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(ケース10)

ドキュメント内 日本ベンチャー学会制度委員会報告書 (ページ 143-154)

子ども達の未来のために~保育事業者のキャリアプラン~

(株)グローバルキッズ

ケース作成協力

ケースは、2013年7月12日開催の制度委員会において、学会理事岡田雅史の紹介で講 演をしていただいた(株)グローバルキッズ(以下「グローバルキッズ社」)代表取締役社長 中正雄一氏のプレゼン資料及び委員会での質疑応答に基づき作成したものである。

なお、当該委員会での情報収集だけでは不足していた内容については、岡田・中正氏 2 者間で情報交換しながら作成した。ご協力いただいた中正氏及び会社の方々のご協力に感 謝いたします。ケースは、グローバルキッズ社の事業の軌道を整理したものであり、その 良否を論じたものではない。

1.グローバルキッズ社の概要

グローバルキッズ社は、2006年5月に、社長の中正氏によって創業された保育所・学童 保育施設の運営会社である。設立8年目の現在、49拠点で2,157名の園児が、保育者に見 守られながら過ごしている。

中正氏は、大学卒業後、就職先の上司が独立して始めた保育園事業に共感し、就職先を 退職して、共に事業を始めた。現場では、子どもを真ん中に、保護者と先生の間で、ここ ろのこもった感謝のことばが飛び交うことがとても印象的とのことであった。また、中正 氏自身に長女が誕生したことも、現場目線の保育により理解を深めるきっかけとなった。

そのころ東京都では、都独自の基準を満たす認可外保育施設に対して補助する認証保育 所制度を2001年に新たに設け、待機児童対策に積極的な動きがあることも事業を後押しし た。

その後、独立し、2006 年 1 月、東京都認証保育所として、「六町駅前保育園」(足立区)

を代表者個人名義で開園した。開園当時、定員29名のところ、6人しか園児がいなかった。

園児を集めるため、中正氏と数名のスタッフで、ビラ配りや説明会開催に奔走したスター トであった。

その後、会社法が施行されたことに伴い、株式会社の設立が容易になったことから、中 正氏は、2006年 5月、それまでの保育事業を法人化し、(株)グローバルキッズの下での保 育事業を開始した。「子ども達の未来のために」という企業理念のもと、人を育てる事業を 通じて、子どもたちが未来に希望を持てる社会の創造に貢献することを目指す。

グローバルキッズ社の概要

設立年月日 2006年5月

本社所在地 東京都千代田区神田錦町3-21JPRクレスト竹橋ビル6F

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代表者 代表取締役社長 中正雄一(1972年5月16日生まれ)

事業内容 福祉サービス業

 保育施設運営

 ベビーシッターの養成と派遣

 公共施設での託児サービス

 開園希望者へのコンサルティング実施 等

資本金 3,000万円

売上高 30億630万円(2013年3月期)

施設数 49箇所(東京・横浜・埼玉)※2013年6月現在

園児数 2,157名 ※2013年6月現在

職員数 863名 ※2013年6月現在

2.グローバルキッズ社における保育サービス事業の概要

(1)幼児保育分野への株式会社参入

わが国の幼児保育分野においては、国基準の保育所の待機児童数が全国で 2万 5,000人 とされるなか、保育の量的拡大は喫緊の課題であり、母親の就業率を OECD(経済協力開 発機構)諸国の平均に引き上げるためには、保育所の定員を 120 万人増やす必要があると される。幼児保育分野への株式会社の参入は、このような保育所の待機児童問題を背景に、

2000年に認可保育所の設置主体制限が撤廃されたことにより可能となった。しかし、自治 体の裁量で株式会社参入が認可されないケースがあることから、2012年8月に成立した子 ども・子育て関連3法は、供給過剰でない限り原則認可することを自治体に求めた。

その結果、株式会社は、認可 保育所より認可外保育施設に 多く参入した。東京都の認証保 育所では 443 園が株式会社立 であり、利用する子どもはおよ

そ1万5,000人と推計される。

2013 年度以降では、国基準 の待機児童数式 2 万 5,000 人

(右図Bグラフ)は、会社の参 入がなければ 4 万人(右図 A グラフ)になっていた計算とな り、待機児童解消に株式会社が

大きく貢献してきたことがうかがえる。

このような中、グローバルキッズ社は、東京都・横浜市を中心に、認可保育所、認証保 育所における保育サービスを事業の主軸として展開してきた。

A B A B A B

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2008 年 11 月、東京都認可保育所「グローバルキッズ板橋園」の開所を機に、横浜エリ アでの認可保育所を展開した。2013年6月現在、認可保育所(東京・横浜)18箇所、東京 都認証保育所20箇所、横浜保育室1箇所、認可外保育所(運営受託を含む)3箇所を運営 している。また、2010年4月より、小学生の保育を対象とした学童保育施設の運営受託を 開始し、2013年6月現在では、従来より行っている保育所運営と同様の志のもと、都内7 箇所で、運営受託による学童保育を行っている。

認可保育所とは、児童福祉法に基づく児童福祉施設で、国が定めた設置基準(施設の広 さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)をクリアして都道府県知事に 認可された施設である。

これに対し認証保育所は東京都独自の制度である。国の基準による従来の認可保育所は、

設置基準などから大都市では設置が困難で、また0歳児保育を行わない保育所があるなど、

都民の保育ニーズに必ずしも応えられていないケースがある。そのため東京都では、地域 の特性に着目した独自の基準を設定して、多くの企業の参入を促し事業者間の競争を促進 することにより、多様化する保育ニーズに応える、新しい方式の保育所、認証保育所制度 を創設している。

認可保育所と認証保育所の特徴を示すと以下のようになる。

【認可保育所と認証保育所の特徴】

(2)グローバルキッズ社の保育の特徴

わが国では、保育の量的拡大に関心が集中しており、保育の質に関する議論が少ないが、

子どもの能力向上は重要な課題である。

グローバルキッズ社では、設立時より、『豊かに「生きる力」を育てる』を保育理念に掲 げ、保育の「質」を重視した保育を行っている。これは、社長の中正氏自身の子育ての経 験を踏まえ、「自分の子どもが安心して生活できる理想的な施設を創りたい」という思いか ら生まれた理念である。

「認可」保育所 → 国基準 利用者負担額が低い

定員は60名以上

安定した収益

「認証」保育所 → 都基準 利用者と保育所が直接利用契約

全施設で0歳児から預かれる

ニーズにあった運営が容易

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グローバルキッズ社の保育の特徴は、「子どもが主役」であることである。保育行政の規 制や保護者のニーズに応えることは必要であるが、同社の保育の現場においては、保育者 が子どもに目線を合わせることを重要視している。

まず保育者は、子ども一人ひとりのありのままを受け止め、きめ細やかな保育を実践す ることに配慮する。また、地域の自然環境や施設、人、など豊かな資源を活用し、地域に 根付いた園づくりを行い、家庭的な保育を目指す。食育や園外活動を取り入れ、幼児クラ スでは、日本語教育や英語、リトミック、書道など教育的なプログラムも取り入れること により、子どもの成長を見守り支援する取組みも行っている。さらに、「日本の文化伝承プ ログラム」の「和の保育園」では、畳敷きの保育室をデザインし、日本の伝統のよさを子 ども達に伝える試みや、「イキルちからプロジェクト」の「KID’S WORK」では、リアルな 働く大人を見てもらいたいと、商業施設とタイアップし、子たちに実際の仕事に参加させ てもらう企画を行っている。

さらに、特徴的なのは、良質なスタッフの育成に力を入れていることである。

保育者は、保護者の次に、長い時間を子どもと過ごす。子どもを育てる仕事であるから こそ、スタッフ自身が働きやすく、人として学び成長し続けることが、保育の「質」の維 持・向上に貢献するという考え方が人材育成の根底に存在する。それにより、人間力やコ ミュニケーション能力を高めるグループワークや、保育技術研修など、社内研修制度を実 施することにより、スタッフの継続的な育成のための環境づくりが進められている。また、

ハンガリー、フィンランド、デンマーク、オーストラリア、韓国など、世界各国で保育の 現場を学び、子どもたちにかかわる仕事についての理解を深める研修を行い、日々の保育 にその成果を取り入れる取組みも行われている。

3.グローバルキッズ社の事業の推移

(1)業績の推移

グローバルキッズ社の事業は、保育という福祉サービス事業であるため、公的性質を持 豊 か に 「 生 き る 力 」 を 育 て る

の 心 を 養 い 、 学 ぶ 姿 と い っ た 、

に お け る 「 生 き る 力 」 を は ぐ く む 。

ドキュメント内 日本ベンチャー学会制度委員会報告書 (ページ 143-154)