第6章 建築物の外皮性能向上に伴う
6.3 建築物外皮性能技術の評価・分析
6.3.2 ASHRAE90.1, 2010による建築物外皮性能技術の分析方法
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ステップ2“ TABLE 5.5 Building Envelop Requirements for Climate Zone 3 , 及 び 5(A,B,C)”の最低基準値を採用するにあたり,開口部(窓)面積が全モデル事務所 建築壁面積の40%以下であることを確認する(表6.3-3)。
ステップ3
“ TABLE 5.5 Building Envelop Requirements for Climate Zone 3 , 及 び 5(A,B,C)”を参照し, 気候区分“3”“5”における外壁のR-Value(熱抵抗値)及び,
窓のSHGC(日射熱取得率)の最低基準値をそれぞれ求める(表6.3-4)。
表6.3-3 事務所建築A(カナダ)・事務所建築B(日本)の総窓面積及び窓比率 事務所建築A(カナダ) 事務所建築B(日本)
北側 外壁総面
積
677m
21,106m
2窓面積(G1) 317m
2窓面積(G2) 32m
2窓総面積 349m
2200m
2南側 外壁総面
積
677m
21,212m
2窓面積(G1) 240m
2窓面積(G2) 0m
2窓総面積 240m
2163.8m
2西側 外壁総面
積
1325m
21,454m
2窓面積(G1) 270m
2窓面積(G2) 0m
2窓総面積 270m
2196m
2東側 外壁総面
積
1325m
21,325m
2窓面積(G1) 423m
2窓面積(G2) 50m
2窓総面積 473m
2502.2 m
2全外壁 外壁総面
積
4,004m
25,097m
2窓面積(G1) 1,250m
2窓面積(G2) 82m
2窓総面積 1,332m
21,062m
2窓比率 33.0% ≤ 40% 20.8% ≤ 40%
表6.3-4 事務所建築A(カナダ)・事務所建築B(日本)のSHGCおよびU-Value 事務所建築A(カナダ) 事務所建築B(日本)
SHGC 窓(G1) 0.37
0.72 窓(G2) 0.34
SHGC(all) 0.368 ≤ 0.4 0.72 ≥ 0.25
壁(U-Value) 0.068 ≤ 0.069 0.18 ≥ 0.123
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図6.3-3 水平日射遮蔽物の分析・評価条件 以下の外皮性能状態で評価・分析される
透明単層ガラス
(熱貫流率:3.27,日射熱取得率:0.72)
高性能熱線反射複層ガラス
(熱貫流率:3.45,日射熱取得率:0.37)
高性能熱線反射複層ガラス
(熱貫流率:3.45,日射熱取得率:0.37)
事務所建築 A(カナダ)
仮想水平日射遮蔽物幅
(650mm, 850mm, 1,050mm, 1,250mm)
南側の水平日射遮蔽物幅のみを変更
東側の水平日射遮蔽物幅のみを変更
東・南側の水平日射遮蔽物幅を変更
事務所建築 B(日本)
仮想水平日射遮蔽物幅
(500mm, 700mm, 900mm, 1,100mm)
東側の水平日射遮蔽物幅のみを変更
東・南・西側の水平日射遮蔽物幅を変更
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ステップ4事務所建築A(カナダ)及び,事務所建築B(日本)は以下の外皮性能状態で評 価・分析される(図6.3-3)。
I. -既存の開口面積
-透明単層ガラス(熱貫流率:3.27,日射熱取得率:0.72)
*事務所建築B(日本)で使用されているガラス II. -既存の開口面積
-高性能熱線反射複層ガラス(熱貫流率:3.45,日射熱取得率:0.37
*事務所建築A(カナダ)で使用されているガラス III. -カーテンオール(床上から天井下)
-高性能熱線反射複層ガラス(熱貫流率:3.45,日射熱取得率:0.37)
ステップ5
事務所建築A(カナダ)は“ケース1”,“ケース2”,“ケース3”,“ケース4”に おける仮想水平日射遮蔽物をステップ4の外皮条件にそれぞれ設置して分析を行う
(図6.3-3)。事務所建築A(カナダ)は環境配慮方事務所建築のため,南・東の両 側に異なった幅の水平日射遮蔽物が使用されている。そのため,事務所建築A(カナ ダ)における“ケース3”,“ケース4”はそれぞれ以下の“a”,“b”,“c”の方位 によって異なる3種類の幅の組み合わせによって分析されている。純粋な水平日射遮 蔽物の影響を分析するため,事務所建築の窓の高さは既存の状態を維持した。
事務所建築A(カナダ)
ケース1 – 水平日射遮蔽物無し
ケース2 – 現状(南側:水平日射遮蔽物 850mm, 東側:水平日射遮蔽物 450mm) a: 南側の水平日射遮蔽物幅のみを変更
ケース3 - 水平日射遮蔽物有り(南側:水平日射遮蔽物 1,050mm, 東側:水平日射遮蔽物 450mm)
ケース4 - 水平日射遮蔽物有り(南側:水平日射遮蔽物 1,250mm, 東側:水平日射遮蔽物 450mm)
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b: 東側の水平日射遮蔽物幅のみを変更
ケース3 - 水平日射遮蔽物有り(南側:水平日射遮蔽物 850mm, 東側:水平日射遮蔽物 650mm)
ケース4 - 水平日射遮蔽物有り(南側:水平日射遮蔽物 850mm, 東側:水平日射遮蔽物 850mm) c: 東・南側の水平日射遮蔽物幅を変更
ケース3 - 水平日射遮蔽物有り(南側:水平日射遮蔽物 1,050mm, 東側:水平日射遮蔽物 650mm)
ケース4 - 水平日射遮蔽物有り(南側:水平日射遮蔽物 1,250mm, 東側:水平日射遮蔽物 850mm)
事務所建築B(日本)は同様に,“ケース1”,“ケース2”,“ケース3”,“ケース 4”,“ケース5”における仮想水平日射遮蔽物をステップ4の外皮条件にそれぞれ設 置して分析を行う(図6.3-3)。一般的な事務所建築のため,既存の事務所建築は水 平日射遮蔽物が使用されていない。そのため,事務所建築B(日本)における“ケー ス2”,“ケース3”,“ケース4”,“ケース5”はそれぞれ以下の“d”,“e”の方位 によって異なる2種類の幅の組み合わせによって分析されている。ASHRAE Standard 90.1,2010にある章5.5.4.5によると,“南側20ft以内に建物・建造物がある場合,
もしくは西・東側壁面が75%以上が採光利用できない場合,与えられたSHGCの最低基 準値を満たす必要はない”とある。よって,“e: 東側(主要立面)の水平日射遮蔽 物幅のみを変更”の分析は事務所建築が密集地帯に建てられている状態を想定した もので,道側に面した外壁にのみ採光利用できる窓がある状況を分析する。また,
事務所建築A(カナダ)で使用されているSHGC数値の低い窓を措定し,同様の分析を した。純粋な水平日射遮蔽物の影響を分析するため,事務所建築の窓の高さは既存 の状態を維持した。
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事務所建築B(日本)既存窓(SHGC: 0.72)
ケース1 – 水平日射遮蔽物無し(現状) d: 南・東・西側の水平日射遮蔽物幅を変更
ケース2 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 500mm)
ケース3 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 700mm)
ケース4 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 900mm)
ケース5 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 1,100mm) e: 東側(主要立面)の水平日射遮蔽物幅のみを変更
ケース2 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 500mm)
ケース3 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 700mm)
ケース4 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 900mm)
ケース5 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 1,100mm)窓(SHGC: 0.37)事務所建築B(日本)と同様の窓
ケース1 – 水平日射遮蔽物無し(現状) d: 南・東・西側の水平日射遮蔽物幅を変更
ケース2 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 500mm)
ケース3 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 700mm)
ケース4 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 900mm)
ケース5 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 1,100mm) e: 東側の水平日射遮蔽物幅のみを変更
ケース2 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 500mm)
ケース3 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 700mm)
ケース4 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 900mm)
ケース5 – 水平日射遮蔽物有り (南・東・西側:水平日射遮蔽物 1,100mm)125
ステップ5事務所建築 A(カナダ)に事務所建築 B(日本)の気候区分3を,事務所建築 B
(日本)に事務所建築 A(カナダ)にの気候区分5を用いて,SHGC 基準数値を評価 する。これは,両国の事務所建築の性能が互いの相違する気候区分で設計された時 の特徴を把握するものである。
ステップ6
図 6.3-5に示すよう に 水平 日射遮蔽 物 ( オーバーハング ) 係 数(PF)を求め,
“TABLE 5.5.4.4.1 SHGC Multipliers for Permanent Projections”からSHGC(日射 熱取得率)係数を求める。与えられたSHGC係数を事務所建築に使用されている窓の SHGCに乗じることにより,水平日射遮蔽物を使用したときの窓のSHGCを算出する。
ステップ7
表6.3-5に示すように,事務所建築A(カナダ)に事務所建築B(日本)の既存の窓 をカーテンウォールに変更し,ステップ1~ステップ6の分析を同様に行う。この分 析は,カーテンウォールを使用した事務所建築に水平日射遮蔽物を使用した改築も しくは新築におけるSHGC数値の変化を把握するものである。