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志(夢)

ドキュメント内 日本ベンチャー学会制度委員会報告書 (ページ 45-48)

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ベンチャー支援インフラの活用

技術ベンチャーの成功要因を分析するときに共通に活用できる。ただし、創業者のキャ リア、業種特性、成長ステージによって、成長要因が、それぞれ異なる。TSの場合、この 要因のすべてに記入ができる典型的な技術ベンチャーということができる。

【追加資料:東洋システム技術へ注目】

1.東洋システムの技術が、デファクト化基準になることができるか?

日本の製品やサービスが世界に普及するためには、デファクトスタンダードやデジュー ルスタンダードをとる必要がある。東洋システムはリチウムイオン電池の品質評価につい ては、ダントツの世界トップである。当電池のデファクトやデジュールをとるためには、

東洋システムを取り込みたい。すでに、世界の争奪戦が始まっている。

2.デファクトスタンダードとは

デファクトスタンダードとは、国際機関や標準化団体による公的な標準ではなく、市場 競争の結果としての基準化によって、 事実上(de facto:ラテン語)の標準とみなされるよ うになった規格・製品のことをいう。家庭用ビデオにおける

ける

た製品や、スタンダード製品と高い互換性を持つ製品がシェアのほとんどを占めるように なる。

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デジュールスタンダードとは、ISOや JIS などの規格国際標準化機関などにより公的に 定められた規格のことである。製品の機能や製造方法、生産に用いられる技術など、その 対象は多岐にわたる。世界共通の規格を持つ乾電池は、デジュールスタンダードの一例で ある。ISO(国際標準化機構、International Organization for Standardization)と異なり、

JIS(日本工業規格)は、我が国の工業標準化の促進を目的とする工業標準化法(昭和 24 年)に基づき制定された日本の規格であるので、世界に通用しない。日本の JIS 規格が、

世界のデファクトになり、ISO 規格になることが理想であるが、現在、モノづくり日本の 国内消耗戦を含む地位の低下とこれを推進する国家機関がないために、「技術(開発段階)

で勝って、ビジネスで負ける」状況になっている。

4.リチウムイオン電池のデファクト化の可能性

スマホから自動車の二次電池として使われているリチウムイオン電池は、化学反応を活 用した電池であるので、発熱し、劣化する。発熱して爆発事故を起こした事例を挙げると、

次の通りである。

① 1996年から2005年までにFAAに申告された事項の報告書 12件 (1.2件/年)

② 2006年から2010年までにFAAに申告された事項の報告書 34件 (7.2件/年) 参照:①・②米国FAA添付資料

③ 2011年中国自動車大手BYD社が製造した電気自動車BYD・e6、が炎上

④ 2012年米国ベンチャーフィスカー社が製造した電気自動車カルマが炎上 参照:③・④http://www.gizmodo.jp/2012/11/ev16.html

⑤ 2011年米国自動車大手シボレー社が製造したボルトも衝突実験中に炎上 参照:http://response.jp/article/2011/11/14/165398.html

⑥ 2013年韓国SAMSUN製携帯電話が中国で爆発炎上し自宅全焼

参照:http://www.excite.co.jp/News/net_clm/20130729/Rocketnews24_354248.html このような事故は、日本製のリチウムイオン電池にはない。広く使われているリチウム 電池であるにもかかわらず、乾電池のような規格もデファクトスタンダードがない。

リチウムイオン電池を開発したのは、日本の技術である。しかし、現在世界市場では「技 術で勝って、ビジネスで負ける」事例になりそうである。韓国や中国の追い上げが激しく、

世界全体のシェアでは、2005年当時でトップであったシャープ、パナソニック、サンヨウ、

ソニー、ユアサの牙城は崩れつつある。小型電池は価格競争に陥り、自動車等搭載の大型 高性能電池がハイブリッド車に活用されることで、電池開発の活力を維持している。この ような状況で、日本企業のリチウムイオン電池が、デファクトをとることは困難である。

5.日欧でのデファクト化の動きを支える技術の争奪戦

日本で、全てのタイプのリチウムイオン電池の品質評価を行うことができる東洋システ ムの技術が、事実上の基準(デファクト)の担保会社になっているのは確かである。特に 爆発事故で、多くの人命にも関係する電気自動車やハイブリッド用電池については、特に 重要である。

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環境に最も優しいといわれた電気自動車の伸び悩みが続いている。このような中で、充 電プラグの日本規格と欧州規格が異なり、両デファクトが併用されるようである。また、

リチウムイオン電池を使用した場合の走行距離がハイブリッド車と比較して落ちるため、

高速道路を使った長距離運転の車には課題を残している。

このような状況を踏まえ、環境に厳しい欧州の自動車メーカーは、ハイブリッド車開発 の方向にギアを切っている。東洋システムの技術に着目した欧州評価機関TUVから、買収 交渉や大手自動車メーカーから欧州現地法人の設立の打診が来ている。東洋システムは、

2013年6月欧州の品質評価実績に対して安全性での不備事例を掲示し、圧倒的に東洋シス テムの技術が優れていることを立証し、世界から注目された。自動車が電気自動車又はハ イブリッド車に向かうかに関係なく、リチウムイオン電池の品質・性能・コストが切り札 になることは確かである。超小型から大型までの品質性能評価を手掛ける東洋システムの 技術は、自動車業界にとってのどから手が出るほど欲しいのである。

6.東洋システムの考え方

産業構造上最大の裾野技術を必要とし、雇用に最も貢献する自動車業界で、どこの会社 がトップシェアをとり続けるかの市場競争が、日米欧で行われている。この中で、化石燃 料を最小にした環境に最も優しい、ローコストエンジンの開発競争が行われている。

2~3 年先のエンジン開発に係るリチウムイオン電池の品質評価技術を持つ、黒子として の東洋システムの重要性が増している。

欧州に取り込まれることは、日本の自動車業界を敵に回す可能性がある。2011.3.11の東 日本大震災で、福島県いわき市の本社新工場は使用不能になった時にトヨタ向けの事業所 で、他社向け製品の製造作業を受け入れていただき、3月納期の各社に迷惑をかけないで乗 り切ることができた。利益を優先して欧州系の自動車業界に囲い込まれるよりも、ハイブ リット先進国である日本国内電池メーカーや自動車メーカーとの機密保持を最優先として、

リチウムイオン電池爆発事故で市場がシュリンクしない様に諸外国企業と距離を取りなが ら取引をし続ける道を、東洋システムは選択した。

福島を世界の電池発信基地「バッテリーバレー」に したいという東洋システムの面目躍如である。震災直 前の本社新工場の建設に続いて、2013 年 11月に第 三工場が新設され、リチウムイオン電池の品質評価能 力の拡大を図っている。

事故事例:

2006年2月 フィアデルフィア(米国PA)空港で 中国製リチウムイオン電池爆発による貨物飛行機炎

(NTSB資料より)

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