第2章 カナダ・日本における建築物総合環境性能評価システムと
2.5 建築材料LCAと建築物総合環境性能評価システム
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LCA日本フォーラム(文献10)経済産業省ならびにNEDO技術開発機構の推進52工業会から自主的に提供された
「Gate to Gate」のインベントリデータ約250品目と,LCAプロジェクトで収集した 調査インベントリデータ約300品目。経済産業省ならびにNEDO技術開発機構の推進の 平成10年度から平成14年度にかけて実施した5ヵ年の「第 1期LCAプロジェクト」の 成果であり,平成15年度に期間限定で会員登録制の試験公開を実施した。このデー タベースは,インベントリ分析用データ,インパクト評価用データ,および,文献 データから構成されている。
MiLCA(ミルカ)(文献17)
MiLCA(ミルカ)は,産業環境管理協会によって開発されたLCA(ライフサイクル アセスメント)実施を支援するためのシステムである。プロセスデータを管理し,
LCAケーススタディを実施するまでの基本的な機能が搭載されていて,3000以上のプ ロセスデータを標準搭載することにより簡易にLCAができるようになっている。
MiLCAの開発コンセプトは,「ライフサイクルを通じた環境負荷の見える化」にあり,
環境改善活動を実施する場合における効果的な改善ポイントを抽出し,改善効果を 定量的に把握を支援する目的で開発された。特に,そこでMiLCAではライフサイクル 全体を考える上で重要である「a. 信頼性の高い企業間データ授受の支援」「b. 二 次データの充実」を目標に開発された。
2.5.2 LEEDと建築材料LCAデータべス
LEEDにおける建築物全体のLCA評価の導入は,CASBEEに比べると非常に遅れている と考えられる。LEEDにおけるLCA評価の導入は,2014年度版のLEEDv4によって始めて 確立された。LCA評価の導入が遅れた主な理由として以下が挙げられる。
建築製品におけるLCAの情報・データの整備不足による信頼性の欠如
LCA評価に関するソフトウェアーの開発
カナダで採用されているASHRAE等の省エネルギー法による運用エネルギー 消費量の重要性
LCA評価における作業の負担や手間によるLEEDの簡便性の欠如40
しかし,LEEDv4におけるLCA評価の導入の大きな理由として北米における環境製品 宣言(EPD)の浸透と発展が重要な役割を果たしていると考えられる。環境製品宣言
(EPD)により,建築製品に対するLCA評価に関する情報・データが整備され,LCAの 優れた建築製品を使用することができるようになったことが大きいと考えられる。
次に,LEEDv4におけるLCAソフトウェアーを以下に考察する。
ATHENA SUSTAINABLE MATERIALS INSTITUTE (アテナ)
ATHENA(アテナ)の基礎は,カナダの木材製品研究所(Canada’s national wood products research institute)のForintek Canada Corp (現在 FPInnovations)で 1989年に始まったデータベースを基に開始され,アテナ研究所建設資材及び建築シ ステム上のLCA研究を実施する非営利の会員組織として1997年に設立された。現在,
ATHENAは,建築材料の生産そして消費の増加にともない建築家,エンジニア,建設 業者や製造業者へのLCA支援,ソフトウェア開発などを行う非営利の研究機関である。
LCA ソフトウェア:Impact Estimator and the EcoCalculator(文献13)
Athena Sustainable Materials Institute(アテナ)は,公共・住居建築物の建 築材料に関連したLCAデータやソフトウェアツールを開発している非営利研究機関で ある。主なソフトウェアとしてImpact Estimator(インパクトエスティメーター)
とEco Calculator(エコカリキュレーター)の2つがLCA分析ソフトウェアとして存 在する。Eco Calculatorは,基本的なLCAデータ分析は変わらないものの,建築素材 の選択はデータベースのみからで,独自の建築素材を設計する上で限界があるため,
Impact Estimator に 比 べ る と 初 歩 的 な LCA ツ ー ル と し て い え る 。 ま た , Eco Calculatorは,Green Building Initiative(グリーンビルイニシアティブ)が開発 した建築材料LCA分析ソフトウェアGreen Globes rating(グリーングローブ)と共 同開発されたものだが,Green Globes ratingにおけるLCA分析データシステムがよ りAthenaのImpact Estimatorと併用して使用されるようになったため,Athenaは,
ユーザーにImpact Estimatorの使用を強く促している。そのため ,次の節では AthenaのLCA分析ソフトウェアImpact Estimatorのみ概要を示す。
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Impact Estimator(文献13)Impact Estimatorは,工業,機関,商業及び住宅のデザイン段階で北米の建築基 準法規に適応したLCAの見積もり及び分析が可能であり,現存する95%の建築物をモ デル化することができる。Impact Estimatorは,建築物のLCAを下記の7つの分野に 分割し,それぞれの環境評価を行う。
建築素材の製造(資源の抽出,リサイクルの内容材料を含む)
建築素材輸送
建築工事
建築現場のエネルギー利用,交通,その他の要因
建築物の形式と想定寿命
建築物の維持や交換の効果
解体と廃棄Impact Estimatorには,運用エネルギーの分析は含まれていないが,他のLCAソフ トウェアと併用して分析が可能である。Impact Estimatorは,様々な建築材料と建 築構造の組み合わせにより,1,500以上の建設様式をデザインすることが可能で,北 米の現存する95%以上の商業・住宅建築物に適応することができる。建築様式は,
大きく基礎,壁,床,そして柱・梁の4つの建設構造分野に分かれており,各分野ご とに建築様式が列挙されている。また,主な建築材料は,コンクリート,鋼鉄,木 材,外壁材,断熱材,塗装材,内装材,屋根材,窓,などに分かれている。この基 本建築様式に多種多様な建築形態及び建築材料を独自に組み合わせることによって,
様々な建築物のLCA分析が可能である。
Impact Estimatorは,2002年にカナダ全地域の建築物のLCA分析のために開発され たもので,その後,アメリカの各都市もImpact Estimatorのデータベースの中に加 えられた。各地における建築材料市場調査が行われ,各建築材料の生産場所や流通 手段を明らかにし,その平均をデータベースに加えている。また正確かつ一貫性の ある国際的なデータの不足のため,鋼鉄などのすべての海外製造製品は,北米で生 産されたものとしている。