更新 のウェブサイトを運営している。そこでは、消費者のための厳選された 技術を広い範囲にわたって紹介している。精巧な工業製品が川のように 私の事務所を流れている。その多くは決して消えることがない。超然と した態度を取りながら、私は、技術の選択肢をわざと手の届く範囲にと どめておこうとしている。
この明らかな矛盾のせいで、私と技術との逆説的な関係について考察 するようになった。過去 1 年半にわたって、私は、技術の歴史、技術評 論家たちの議論、技術の未来予測について、さらに、少しだけだが技術 哲学の書物についても研究してきた。すべて単純な疑問に答えるためで
第 12 章 技術の意義に関する私の探求
ある。新しい技術が出現したとき、どのように考えるべきなのか?
それは、近ごろ私たちを悩ませる多くの疑問の核心である。人間の文 化において技術が存在感を増すことの本質について、当惑しているのは 私だけではないだろう。物事について考える最良の方法は、それについ て書くことだと思う。だから、当たり前以上のことを考えるために、私 は技術の持つ意味について本を書く。
原稿を書いたらここに掲載する。このサイトの目的は、私の投稿から 対話を生むことである。まとまりきっていない考え、覚え書き、自問自 答、初期の草稿、他人の記事への反応などを掲載することで、私が本当 に何を考えているかを見つけ出していきたい。
この 18ヶ月の間に、私は何度か考えを変えてきた。そして、新しい洞 察を得ることで、また考えを変えることを期待している。正直なところ、
私は自分の偏向を明らかにしておきたい。
私は今 50 代である。今でもたくさん旅をして、増加しつつある世界の 人口といくらか残された原野を見ている。豊かな国、発展途上の国、い ずれも多く訪れている。私は古代史、秘教史、経済史、現代史など多く の歴史書を読んだ。見たり読んだりしたものに基づいて、私は、大規模 な物事には進歩があると考えている。さらに、技術は全体として良いも のだと感じている。そして最も重要なことだが、私の個人的見解の根底 には、神への強い信仰がある。それは、私の疑問の構成を見れば、間違 いなく明らかなことである。
これらのことは、近ごろの教養ある人々にとっては、偏った考え方で はない。そして私の課題は、私の結論(それが得られたとき!)を、証拠 と説得力のある議論とで裏付けすることである。
私はこのサイトを「テクニウム (The Technium)」と名づける。これは
技術という大きな領域をあらわすために、不本意ながら私が作った言葉 である。それはハードウェアだけでなく、文化、法律、社会の組織、そし てあらゆる種類の知的創作物を含む。要するに、テクニウムとは人間の 知性から湧き出るものすべてである。形のある技術だけでなく、それ以 外の多くの人間の創作物も含む。技術の範囲をこのように拡張して見た とき、それは独自の原動力を持った完全なシステムだと私は考えている。
このサイトで、私はテクニウムを研究しようとしている。テクニウム は何を求めているのか? なぜ人間はそれを受け入れるのか? それは(も し神がいるとして)どのように神と関連があるのか? テクニウムの進行 速度と将来の進路について、人間はどのような統制ができるのか?
コメント欄や電子メールで、読者諸氏の反応を知らせていただきたい。
とくに、独自の考えや見過ごしていた事実を知りたいと思う。政治的公 正はあまり気にしない。正確さと正直さには関心がある。(人が何を考え たり言ったりしているかよりも、実際に何をしているか、ということに 関心がある。)
私へのメールは kk at kk dot org のアドレス宛に送ればよい。
(初出: http://memo7.sblo.jp/article/32660227.html)
(原文: http://kk.org/thetechnium/2004/11/my-search-for-t/)